コトバJapan! 元木昌彦 の 記事一覧

元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。


 2月10日と11日に安倍とトランプの首脳会談が行なわれた。そこで安倍首相は、中国の脅威から日本を守っておくれと懇願したようだ。

 安倍は心底、習近平の中国を怖がっている。そう考えなくては、世界の嫌われ者になったトランプに、50兆円超といわれる「貢ぎ物」を抱えて、あわてて会いに行った理由が解せない。

 先日、国防の責任者・マティスが訪日して、尖閣諸島は日米安保条約・第五条の適用範囲内であると明言したのに、親分に直に会って確かめなければ、とカミさんの手を引っ張って訪米した。

 トランプは、日々高まる国内外の批判やメディアの「ウソつき」口撃にウンザリしていた。そこにいいゴルフ相手が来たと喜んだに違いない。それももの凄いお土産持参である。

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射していなければ共同記者会見も開きたくなかったのではないか。安倍が饒舌なのに比べ、トランプは素っ気なかった。トランプは、こういう言いなりになる僕がオレにはいるんだと世界に見せつければ、後はどうでもよかったはずだ。

 安倍は小心者である。だからプーチンやトランプのような“強く見える男”に憧れる。習近平とひとりで対峙する度胸はない。彼らを盾にして後ろから遠吠えすることしかできはしないのだ。

 「貢ぎ物」の中身は「日米成長雇用イニシアチブ」と言われ、鉄道整備への投資やロボット開発の共同研究などを含めて、アメリカの雇用に多大な貢献をするものだという。菅義偉官房長官は記者会見で「どちらの国もウィンウィンの関係を構築することができる」と説明しているが、大ウソである。

 『ニューズウィーク日本版』(2月14日号)で横田孝編集長は、同盟国とはいえ、なぜ世界第一位の経済大国のために、雇用創出プランを作る必要があるのか。「日本はトランプのATMではない」と批判しているが、その通りである。

 日経新聞(2月2日付)がすっぱ抜いたが、このアメリカのインフラ投資に日本の公的年金を投入するという、とんでもない案まであるというのだ。

 この報道に菅官房長官が激怒したらしい。そもそも政府には公的年金の出資先を指定する権限がないから、あり得ないと言うのだが、安倍ならやりかねない。

 だが、トランプは安倍が頼りにするほど好人物ではない。それが証拠に、安倍が来る直前に習近平と電話会談をして、中国側の「一つの中国」政策を支持し、互いに訪問することまで約束してしまった。

 就任前に安倍がトランプに会いに行ったときにも、和やかだった懇談が終わって安倍がタワーを出た直後に、「TPPは破棄する」とツイートした。

 根っからのビジネスマンであるトランプは、自分に有利だ、儲かると思えば、相手が一国の首相だろうが、交わした約束を反古にするのは朝飯前である。

 安倍は、レーガンと中曽根時代に「ロン・ヤス」と呼び合っていたように、トランプと「ドン・シン」とでも呼び合い、仲のいいところを見せたいと思っているのかもしれない。

 また、祖父の岸信介がアイゼンハワーとゴルフをしたように、自分も大統領とゴルフをして祖父に少し近づいたと錯覚しているのかもしれない。

 だが『週刊ポスト』(2/17号、以下『ポスト』)が報じているように、日米首脳会談は、日本側が軽くあしらわれ、煮え湯を飲まされ続けてきた“屈辱”の歴史なのだ。

 日本で最初に日米首脳会談をしたのは吉田茂だが、51年にサンフランシスコ講和条約締結のために訪米した際には、トルーマン大統領には会えず、やっと会えたのは54年11月で、この時の大統領はアイゼンハワーに代わっていた。

 岸信介は57年にアイゼンハワーと会談しているが、2度目の60年に新安保条約の調印のために訪日したときは、アメリカ側で署名したのはハーター国務長官だった。

 「米国は日本の首相を大統領と同格と見なしていなかった」(『ポスト』)

 佐藤栄作時代は日米の繊維摩擦が激化し、日本はアメリカへの繊維の輸出を大幅に規制するという条件を飲まされ、繊維業界は壊滅的な打撃を被った。

 沖縄返還は実現したが、佐藤は「糸と縄を交換した」と言われた。

 日米首脳会談で最も煮え湯を飲まされたのは田中角栄だろうと、外交評論家の孫崎亨(まござき・うける)は言う。

 田中はアメリカの頭越しに日中国交正常化を目指していたが、それを知ったニクソンは日本に出し抜かれるのを恐れ、「日中交渉の延期」を申し渡すためにキッシンジャー大統領補佐官を日本に派遣した。

 しかし、田中は「なぜオレが補佐官に会わなきゃいけないのか」と渋り、キッシンジャーの要請を一蹴してしまう。

 そのため、中国訪問に先立つ72年8月にハワイで首脳会談をした時、ニクソンもキッシンジャーも激怒していて、田中を罵倒したという。

 『ポスト』によれば、この時、アメリカ側からロッキード社のP-3C対潜哨戒機の売り込みがあったという。

 後にロッキード事件が起こり田中は逮捕されるが、この時のことをアメリカ側が根に持ち、田中を陥れるために事件をつくり出した「謀略」ではなかったのかという見方が、いまだにある。

 宇野宗佑(そうすけ)は首相就任早々、神楽坂の元芸者が宇野との房事を告発したことで短命に終わったが、89年に行なわれた父・ブッシュとの会談もたったの6分だった。

 だが、ブッシュ側からは、アメリカの小売店の日本進出を可能にする大規模小売店舗法改正、日本企業によるアメリカ不動産買い漁りを止めさせるための国内地価抑制などをテーマにする「日米構造協議」の開催などを突きつけ、ことごとく実現させた。

 英語に堪能だと謳われた宮沢喜一も、93年、東京サミットに乗り込んできたクリントンから、アメリカからの輸入量の数値目標を示すよう迫られ、悪名高い米国から日本への「年次改革要望書」も認めさせられたのである。

 「米国は日本に大店法廃止、郵政民営化など毎年の改革要求を突きつけ、日本は経済主権を失い、『第2の占領』状態になった」(『ポスト』)

 社会党出身初の首相になった村山富市(とみいち)は、訪米したがクリントンとはサシでは会えず、他に会ってくれる閣僚はほとんどいなかったという。

 09年、麻生太郎は就任早々のオバマと会うために訪米したが、サシの会談も昼食会も共同記者会見もなかった。

 では先の「ロン・ヤス」時代はどうか。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に苦しんでいたアメリカは、85年9月に、ドル危機を防ぐため円高・ドル安の政策合意を決定した(プラザ合意)。

 1ドル=240円台だった円がわずか3年で1ドル=120円台へと跳ね上がり、その後の超円高時代をもたらした。

 小泉純一郎とブッシュ時代はどうだろう。13回も首脳会談を行なったため、良好だと言われていたが、02年に小泉が北朝鮮を電撃訪問すると、北朝鮮を「悪の枢軸」と非難していたブッシュは日朝接近をぶち壊す方向に動き、「北朝鮮がウラン濃縮計画推進」という情報を公開して、日朝平壌(ピョンヤン)宣言を事実上空文化させてしまったのだ。

 日米首脳会談とは、「米国大統領がヘゲモニーを振りかざし、『NOと言えない』日本の首相が要求を丸呑みするセレモニー」(同)なのである。

 いくら親しそうに見えても国益が絡めば、常に「アメリカファースト」なのは、トランプに始まったことではない。

 そこのところを安倍首相はまったくわかっていない。それが日本にとって最大のリスクであることは間違いない。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 よく雑誌仲間が集まるとこういう話になる。大新聞は、週刊誌からネタを掠め取っているのに、〇月〇日にわかったなどと書くのは許せない。
 新聞に載る雑誌広告は、校了の2日前ぐらいに新聞社に出さなければいけない。それを盗み見たブン屋が取材に走り、発売と同時か場合によっては前日に書いてしまうということがよくある。
 普通の感覚なら「窃盗」である。何度も週刊誌側が抗議して、少しよくなってはいるが、まだまだ徹底されていない。今週もそういうことがあった。恥ずかしくないのかね、大新聞は?

第1位 「愛人が告発!『警察庁高級官僚がベッドで漏らした国家機密』(『フライデー』2/24号)
第2位 「小池百合子を次の総理に」(『週刊現代』2/25号)/「絶好調! 小池百合子都知事の愛犬の名は『ソーリ』」(『週刊ポスト』2/24号)/「ビートたけしの21世紀毒談」(『週刊ポスト』2/24号)/「小池vs.石原ファミリー」(『週刊文春』2/16号)/「豊洲移転きっかけは『小池派区長説』を追う」(『週刊朝日』2/17号)
第3位 「巨人軍元中継ぎエースの転落“結婚サギ訴訟”と“闇スロット通い”」(『週刊文春』2/16号)

 第3位。『文春』が報じている元巨人軍にいた中継ぎエース・越智大祐(おち・だいすけ、33)のゲス不倫。これは不倫というより「結婚詐欺」に近いようだ
 昔は巨人ファンだったが、越智という名前はほとんど記憶にない。左の中継ぎのエース山口鉄也投手と「風神雷神コンビ」と言われていたそうだから、それなりに活躍していたのだろう。
 10年に結婚しているが、件の女性と出会ったのは11年。巨人軍の宮崎キャンプのとき、彼女はその地でキャバクラにいたという。
 客として来店した越智は、彼女のことを気に入り「ホテルに来て欲しい」「会いたい」と盛んに連絡が来るようになった。
 だがその当時、彼女も結婚していて子どももいたそうだ。数年間は客とホステスという関係だったが、ある時、越智から「離婚した」というメッセージが届き、14年の春のキャンプの時から交際するようになったという。
 シーズンが始まると毎週のように東京へ出向いた。その頃越智は「闇スロット」にはまっていて、渋谷のラブホテルが建ち並ぶ中の古びた洋館に通っていたそうだ。
 闇カジノと同じ違法行為だ。そこは山口組系の元組幹部の息子が経営していて、その男と越智は仲がよかったという。
 越智は14年秋に現役を引退したが、その翌年に、親交があった人間が古銭詐欺グループの一員として逮捕された。そのため警視庁から事情聴取と家宅捜索を受けていると言うから、その筋の人間たちとの交流はかなりあったようだ。
 同じ年、巨人軍の野球賭博事件が起き、名前が上がったのが越智と親しかった人間ばかりだったが、越智は忽然と姿を消していた。
 越智は宮崎へ行き、件の女性に「俺は離婚しているんだからお前も離婚しろ」と迫り、彼女は離婚して同棲生活を始めた。
 だが、越智が出したのは生活費として出した20万円だけ。ヒモ生活をしながら朝から晩までパチンコ屋でパチスロを打っていたという。
 そのうち、別れたはずの越智の奥さんから頻繁に電話が入り、越智を問い詰めると「実はずっと結婚しています」と白状し、翌朝、宮崎から姿を消してしまったそうだ。
 その後愛媛の松山で、やはりキャバクラ嬢をたらし込み、「離婚する」「お前の店を出してやる」と嘘八百を並べていたという。
 『文春』を読む限り、越智という男は根っからの詐欺師なのであろう。野球賭博常習者と結婚詐欺師が一時期の巨人軍を支えていたのだ。
 件の女性は「二月中にも婚約不履行で訴訟を起こす予定です」と語っているが、こういう男はこれからも同じことを繰り返すのだろう。

 第2位。小池都知事の勢いはいまのところトランプを凌ぐものがある。全面支援した石川雅己(まさみ)千代田区長が大勝し、ドン内田は責任をとって引退するそうだ。
 返す刀で石原慎太郎元都知事を豊洲移転問題で都議会の特別委員会に参考人招致することを決め、石原もこれを渋々だが承諾した。
 『文春』によると、豊洲だけではなく、石原が立ち上げた新銀行東京問題や、若手芸術家育成事業のTWS(トーキョーワンダーサイト)の抜本的な見直しもやるそうだ。
 TWSは、石原の友人を館長に据え、画家として無名だった四男の延啓(のぶひろ)を諮問委員に登用して大枚を払ったことが私物化だとして問題になった。
 石原には伸晃(のぶてる)をはじめ多くの子どもがいるが、親父が強すぎるせいだろう、ひ弱で自立心のない連中が多い。
 石原は昔『スパルタ教育』という本を出して話題になった。この本に刺激されてわが子をスパルタで育てた親もいたに違いない。だが、ああいう教育は間違いだったと、石原自らが立証してくれたが、真似して育てた子どもたちは今どうなっているのだろう。心配である。
 小池のうまさは具体的な敵を次々につくりあげる政治手法にあるが、心配なのは肝心の豊洲移転や東京都の改革がなかなか進まないことである。
 先日は小池の私設ボディガードが元AV俳優だったと報じられた(『アサヒ芸能』)が、今回も各誌でさまざまなことが報じられている。
 『新潮』(2/16号)では朝鮮総連と蜜月の関係にあった父親の息子が、かつて小池の秘書にいたという。だが、それより大きな問題は『週刊朝日』(以下、『朝日』)が報じている、豊洲移転のきっかけをつくったのは、先日5選を果たした石川区長だったという記事だろう。
 『朝日』によれば、都庁にいた石川氏が築地市場移転に関わったのは、青島幸男が知事に当選した95年の6月、彼が港湾局長の時だという。
 青島は世界都市博覧会を公約通り中止し、開発を予定していた多くの企業が見直しを余儀なくされた。豊洲市場用地を後に都に売却した東京ガスもそうだったが、その時、東京ガスに声をかけたのが石川局長だったそうだ。

 「石川さんが初めて築地の豊洲移転の構想を提案したのです」(築地市場幹部)

 当時築地は営業しながら再整備を進める予定だったが、その方針がガラッと変わったというのだ。
 青島の特別秘書をしていた辺見廣明氏が市場関係者らの面談の席で「豊洲移転」で動いていると話したそうだが、辺見氏は記憶にないという。
 だが豊洲移転に「石川氏がどの程度関与していたかはわかりませんが、彼は自民党の内田都議と仲が良く、業者との蜜月が過ぎるという噂が絶えなかった」ため、青島の判断で港湾局長職は1年間だけで代わってもらったそうだ。
 この問題に詳しいジャーナリストの池上正樹氏は、都は市場の人たちには内緒にして港湾局主導で豊洲の調査や交渉を行なっていた。臨海再開発の失敗による財政悪化で、築地を移転して売却するしかなくなったと話している。
 『朝日』は石川に直撃しているが、例によって、20年以上前のことだからわかんないと言う。だが、青島時代に一旦ご破算になった豊洲移転は水面下で交渉が継続され、石原都政で実を結んだというのである。
 だとすれば、石川区長も呼んで喚問しなければいけないのではないか。
 『ポスト』は小池の愛犬の名前が「ソーリ」というと報じている。将来の総理を目指して付けたのか?
 だが『現代』は、それが実現する可能性が高くなってきたと巻頭で大特集。安倍のような政権が続いているのは、支持率が不思議に落ちないからだが、その理由は「安倍に替わる人間がいない」というのが大半。
 ならばこれだけ人気が沸騰している小池を総理にという声が沸き上がれば、安倍などポイと捨てられるというのである。
 たしかに、都議選で大勝すれば、東京から永田町へ環流する可能性がないわけではない。
 元々小池は永田町で総裁選にまで出たのだから、石原慎太郎が国政へ復帰しようとしたことを考えても、可能性は大かもしれない。
 小池の親分は石破茂(いしば・しげる)だが、いまひとつ人気も出ないし、派閥のまとまりも悪い。
 小池を石破茂が担いで小池総理、石破官房長官。おもしろいとは思うが、小池が都政でどんな実績を残せるのか、もう少し見なければ、彼女の実力はわからない。
 気の早すぎるフライング気味の記事である。
 先週に続いて、『ポスト』のビートたけしの連載がおもしろい
 たけしが小池の手法にこう言っている。

 「『郵政民営化か否か』の郵政解散をやった小泉純一郎元首相のマネをしてるんだろうけど、小池都知事ってのは、物事をこういう『単純な二元論』に持っていくのがうまいよな。
 だけど、この人は小沢一郎やら、小泉やら、そういう大物の親分に寄り添ってただけで、『トップに立つ』って人じゃない。
 実際よく見りゃ、豊洲市場の件だって、五輪開催地の件だって、結局何にも進んでないわけでさ。この辺で、自分の器ってのを見極めておいてほうがいい気がするよね」

 移転不可になった豊洲をこう活用したらいいという。

 「もう移転不可能なら、豊洲をデッカイ刑務所にするしかないんじゃないの。『冷凍庫なんて網走より寒い』『気を抜くと凍死しちゃう』っていうんで、犯罪抑止力もバツグン」

 小池都知事の能力は未知数。器を見ないで馬鹿さわぎするのは、安倍がアベノミクスと言い出して、何だかわからずに支持したことと同じである。

 第1位。今週の第1位は『フライデー』の「ゲス不倫」。『フライデー』は将来の警視総監候補のひとりといわれる警察庁の阿武(あんの)孝雄警視長(44)が、警視庁に交通事故防止のための反射材用品を納入する企業の役員を務める30代の女性Aと不倫関係にあったと報じている。
 出会いは15年11月。その頃阿武は警視庁に出向し、交通総務課長だった。
 A子が言うには、阿武が既婚者だということは知っていたが、熱烈なアプローチと「君と結婚したい」という言葉を信じて関係を持ってしまったという。

 「彼は私の下着やストッキングを頭に被ったり、靴の臭いを嗅ぎたがったりするんです。セックスの時、興奮すると首を絞めてくることもありました」

 彼女はそんな性癖にうんざりしていた。その上、食事代やホテル代も彼女持ちだったという。
 だが、彼女の会社の業績が昨年5月頃から悪化して、デートの費用を出すことが難しくなってくると、阿武の態度が一変して、結婚の話も消えてしまったそうだ。
 こうした不倫行為が許されるわけもないが、それ以上に重大な違法行為をした疑いがあるというのである。
 16年2月頃、あるノートを持ってきて2人で見たというのだ。なかには「方面本部長会議」「署長会議」と書いてあるものもあったという。
 『フライデー』は、彼女が撮影したこれらのノートの写真を確認していると書いている。そこには警察庁内部の不祥事の報告や、伊勢志摩サミットに向けての警察庁の警備方針まで記されていたというから、これは完全にアウトだろう。
 2月10日のasahi.comは「警察庁キャリアが女性と不倫 女性の会社が関連業務受注」と報じているが、05時02分となっているから、『フライデー』を入手して、警察庁に当てたのだろう。
 だが、記事のどこにも「フライデーによれば」とは書いていない。いつも言うが、新聞は情報の入手先ぐらい明記すべきだ。それが報道のイロハである。独自ネタではないのだから、恥を知れよ。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 初場所優勝した稀勢の里が第72代横綱になった。茨城県牛久市出身田子ノ浦部屋(入門時は鳴戸部屋)。本名は萩原寛(はぎわら・ゆたか)、30歳。

 若乃花勝(二子山部屋)以来19年ぶりの日本出身力士の横綱誕生に、久しぶりに大相撲フィーバーが起こっている。

 日本人横綱は相撲協会にとっても悲願であった。そのためにいささか強引な手法をとったのではないかと『週刊ポスト』(2/10号、以下『ポスト』)は報じている。

 横綱審議委員会の協議はたった15分間だった。「直近の4横綱(朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜)の昇進前『6場所』の成績を載せた資料が配られたことも異例でした」(協会関係者)

 横綱昇進の内規には、大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績が条件と書かれている。  しかし、稀勢の里の先場所は12勝3敗の準優勝だったが、優勝した鶴竜とは勝ち星の差が2つある。それに昨年は69勝を挙げ年間最多勝といっても優勝はない。

 初場所は優勝したが、日馬富士、鶴竜の2横綱が休場、優勝争いの大詰めの13日目も大関・豪栄道が休場して不戦勝するなど、内容も完璧とはいえなかった

 千秋楽こそ白鵬をすくい投げで屠(ほふ)ったが、その一番を待たずに協会も横綱審議委員会も稀勢の里の昇進間違いなしというムードだった。

 その背景にはこのところ角界を席巻してきたモンゴル勢の団結の固さを何とかしたいという、協会側の思惑があったことは間違いない。

 「普段から錦糸町や両国などにあるモンゴル料理店に集って日頃の不満をぶつけあうなど、同郷のつながりが強かった。土俵の上でもモンゴル勢同士だと“先輩に対して立ち合いの変化はしにくい”“張り手は出しづらい”といった気遣いが自然と生まれる」(後援会関係者)

 それが証拠に、モンゴル人大関・照ノ富士が昨年3回もカド番に追い込まれたとき、3月場所は鶴竜、7月、11月場所は白鵬から勝ち星をあげ、8勝7敗でカド番を脱出している。

 だがここへきて異変が起きている。初場所の白鵬は4敗したが、初顔合わせのモンゴル人力士、荒鷲と貴ノ岩に敗れているのである。白鵬が初顔合わせの相手に敗れたのは実に7年4か月ぶりのことだった。

 3横綱を擁するモンゴル勢の力関係に、その頂点に立っていた白鵬の力の衰えがはっきり見え始め、変化が生じてきたのだ。

 この機を逃してはならじと、荒技を使って稀勢の里を横綱に“仕立てた”のだろう。

 『ポスト』の言うように、協会が稀勢の里の実力を本物だと考えているなら、かつて大関・貴ノ花が全勝優勝したときに横綱昇進が見送られたように、もうひと場所待つという考え方もあったはずだ。

 私は稀勢の里に横綱の実力がないと考えているわけではない。白鵬に昔日の強さがなくなり、日馬富士、鶴竜には白鵬ほどの強さも魅力もない今、稀勢の里が大横綱になる可能性は大いにあると思う。

 かつて大乃国というガチンコ横綱がいた。千代の富士という名実ともに君臨していた大横綱にガチンコで挑み、双葉山の69連勝超えを狙っていた千代の富士の連勝を53でストップさせたのは大乃国だった。

 横綱としての優勝はわずか1回。横綱であるにもかかわらず負け越すという失態を演じたにもかかわらず、多くのファンから愛された。

 白鵬の連勝を63でストップさせたのは稀勢の里だった。「土俵上で馴れ合いにならないよう、力士に友達は作らないと公言する“変人”である稀勢の里」(別の後援会関係者)に大乃国をダブらせる相撲ファンも多いという。

 『週刊ポスト』(2/17号)は、稀勢の里が所属する部屋もガチンコ揃いだという。

 「あの部屋はとにかく変わっている。他の部屋に出稽古に行くことはないし、よそから出稽古を受け入れることもない。所属力士たちも巡業などで他の部屋の人間と交わろうとしません。
 そんな変人揃いの部屋なんですが、それでいて妙な団結力がある。田子の浦親方(元前頭・隆の鶴)は、稀勢の里のことをいまだに“横綱”ではなく、“萩原(本名・萩原寛)”と呼んでいるし、稀勢の里のほうもそれに文句をいうこともない。むしろ大関になってからも進んで部屋のトイレ掃除をしていたくらいです」(相撲協会関係者)

 11年に先代・鳴戸親方(元横綱・隆の里)が亡くなった際に、部屋付親方となっていた隆の鶴が部屋を継いでいる。

 「その後、先代の女将さんとの対立が表面化して独立することになった。それが現在の田子ノ浦部屋です。そうした経緯を一緒にくぐってきた稀勢を始めとする所属力士や部屋付きの西岩親方(元関脇・若の里)たちの団結は強い。それは、“先代・鳴戸親方の遺志を継ぐ”という思いの表われでもあると思います」(同)

 しかし、稀勢の里を迎え撃つモンゴル力士たちの団結力も半端ではないようだ。

 特に稀勢の里の横綱昇進に対して、「朝青龍が引退した後、一人横綱で燃えるものが少なかったが、その後2人横綱(日馬富士、鶴竜)が出てきて、眠っていたものがワッと出てきた。今回もそんな気持ちかな」と語った白鵬の入れ込みようは半端なものではないというが、いかんせん体力の衰えは隠しようがなくなっている。

 「白鵬も立場としては追い込まれているんですよ。稀勢の里の横綱昇進によって悲願だった『日本国籍を取得しないままでの一代年寄取得』に暗雲が立ち込めている。これまでは3横綱といっても協会は白鵬人気に頼っている部分が大きかった。白鵬の土俵入りは本場所だけでなく、巡業や奉納相撲での華ですから。必然的に白鵬の悲願は無下に扱えない状況になっていた。そうした力関係が、大人気の日本人横綱が誕生したことで一変するわけです」(時津風一門の親方)

 また1月31日にはモンゴル出身の元小結・時天空(ときてんくう)が悪性リンパ腫のために亡くなってしまった。

 「白鵬に苦言を呈することができる数少ない先輩だった。時天空自身は帰化して年寄名跡を取得しており、“郷に入っては郷に従え”という考えで、白鵬の主張するモンゴル籍のままでの一代年寄取得には否定的だった。その死によって白鵬の心境にどんな変化があるかはわかりませんが、あらゆる手段を講じてモンゴル国籍のまま協会に残れるように動いた結果、手詰まりになっているのは間違いなく、すでに帰化を決断したという話も聞く。いずれにせよ、来場所以降も稀勢の里にズルズルと負け続けるようであれば、引退に追い込まれ、そのまま協会を去ることにもなりかねない」(同)

 横綱は「日下開山(ひのしたかいさん)」と呼ばれることもある。天下無双という意味である。

 新入幕以来、間違いなく将来の横綱といわれてきた稀勢の里だったが、30にしての遅咲きである。

 相撲に造詣が深かった作家の山口瞳は、横綱になった力士に“哀しさ”を見た。頂点に登り詰めれば後は落ちていくだけだからだ。

 白鵬が引退してもモンゴル出身の力士は次々に出てきて、金星を奪おうと稀勢の里に向かってくる。稀勢の里の時代はそう長くはないであろう。毎場所が彼にとっては正念場になる。

 日本人とかモンゴル人だからというのは関係ない。ガチンコの真剣勝負を見せてくれれば、私の子どもの頃のような、若貴時代のような相撲人気は復活するはずだ。5月場所は久しぶりに国技館へ行ってみようと思っている。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 日ハム大谷翔平の足の具合や、テニスの錦織圭のここという時の勝負弱さは気になるが、ゴルフの松山英樹の強さは本物である。
 全盛期のタイガー・ウッズとはいわないまでも、ショットの安定感、パターのうまさは、常に首位争いを狙えるのはもちろんのこと、日本ゴルフ界の悲願であるメジャー優勝を現実のものにしてくれると思う。
 素人目に見ても、大谷や錦織よりもメンタルの強さがいまの松山にはある。4月にあるマスターズの最有力選手は間違いなく松山だ。

第1位 「小池百合子イケメンSPはポルノ俳優だった!」(『アサヒ芸能』2/9号)
第2位 「ビートたけしの21世紀毒談」(『週刊ポスト』2/17号)
第3位 「松山英樹『進化するスイング』を解剖する」(『週刊現代』2/18号)

 第3位。2月6日の朝早く起きて、NHKBSでやっていた米男子ゴルフのフェニックス・オープンを見た。
 首位と4打差でスタートした松山英樹が素晴らしいゴルフをして、通算17アンダーで首位に立ち、全米オープン覇者のウェブ・シンプソンとプレイオフになった。
 まさしく死闘の末、シンプソンをねじ伏せ、昨年に続き優勝してツアー4勝目を飾った。
 『現代』は松山のスイングをグラビアで分析している。たしかに身体の厚みも増し、スイングに豪快さが出てきたことはたしかだ。
 ドライバーのブレも少ない。その上パターが格段に進歩した。だが、一番進歩したのは一流選手たちと競い、勝ったことで自信が出てきたことだろう。
 ゴルフはメンタルなスポーツだといわれる。トップからフィニッシュに至るまでに、これまで失敗したすべてのシーンが甦るといわれる。
 あれほどの強さを誇ったタイガー・ウッズが、腰を痛めたこともあるだろうが、別人のように精彩がなくなってしまった。
 タイガーはきっと、ドライバーを振り上げて降ろすまでに、これまでSEXしたオンナたちの顔やカラダが頭に浮かぶのではないか。
 大勢のギャラリーがそのことを知り、笑っているのではないかと思うのではないか。
 その雑念が微妙にスイングを狂わせ、フェアウェーを大きく外してしまうのではないだろうか。
 松山にはいま、それがない。彼女もいないようだ。ゴルフだけを考えていればいい。
 予言しておこう。今年はメジャーを獲るチャンスの年だ。彼ならやれるかもしれない。
 だが、今年を逃すと、来年は「なんでメジャーをとれないのか」という雑念が出てくる。再来年はもっと悩むようになる。
 何も考えず、勝てるときに勝つ。これこそがゴルフの唯一の要諦である。
 今年の松山から目が離せない。

 第2位。『ポスト』のビートたけしの連載は、ときどきおもしろいものがある。今号はテレビの自主規制について。

 「こういうふうにテレビの悪口をいっていると、『これからはインターネットの時代だ』って大喜びする人間は多い。だけど、ネットだってろくでもない。そもそもテレビが自主規制を強めたのはネットのせいだ。
 ネット社会じゃ、番組のクレームが直接スポンサーにいってしまう。『不買運動を起こせ!』とけしかけるヒマ人まで出てきた。だからテレビ局が萎縮する。
 相反する2つの意見があったとしても、ネット社会じゃ論争なんて立派なことになりゃしない。多数派が寄って集って少数派を袋叩きという図式になっちまう。名前も出さない匿名のヤツラが、ターゲットを決めてリンチする。そんなヤツラに狙われちゃたまらないってことで、テレビの制作側が勝手に自主規制や問題タレントの排除を始めちゃうんだ。
 ネット=悪とはいわない。情報ツールとして有効なのはよくわかる。だけど、『バカが簡単にモノをいう社会』を作ってしまったのも事実だ。2歳の子供にタバコを吸わせた動画をフェイスブックに上げたり、コンビニで売り物のおでんをツンツンしてる姿をユーチューブにアップしたり、やっていいことと悪いことの区別もつかないバカばかり。今や誰もがスマホから自分のバカさをワンタッチで拡散できるから、迷惑がエスカレートするんだよな。  『ネットはバカのための拡声器』でしかない。大して利口じゃないヤツが一日中スマホにかじりついてても、時間とカネを賢いヤツラにむしり取られて終わるのがオチだよ」

 最近のゲス不倫について。

 「だけど、『ちょっとおかしいぞ』と思ったのが『五体不満足』の乙武(洋匡)くんの不倫報道への世間の反応だ。
 週刊新潮にオネエチャンとの海外旅行をスクープされて、直撃取材に『結婚してから5人と不倫してた』と認めて大騒ぎになって、結局奥さんとは離婚しちゃった。
 教育者の活動もしていて、マジメで誠実なイメージがある乙武くんと『不倫』がまったく合わないから驚かれたんだろうけど、本当はこの問題はもっと根深い。ちゃんと考えておかなきゃいけないと思うのは、世間がなぜ『乙武くんは不倫をしないマジメな男だ』と勝手に決めつけたのかってことだよ。
 『テレビで知的なコメントをしているから』とか『著書に感銘を受けたから』みたいな理由ならともかく、もし『身体障害者なのに不倫するわけがない』とか『障害のある人はマジメに地道に生きてるもんだと思ってた』って感覚が根底にあるとしたら、それって実はものすごく差別的な考え方だよ。
 体にハンディがあろうがなかろうが、人間の性格や嗜好ってのはそれとはまったく独立したものだ。障害を持ってる人だって、そうでない人たちと同じように性欲があるし、もちろん不倫をすることだってあるのが当然なんだよな。
 だけど実際は『障害者だからそんなことしない』って決めつけてる人が多い。この不倫劇は、そんなニッポン人のゆがんだ潜在意識を浮き彫りにしたかもしれない」

 このおじちゃん、たまにはいいこと言うやんか。

 第1位。「アメリカファースト」のトランプ大統領のやることなすことが世界中の批判を浴びているが、「都民ファースト」の小池百合子都知事の快進撃はいまのところとどまるところを知らないように見える。
 小池対ドン・内田の最初の対決になった2月5日の千代田区長選は、小池都知事の推した5選を目指す石川雅己氏(75)が、新人だが与謝野馨元官房長官の甥で自民党が推していた与謝野信(よさの・まこと)氏(41)に圧勝した。
 『週刊新潮』(2/9号)が報じているように、石川氏には多選批判があり、区議会と対立して補助金着服に関する問題で百条委員会に証人喚問されたりと、決して評判のいい首長とは言えないらしい。
 それでも小池人気に乗ってドン内田&都議会自民党と対立すれば「みんないい人」になってしまうのだから、トランプがこのことを知ったらどれほど羨むことであろう。
 小池にまつわるオモシロイ話が『アサヒ芸能』(以下、『アサ芸』)に載っている。『アサ芸』によれば、小池の身辺警護をしているイケメン専属ボディガードは、かつてVシネマ俳優で、「さらに調べるとアダルト作品への出演歴が発覚」(『アサ芸』)したというのだ。
 この御仁、交流サイトのトップページに小池とのツーショット写真を掲載している。小池塾に通い政治家を目指していると見る向きもあるようだ。
 小池の覚えが目出度いのだろうと思うと不可思議なことに、小池百合子事務所側にこのボディガード氏について尋ねると、「弊事務所及び小池百合子氏のいずれも雇用契約を結んだことはございません」(代理の弁護士)と答えたそうだ。
 何の関係もない人間に身辺警護をさせるはずもないし、男が勝手に警護しているわけでもなかろう。AV歴があることを知った小池側が切ったのだろうか。
 ともかく、こんなことも話題になるぐらい、小池人気がすごいということだろうが、どこまで続くか見物ではある。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 電通社員・高橋まつりさんが長時間労働や上司の心ないパワハラによって自殺したことで、企業側が社員の適正な労働時間を守り「働き方改革」をするよう政府や厚労省が提唱し始めた。

 しかし、三菱電機でもパワハラと常態化した長時間労働の実態が明らかになった。

 『週刊現代』(2/4号、以下『現代』)によると、13年4月、三菱電機に入社したA氏(31)は、上司から「言われたことしかできないのか。じゃあ、お前は俺が死ねと言ったら死ぬのか」と罵倒された。月の残業時間が160時間にもなるのに、会社へは59時間と過少申告せざるを得なかった。そうしたことが重なり、A氏は適応障害を発症して労災休業が認められたにもかかわらず、三菱電機は彼を解雇した。

 A氏の訴えを受けて藤沢労働基準監督署はA氏を労災認定し、三菱電機と当時の上司を横浜地検に書類送検したのだ。

 こうした流れの中で長時間労働は減ってきているのか。『現代』は有名企業50社を調査して実態を実名とともに公開した。

 やはり三菱電機は月の残業時間が160時間と最も多く、新日鐵住金長谷工コーポレーションが150時間、野村不動産が120時間(いずれも最大)。

 外食産業大手のすかいらーくグループの社員は「うちに限らず、外食産業はブラックそのものですよ。社員が長時間労働になるのは、単純にバイトの人手不足からです」と言う。

 彼は朝10時に来て帰るのは深夜0時過ぎだから、月に残業は120時間になる。だが、それがまるまる残業代として給与に反映するわけではない。

 損保業界は営業職にも「裁量労働制」が採用されている。損保ジャパン日本興亜の20代の営業マンは、「私の『みなし労働時間』は9時間なのですが、実際には12時間働いています。成果主義の賃金体系なので、高い目標を設定させられますが、それを達成しようとすると、とてもではないが9時間では収まらない。ところが、賃金は9時間分で固定されているため、得をしているのは会社だけ」だと話す。

 東京海上日動の30代社員も「国が働き方を決めるのなら、現実の労働時間と『みなし労働時間』の大きなズレもきちんと調査してほしい」と言っている。

 『現代』に出ている50社の社員のコメントを読むと、長時間労働には「仕方がない」というのも含めて肯定的な意見も多いように思う。

 仕事にやりがいがあり、残業に見合う給与が払われればやるという意見が大半である。

 サービス残業はある程度仕方ないし、残業は家計の足しになるという声も多い。

 口汚いパワハラや部下を思いやらないバカな上司への不満を漏らす意見のほうが多い。

 「部下に長時間の残業をさせる上司は無能」(富士通30代のSE)、「長時間労働とパワハラでうつ病を発症」(三菱電機30代研究部門)、「必要があって仕事をしているのに、上司に責められるのが許せない」(三井物産30代営業)「労働環境は過酷の一言。残業代がゼロになって給料が下がれば、誰もCAになりたがらないのでは」(日本航空30代CA)、「長時間労働よりも上司のパワハラが大きい」(野村證券30代個人営業)、「残業代をケチる企業を何とかしてほしい」(三井住友海上30代営業)、「少しでも気を抜くと、本部から厳しく叱責され、気持ちの逃げ場がない」(ファーストリテイリング40代店長)

 だが村田製作所のように残業は月30時間程度で、「企業風土の問題。無理な目標を立てたり、無謀な受注をしたりしなければ、仕事は定時で終わるのが普通」(40代管理職)。ニトリは残業が月30時間を超えるとメールで警告され、「電通のように月100時間超はまったく考えられない」(30代商品企画)。同じ航空会社でも全日空は「残業月100時間などは到底考えられない」(30代本社勤務)

 また東京電力のように、長時間残業は皆無だが、かつての高給は大幅に下げられ残業代もほとんど付かず、家計を圧迫されている40代総務の人間もいる。

 私がいた出版社も残業時間は長い。入社した当初、人と打ち合わせで飲んでいる時間もすべて残業として申告しろといわれ、バカ正直に残業時間250時間と出したら、役員会で大問題になった。

 早速人事課長に呼びつけられ、何としても100時間以内に収めろといわれた。その会社では当時、残業代は青天井だったから、毎月の給料より残業代が大きく上回っていた。

 だが出版も含め、新聞、テレビも「みなし残業制」になったから、「本給の7割くらいが別途支給」(朝日新聞30代記者)されるようになった。

 これだと、働く人間と適当に仕事をこなしている人間と同じ残業代になるから、正直、働く者がバカを見ることになる。

 だが、仕事にやりがいがあり、上司もそれを認めてくれれば、長時間労働そのものはさほど気にはならないはずだ。

 私の若い友人で、小さな出版社で働いているヤツがいるが、彼は月に1日休めればいいほうだと言っている。

 だが、編集の仕事が好きだから、疲れるが辞めようとは思わないと言う。

 電通の事件は長時間残業よりも上司のパワハラが原因による精神的な問題が大きかったのではないかと言われている。

 先ほどの三菱電機の例もそうだったが、社員がさまざまなプレッシャーで精神的に変調をきたしたとき、それをケアする体制が企業側に求められるはずだ。

 やむなく長時間労働をした後は有給休暇をとらせるなどして、肉体と精神をリフレッシュさせることが重要なのは言うまでもない。

 だが、一部の優良企業を除いては、そのような体制はおろか残業代もろくに支払われない企業が圧倒的に多いはずである。

 まして非正規労働者は長時間労働を拒むことも、有給の休暇をとることもできはしない。

 こうした人たちが病を得て辞めていっても、会社側は黙したまま語らない。こういう人たちの過酷な労働状況を改善することこそ、政治の喫緊の課題であるはずだ。

 それなのに経済産業省は、プレミアムフライデーなるものを2月から導入するとしている。なぜこのようなものを導入するのか? 説明も不十分だし、その効果はほとんどないと思う。

 仮に午後3時に仕事を終わるとして、残りの時間の給与は払われるのか。デパートなどは売上を伸ばそうと手ぐすねを引いているが、時間ばかり余ってカネがないのでは、家に帰ってテレビや音楽を聴くかふて寝するしかない。

 アンケートでは、時間ができたら旅行へ行きたいという人が多いというが、独身者ならともかく妻帯者では月に一回も無理だろう。

 賃金が上がらずに余暇を楽しめ、カネを使えと言われても、ない袖は振れない。余暇を増やすならそれに見合うカネを支給するか、金曜日には働いている人に等しく現金1万円を配るとか具体的なものがなければ、よほど儲かって社員思いの企業以外、そんなバカバカしい制度をやろうという企業はほとんど出てこないであろう。

 少子化対策が重要だと言いながら、女性の社会参加を奨励する。一億総活躍社会だと言いながら、賃金は上げず、休日ばかり増やしたり早引けさせたりして消費を盛り上げろと調子っぱずれの進軍ラッパを吹き続ける。安倍政権のやることは私にはまったく理解し難いことばかりである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 トランプという男はすごい。これほど言行一致の大統領はアメリカの歴史のなかでも希有であろう。
 メキシコ国境にトランプの長城を建設する。イスラム圏からの移民は排斥する。アメリカの雇用を増やさない企業は許さない。日銀の黒田総裁が安倍の言うがままに大量のお札を刷り続けているように、毎日毎日、大量の大統領令を発行し続けている。
 たしかに、そのためにかかる予算は議会の承認が必要になるが、トランプのやることすべてを止めることはできないだろう。もしそんなことをすれば、トランプは機関銃でも持ち出して反対するヤツらに発砲するかもしれない。失礼な言い方だが、バカは隣の北朝鮮より怖い。

第1位 「こいつ、本物のバカかもしれない トランプ日本口撃が怖すぎる」(『週刊現代』2/11号)/「『在沖縄米軍を台湾へ』トランプ高官候補が日中に突きつけた刃」(『週刊文春』2/2号)/「トランプに会談を蹴られた安倍首相の“逃げ恥”」(『週刊ポスト』2/10号)
第2位 「文科省『天下り斡旋』の責任者 前川喜平事務次官に退職金5610万円」(『週刊現代』2/11号)
第3位 「75歳オーバータクシー運転手 何人いるんですか?」(『週刊ポスト』2/10号)

 第3位。『ポスト』の素朴な疑問特集。今週は75歳を超えるドライバーの死亡事故率は2倍になると今年1月の警察庁の発表を受けて、ではタクシードライバーにはどれぐらいの75歳オーバー運転手がいるのかと調べてみた。
 大手のタクシー会社に聞いたがどこもハッキリした答えはなかったようだ。
 そこで『ポスト』が独自に調べると、東京地区では75歳~79歳の運転手は2522人。80歳以上も442人いる。
 大阪地区は75歳以上が1416人で、個人タクシー運転手の1割以上が75歳オーバーだそうだ。
 08年からの道交法改正で「もみじマーク」の掲示は努力義務になった。しかし タクシーに貼ってあるのを見ないが、もし貼っていれば相当な数のタクシーが「もみじマーク」になる。
 1月30日から東京のタクシーの初乗りが「約1km380円~410円」になった。高齢者が気軽に乗れるタクシーという考えはいいが、運転するのも乗客も高齢者ばかりということになりかねない。
 それはそれでいいが、私も含めて高齢者は短気である。目も耳も不自由になっているのに、ちょっとしたことでカーッとして、無茶な運転をしないように心がけてもらいたいものだ。

 第2位。本来なら省庁による天下りの斡旋は禁止されているが、文部科学省で09年頃から人事課OBを通じた組織ぐるみの再就職斡旋が行なわれてきたことが発覚した。
 なかでも悪質なのは、早稲田大学へ天下った吉田大輔前高等教育局長のケースである。
 文科省の人事課が早稲田に対して吉田の天下りを働きかけたにもかかわらず、内閣府の再就職等監視委員会の調査に備え、吉田や早稲田に対して虚偽の仮想問答まで準備していた。
 そこには吉田が自発的に面接を受け、採用されたとあった。嘘っぱちである。
 吉田は文科省を定年退職したときに5260万円の退職金を受け取り、早稲田でも年収1400万円もらっていたという。
 私もやっていた非常勤講師などは、1回でもらう講師料は雀の涙ほどもない。
 第一、吉田が何を教えられるというのか。最低の教育とはどういうことかを、身をもって学生たちに教えていたのだろうか。
 だいたい、官僚上がりの教授は、私の経験では態度が横柄なのが多い。高級官僚出身というだけで、訳もわからず敬ってしまう学生が多いからだ。
 しかも『現代』によれば、こうしたことをやってきた元締めの事務次官、前川喜平が引責辞任したにもかかわらず、退職金の5610万円を受け取るつもりだというのだ。
 麻生太郎財務相は、蓮舫民進党代表に対して、「天下りって言葉は安易に使われない方が良いと思います。いかにも上から目線に感じます(中略)天上がっている方もずいぶんいらっしゃるように感じますので」と答弁したとasahi.com(1月30日)が報じている。
 天上がりでもいいが、官僚の中にも優秀なのはいくらかはいるだろうから、そうした人間を民間で活用する仕組みをこそ、本気で考えるべきである。

 第1位。トランプ大統領の暴走が止まらない。メキシコ国境にトランプの長城を築き、何兆円もの費用をメキシコ側に払わせると言って、メキシコ国民を激怒させた。
 トランプ政権のバノン大統領上級顧問兼首席戦略官が26日のニューヨーク・タイムズ紙の電話インタビューで、「メディアは恥ずかしい思いをし、屈辱を与えられるべきだ。黙ってしばらく聞いていろ」と威嚇したとasahi.com(1月27日)が報じている。
 まさに「バカは隣の火事より怖い」である。こんな連中と話し合いをしなければいけない安倍首相が可哀相に見えるぐらいだ。急いで首脳会談などやらないほうがいい。
 『文春』は、元国連大使でトランプ政権の高官候補といわれるジョン・ボルト氏が米ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿して「在沖縄米軍の少なくとも一部を(台湾に)再配備してもいいかもしれない」と言い、物議を醸しているという。
 そんなことをすれば中国が黙っていないことはもちろんのこと、中国関係を悪化させたくない台湾にとっても迷惑だし、日本も中国の脅威にこれまで以上に怯えなくてはいけなくなる。
 トランプ外交は世界からそっぽを向かれ始めている。その証拠に「シリア内戦をめぐり(中略)アサド政権と反体制派の和平協議は24日、昨年末に発効した停戦合意を完全に履行させるため、仲介役のロシア、トルコ、イランによる停戦監視の仕組みを設けるとした共同声明を発表、閉会した」(朝日新聞1月25日付)。アメリカ抜きで動き始めているのである。
 『現代』は「こいつ、本物のバカかもしれない」として、80年代にトランプのゴーストライターを18か月やっていたトニー・シュウォーツ氏を登場させ、こう言わせている。

 「どのような話題をふってみても、インタビューが5分と続くことはありませんでした。彼は一つのテーマに集中することができない性格で、過去のことを聞いても『終わったことを話してもしょうがない』と怒り出す始末。まるで教室でじっとしていられない幼稚園児のようでした。
 トランプ氏のような人物が、核ミサイルのボタンを押す決定権を握っているということは、恐怖以外のなにものでもありません」

 彼はまた、トランプ氏の知的水準の低さは驚くべきもので、情報源はテレビ、彼が本を読んでいるところも、自宅やオフィスに本を見たこともないと言う。
 また、トランプ大統領は周りにウォールストリート関係者を多数置いているから、政権下でインサイダー取引や相場操縦が行なわれる可能性を危惧する声まである。
 日本を含めた世界中のトランプ大統領への見通しが甘かったことは、わずか1週間ほどしか経っていないのに証明された。
 なかでも安倍首相は、大甘の最たるものだろう。
 まあ、この人に相手の人柄や能力を見分ける力が備わっていると考えるほうが無理があろうが。
 『ポスト』は、安倍首相はトランプが就任してすぐに首脳会談をやり、首脳同士でも蜜月なところを世界に知らしめたいとトランプ大統領側に申し込んでいたが、逃げられてしまって恥をかいたと報じている。
 電話会談でも各国首脳の後塵を拝した。
 だが何としてもトランプにお目もじしたいと懇願して、会えることにはなったが、向こう側がこういう条件を出したというのだ。
 麻生副総理の同席だ。なぜなら、トランプは大の王室好きで、英国のメイ首相が最初の首脳会談相手になったのも、英国側が今夏、トランプを国賓として招待し、エリザベス女王との会見をセットすると打診したからだと、自民党の外交族議員が明かしている。
 したがって、日本の皇族と縁戚である麻生氏に同行してもらうという条件で、首脳会談を持ちかけたらのってきたというのである。
 どこまで信じられる話かわからないが、このような相手と急いで会うことはなかろうと思うのだが。
 首相がそんな具合だから、日本の企業も早々とトランプに跪(ひざまず)くところが次々に出てくる。

 「トランプ米大統領が大統領令で、中東・アフリカの7カ国の国民や難民の入国を一時禁止したことを受け、全日空と日本航空は30日、対象の人の米国便への搭乗を原則として断る方針を決めた」(朝日新聞1月31日付)

 搭乗者が自己判断すればいいことで、飛行機会社がそんなことをする必要はない。
 この国は元々、長いものには巻かれろというのが生き方の基本にある。戦前の軍、終戦後の占領軍、そしていまは数だけはある自民党政権に唯々諾々と従うのが、日本人の日本人らしい生き方なのである。
 このままいけば早晩トランプ政権は国内外から批判を受け、立ち往生すること間違いない。
 自らすすんでひれ伏すことはない。しばらくは高みの見物といくのも、日本人的な生き方だと思うのだが。
   

   

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