コトバJapan! 板津久作 の 記事一覧

板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。


 東京都には他の道府県に類を見ない「慣例」がある。政党復活予算である。創設はなんと、東龍太郎(あずま・りょうたろう)都政(1959~67年)にまでさかのぼるとされる。

 その概要はこうだ。

 都は例年、1月に新年度の予算原案を発表する。しかし、この中には後に、上乗せする約200億円分が含まれていない。200億円分は、都議会各会派の復活要望を受け、予算案に積み増しされ、そこで予算案は確定するのだ。東京都の一般会計予算は約7兆円。それと比べれば「200億円は少ない」との指摘がある。しかし、都議1人(都議会定員127)あたり約1億5750万円。業界団体に「でかい顔」ができる。ちなみに2016年度は、商店街活性化事業や特別養護老人ホームの経営支援事業、私立学校への補助金などが復活した。政党復活予算の狙いは、都政で都議会の存在感を業界団体に示すことにある。ひいては、都議たちの集票、選挙対策にも通じるとされる。

 政党復活予算について、小池百合子都知事が、2017年度予算編成での廃止を打ち出した。小池知事は記者団に対し、廃止の理由について「復活予算は(都議会にとって)白紙小切手で使える予算だ」と指摘、廃止することで予算編成作業の透明化を強調する。

 これに対し、都議会最大会派の都議会自民党からは、反発の声があがった。

 対抗する形で小池知事は予算編成に際し、自ら業界団体にヒアリング。しかもオープンな形で行ない、「都政の見える化」をアピールした。

 都民からすれば、政党復活予算は、見えにくい。都議会自民党側には「われわれ都議会も民意を代表している」との理屈もあるだろうが、「見える化」の小池知事の主張に理があるのではないか。

 ただ、政党復活予算の廃止は、小池都知事の天敵、都議会自民党を弱体化させるという政治的思惑があることも確かだ。
   

   

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 「毎月末の金曜日は、仕事を早めに切り上げ、街に出よう」

 プレミアムフライデーが2017年2月から始まる。月末の金曜日、終業時間を早めるよう企業に呼び掛ける取り組み。狙いは個人消費の喚起。サラリーマンに買い物や家族との食事をゆっくり楽しんでもらおうというものだ。

 仕掛け人は経済産業省。経団連や、デパート、スーパーなど流通業界も加わって「プレミアムフライデー推進協議会」を設立した。官民で協力し、全国的、継続的な取り組みとなることを目指している。

 第1回目は2017年2月24日。2回目以降も原則として毎月末の金曜日に実施。推進協議会は国民運動にしようと意気込んでおり、統一ロゴマークまで作った。

 退社時間はまだ日が明るい午後3時を想定。土曜日、日曜日も休みをとれば、「2.5連休」。月曜日も有休をとれば「3.5連休」。ちょっとした家族旅行も可能だ。

 経済産業省によると、プレミアムフライデーはライフスタイルのあり方を変える意味で、安倍政権の看板政策「働き方改革」とも連動しているという。

 ただ、金曜日に早く仕事を切り上げることができるのは、ごく一部の企業や職場に限られるのではないか。ひがみかもしれないが、公務員や経団連傘下の大企業なら可能だが、一般の職場、中小・零細企業や町工場ではそんな余裕はない。

 また、「個人消費を喚起する」と言っても、給与所得は増えていないし、少子高齢化の進展で、将来の年金への不安も拭えない中で、庶民の財布のひもは緩まない。経済産業省には「企業の経営者には、会社に利益をため込む『内部留保』を減らし、社員の給与を上げることが先だ」と言いたい。

 プレミアムフライデーが実施されても、結局、サラリーマンのおじさんたちの月末金曜日は、早く帰って「家呑み」じゃないのか。
   

   

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 アマゾンジャパンは、2016年12月5日、小型端末のボタンを押すだけで日用品を注文できる「アマゾンダッシュボタン」の販売を始めた。

 ダッシュボタンは横長(横6センチ×縦3センチ)の楕円形。右側にボタン、左側に商品のブランドロゴマークが印刷されている。

 例えば、冷蔵庫に貼り付けておき、ミネラルウォーターの備蓄がなくなれば、ボタンを押すだけで注文できる。実に簡単、これまでになかったサービスである。

 サービスの対象はアマゾンの有料会員「プライム会員」のみ。ダッシュボタンはアマゾンのサイトを通じて注文できる。ダッシュボタンの価格は500円だが、初回注文の商品代金から500円が差し引かれるので、実質タダ、というわけだ。気になる商品のラインナップは、12月5日の発表時点で40ブランド超。アマゾンのサイトに掲載されている。

 利用するにはスマホに加えて、自宅にWi-Fiネット環境が必要。ダッシュボタンを購入し、Wi-Fiにつなぐとともに、スマホに専用アプリをダウンロード。アプリで、欲しい商品の注文内容を設定する。注文の確認、変更、キャンセルはアプリを通じて行なうことができる。

 アマゾンジャパンによると、ダッシュボタンは、すでに米国、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスなどで販売されている。一足早く2015年に販売が開始された米国では、注文数が、前年比で5倍以上に伸びているという。

 ミネラルウォーターや洗剤、トイレットペーパー、コーヒーなど買い置きが切れそうになると、ボタン一つで商品が届くのは、とても便利。実店舗に足を運ぶ回数が減るなど、消費行動が大きく変わりそう。まさに流通革命だ。もっとも、普及すると「街中が配達のトラックばかりになりそう」との懸念も。
   

   

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