コトバJapan! 山田ゴメス の 記事一覧

山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。


 SNS上でのやりとりの一手法。昨今は、メッセージの文末に置く絵文字や顔文字の代わりに、漢字や平仮名、もしくは記号などの一文字だけを添えるパターンが、若い世代を中心に増えているのだという。なにも付けないのはそっけない、でも凝るのは面倒というメンタル……なのだそう。

 たとえば、「草」は(笑)の意味で、waraのwの連続、「wwwww」(大爆笑)が「草が生えている」ように見えることが発祥だとされている。

 ほかにも「杉」は「過ぎ」、「乙」は「お疲れさま(それは大変だったね、ドンマイ的な意味でも使われる)」、「み」は「“わかりみ”みたいに、接尾辞を付加しても名詞にならない言葉を無理矢理名詞化する」……ほか、さまざまな一文字メッセージが「ほぼ毎日」と言ってもよいくらい続々と、ちまたに出回っている。

 ただ、コレはあくまで“相互理解”が成立している関係内でのみ通用する一種の暗号のようなものゆえ、まだ知り合って間もない相手へとやみくもに多用すれば「ただの頭の悪いヒト」「誤字も打ち直さないガサツでせっかちなヒト」……と見なされている危険性も高い。

 「草」を(笑)と解釈できない層に「ヤバイ草」なんてメッセージを送ったりしてしまった日には、いろんな意味で「ちょっと危ないヒト?」のレッテルを貼られ、挙げ句の果てには半グレ扱いされてしまうことだって充分にあり得るのだ。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 昨年の10月ごろ、アメリカの高校生が投稿した動画からスタートしたと言われている投稿動画の一手法。

 「画面に映っている単数、もしくは複数の人たちが皆、マネキンのように止まっている様子を撮影する」といった、いたってシンプルなものだが、ポール・マッカートニーや錦織圭ほか有名人がこのトレンドに乗っかったことから、どんどんクオリティがアップしているのだという。

 なるべく大勢の人間を巻き込んでするのが“楽しさ”や“ウケ”へのポイントであるらしく、筆者の友人は人間だけじゃなく、ペットまでも巻き込んでのチャレンジを試みているものの、さすがにワンちゃんやニャンちゃんを長時間静止させておくのはむずかしく、現時点では失敗続き……なのだそう。(ペットが)寝ているスキを襲う(?)か、亀だとかそーいう動物を起用するか……。

 1960年代後半から70年代にかけて、美術界では「写真そっくりの絵画=スーパーリアリズム」なるジャンルが“異端”とされながらも一潮流としてクローズアップされたが、この「マネキンチャレンジ」も拡大解釈すれば「メディアツールの機能を最大限有効に使用することをあえて放棄する」という意味で、「スーパーリアリズムの進化形」とカテゴライズできるのかもしれない。いずれにせよ、この手の“無駄な行為”が、今後のネット動画の活性化・成熟化に大きな貢献を果たすであろうことだけは間違いない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 本年度最初の本場所となった1月場所で優勝を決め、若乃花以来19年ぶりの日本人横綱となった稀勢の里のニックネーム。相撲(マニア)初心者や若い女子ファンは「キセリン」と呼ぶこともあるらしい。

 いまだ独身で、赤面症とまで言われる照れ屋な性格が乙女心をくすぐってやまない稀勢の里だが、今回の横綱昇進に伴い、力士を「可愛い」と見なす「スー女(=相撲女子の略)」が、よりいっそう激増すると予測される。

 なぜ昨今、相撲が女性に人気なのか、理由としては

・勝敗がわかりやすい
・日本の伝統的文化として興味がある(※歴女の流れ)
・ちょんまげ&ふんどし(まわし)というファッションが斬新!
・もち肌が羨ましい
・なんだかんだ言って、女子は「でっかい男」が好き
・いっぱい食べてくれそうで気持ちがいい

……などが挙げられるが、「横綱」の威光を程良くポップに和らげるスノッブなサブネームを“世間”からいただいた時点で、角界側は素直に「相撲ブームの促進」を喜び、「ありがたい」と解釈してかまわないのではなかろうか……と、筆者は思う。

 ちなみに、この「キセノン」は、原子番号54の希ガス元素(xenon.xe)と同名で、「時に空気を読めない稀勢の里」ゆえの命名……との説もある。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス