コトバJapan! 山田ゴメス の 記事一覧

山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。


 ドラマ『カルテット』(TBS系)が3月21日に最終回を迎えたことにより蔓延する喪失感のこと。最高視聴率は第9話で11.0%、平均8.9%と、数字だけ見ればそれほどでもないのだが、視聴者一人ひとりのドラマにのめり込む度合は相当深度が深かったようで、「ロス状態」に軽く悩む御仁も少なからず……といった現象が起きている。

 松たか子・松田龍平・満島ひかり・高橋一生(いっせい)を中心とする演技派揃いのキャスティングと、一話ごとに多々交わされる哲学的なセリフの数々がとくに話題となっており、それをまんま合コンやデートに使うカルテット男子やカルテット女子も激増していると聞く……いや、「聞く」ではなく、実際に筆者は何度か目の当たりにしている。

 たとえば、とある居酒屋でとなりの席に座っていた見知らぬカップル。女性が「から揚げに勝手にレモンをかけた」との理由で「レモンをかけることは不可逆! 二度と元には戻れないの!」(第1話より)と男性に向かって説教を垂れていた。

 あと、とあるバーで、やはり偶然横に座っていた男性が「告白は子どもがすること、大人は誘惑するんだよ」(第3話より)と連れの女性を口説いていた。

 こうやって、ドラマの(しかも地上波の)受け売りを臆面もなくサンプリングできる面の皮の厚い人種にとって、“名言の宝庫”を失う傷手は思いのほか大きいのかもしれない。立て続けに“カルテットなヒトたち”に出くわしてしまった筆者としては、さすがにもうお腹がいっぱいではあるが……(笑)?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 2017年WBC「侍ジャパン公認サポートキャプテン」として、激闘続きの全6試合をベンチ横からライブリポートしている中居正広(44)の“仕事”が、マニア・にわかを問わず大絶賛されている。

 少しでもリラックスできるようワイヤレスヘッドフォン(4万円相当)を全選手に贈ったり、かつての盟友・キムタクのドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』が裏で放送されている時間は発言を控えたり……と、さまざまな“さり気ない気配り”も「美談」と呼ぶに相応しいが、なにより野球に詳しい、さらにはその知識を最大限に活かしつつ、あくまで“素人のスタンス”に徹した、プロ解説者にはない独自の視点が素晴らしい。

 一般的に、「中居リポート」が日本全国レベルで“公認”となったのは、2015年の『世界野球プレミア』の対ベネズエラ戦とされている。その試合中、中居はベネズエラが外野手を一人内野に入れて、解説の中畑清や佐々木主浩(かづひろ)も気づかなかった“内野5人シフト”を指摘。以降、このことが「神リポート」と評判となり、野球ファンから全面的に受け入れられるようになった……という。

 もちろん、今回のWBCでも、いぶし銀的な発言

 「(キューバに)点が入っているのは偶数回だけなんですよ」(3月14日キューバ戦)

 「こうした場面で連続してフォークを要求する胸中はどんなものですか?」(3月12日オランダ戦・9回に同点に追いつかれて、あわや逆転負けという大ピンチのなか、捕手の小林誠司に注目し、解説の古田敦也に投げた質問)

……ほかを連発し、お茶の間とチームの橋渡し役として大いなる貢献を果たしている。コメントを発する“出過ぎない”タイミング、試合の邪魔をしない低めの声にゆっくりとした口調、そして溢れんばかりの野球愛……芸能人によるスポーツ国際大会のサポート役として、ピカイチであるのは言うまでもない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 大手出版社『小学館』の創立とともに94年を歩んできた学年別学習雑誌を『小学一年生』のみ残して休刊し、今年2月15日に発売された、おもに小学2~6年生向けの学習雑誌。

 時計などに表示されるデジタル数字の「8」は、0~9どんな数字にも変身できる……つまり、2~6年生まで、すべての小学生が学年にとらわれず楽しく学べる──といった裏(?)コンセプトが含まれたネーミングであるらしい。

 マンガにインタビューに付録に……と、さまざまなコンテンツに凝った工夫が凝らされており、どの学年の子どもでも、まんべんなく「そのときには行動に表れていなくても、潜在的にある程度は学習していて、あるきっかけで急激に学習成果が開花する“潜在学習”」ができる雑誌を目指すのだという。

 一見すると、ターゲット層の年齢幅はたった5年しかないのだが、この年頃の「たった5年」は、成人に例えるなら決して大袈裟な話ではなく「×10」の50年にも匹敵するとも思われる。仮に筆者が「20代~60代男女の誰もが楽しめる雑誌をつくってください」との依頼を受けたら……あまりの途方もなさに、いくら高額なギャラを積まれても、おそらく尻込みしてしまうに違いない。

 小学8年生──成功へと導くのは、まさに“茨の道”だろうが、もしそれなりの売り上げ部数を達成したならば……そのノウハウに、先行きの見えない出版不況を抜け出す突破口を見いだすことができるのかもしれない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス