コトバJapan! 板津久作 の 記事一覧

板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。


 安倍晋三首相は、2017年1月26日の予算委員会で、「敵基地攻撃能力」の保有を検討する意向を示した。

 敵基地攻撃能力は、ミサイル攻撃を受ける前に相手国のミサイル発射基地などを攻撃する装備能力のこと。政府はその保有については、「他に自衛手段がない場合に限り、憲法上許される」との立場だ。

 ただ実際のところ、「専守防衛」の方針の下、自衛隊はその能力を保有していない。

 一方、現状の日本のミサイル防衛システムは、多数のミサイル発射に対応できていないのが実情だ。北朝鮮は2017年3月6日、日本海に向け弾道ミサイル4発を同時発射、うち3発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。北朝鮮の核・ミサイルの脅威が「新たな段階」になったのは確実だ。

 日米両国は、自衛隊は「専守防衛」に徹する「盾」、米軍は報復攻撃を加える「矛」と役割分担してきた。「矛」に相当する相手基地への攻撃は原則として米軍に委ねてきたわけだ。

 首相が表明した「敵基地攻撃能力の保有の検討」の背景には、「北朝鮮による脅威がここまで増したのは看過できない。ここで政策転換し、自前の攻撃力を持つべきだ」との思惑がある。

 具体的には敵のミサイル基地や核施設をターゲットに、巡航ミサイルでの攻撃、あるいはステルス機能を持つ戦闘機での爆撃が想定される。ただ現在の自衛隊はこれに必要な装備体系を保有していない。また攻撃目標の探知では米軍の協力が欠かせない。
   

   

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 中国の立法機関。憲法上は「最高国家権力機関」との位置づけで、日本の国会に相当する。毎年3月の開催。2017年は3月5日に開幕した。構成するのは省、直轄市などの地方自治体、軍などから選出された代表(任期5年)で総数は約3000人。

 では何をするかというと、立法機関として憲法改正、法律制定・改正、予算の審議・承認などを行なうほか、国家主席、首相などを選出する権限がある。もっとも、中国共産党の追認機関でしかないのが実情だ。

 とはいえ、内外のメディアに注目されるのは、首相による政治活動報告が行なわれ、中国政府の施政方針や経済成長率の目標値が公表されるからだ。

 今年の全人代の政府活動報告では、2017年の成長率目標をGDP(国内総生産)比「6.5%前後」に設定すると発表した。

 2016年の「6.5~7%」から引き下げたことになる。従来の「高度成長路線」から「安定成長路線」への政策転換を改めて明確にした形だ。

 政府活動報告でとりわけ目を引いたのは、習近平総書記を中国共産党の「核心」と位置づけたことだ。これまで中国共産党政権で、最高指導者を「核心」と呼んだのは、毛沢東、鄧小平、江沢民の3氏だけ。このことは、習近平総書記への権力集中がさらに進んだことを意味する。

 このほか政府活動報告では、軍事力を強化し、「海洋強国」のさらなる推進を目標に掲げた。これまで軍事予算は予算案報告に明記していたが、2017年については、中国財政省がメディアの問い合わせに個別に口答で回答する形を取った。異例のことだが、前年比7.0%増の1兆443億9700万元(約17兆2000億円)と報じられた。経済成長率より軍事予算の伸びが上回ったことになる。

 全人代の次に関心が集まるのは、2017年秋に開かれる中国党大会。毎年開催の全人代と違ってこちらは5年に1度の開催だ。

 予想されるのは指導部メンバーの大幅な入れ替えだ。「核心」となった習近平総書記が人事でどんな差配を行なうのだろうか。
   

   

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 白頭山は中朝国境にある山。標高は2744メートル。朝鮮半島では最高峰である。

 白頭山は、朝鮮民族にとって特別な意味を持つ山だ。民族の祖・檀君(だんくん)の出生地とされるからだ。加えて北朝鮮は第二次世界大戦後、同国を建国した金日成(キム・イルソン)主席が、白頭山を根城とする抗日パルチザンの指導者だったとしている。息子の金正日(キム・ジョンイル)総書記も同地で誕生したという。そのため、白頭山は、檀君を引き合いに、金日成主席の一族を神聖化するための、いわば「舞台装置」と言える。

 「白頭山の血統」は、こうした神聖な白頭山への崇拝を背景に、金日成主席の血を受け継ぐ者が正統と位置付けられている。現在の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は金日成の孫に相当する。

 最近、「白頭山の血統」が取りざたされるのは、2017年2月、マレーシアで金正日総書記の長男である金正男(キム・ジョンナム)氏が、VXガスにより毒殺されたからだ。

 犯行には北朝鮮の国家ぐるみの関与がマレーシア当局の捜査で明らかになっている。金正男氏は、一時期、北朝鮮政権トップの世襲を批判していた。

 金正男氏はまぎれもなく「白頭山の血統」の一人である。その殺害指令は、弟でもある金正恩委員長でない限り、できないはずだ。金正恩委員長が、自身の座を脅かしかねない血統の一人を排除したのである。金正恩委員長は「自分に刃向かうものは断じて許さない」という、独裁者に共通する性格があるようだ。気になるのは、金正男氏の子息も暗殺される可能性を指摘されていることだ。

 「白頭山の血統」の裏には血生臭いものが見え隠れしている。
   

   

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