コトバJapan! 経済 の 記事一覧


 自動車産業はそれほど先ではない時期に斜陽産業になる。そう私は思っている。

 だいぶ前になる。私は講談社という出版社に籍を置いていたが、50代半ばで自動車専門雑誌を出す子会社に出向させられたことがあった。

 社員全員を集めた初めての会議で私は、「クルマは人殺しの道具である。そんなものを、宣伝・広報する雑誌を私はやりたくない」と言って全員の大顰蹙を買ったことがあった。

 この無茶苦茶な暴言について少し説明する。クルマはもはやスタイルやスピードを競うのではなく(当時は自動車事故の死者が毎年1万人前後で推移していた)、安全性に一番カネをつぎ込むべきなのに、それをしない自動車産業は怠慢であり批判されるべきだ。このままいけば石炭産業や鉄鋼産業と同じ運命が待ち受けているに違いないというものだった。

 最近になってクルマ業界も安全性を声高に言うようになり、高級車には自動ブレーキなどを取り付けるようになったが、私に言わせれば遅きに失したと思う。

 CO2排出削減が叫ばれるようになり電気自動車(EV)への移行が始まってはいるが、私は、EVが普及する前に自動運転車が主流になり、既存の自動車メーカーはグーグルやインテルといったIT企業の下請けとして生きるしか道はないのではないかと考えている。

 今回は自動車産業の未来を云々することではないので、ここらあたりでやめておくが、クルマは国家なりという時代は遠い夢物語になりつつあるのだ。

 現時点だけでとらえれば、トヨタが日本を代表する企業であることは間違いない。だがここも、さして明るくない自社の未来をどう考えるのかということよりも、昔ながらの人事抗争に明け暮れていると『週刊現代』(5/6・13号、以下『現代』)が報じている。

 『現代』によれば、4月1日付で発表されたトヨタの役員人事が「懲罰人事」だと、社内ではこの話題で持ちきりだったというのだ。

 その人事とは、牟田弘文専務役員(61)が退任して子会社の日野自動車顧問に就任し、6月の株主総会で副社長に就くというものだが、これが「懲罰人事」だとされるのは、日野の新社長に牟田の下にいた下義生(しも・よしお)常務が抜擢されたからである。

 日野自動車社長は代々トヨタの専務経験者が就くポストだそうだから、系列企業の役員は「豊田章男(とよた・あきお)社長の逆鱗に触れた牟田氏に対する懲罰人事。自分に逆らえば、こういうことになることをトヨタグループ中に見せしめた」と解説している。

 では、何が社長の逆鱗に触れたのかというと、これがよくわからない。一つは15年8月に発生した中国・天津市の国際物流センターでの爆発事故の際、現場近くのトヨタの合弁工場の従業員50人近くが負傷したために生産が10日間近く止まってしまったのだ。

 そのとき、豊田社長は現地に入って陣頭指揮をとると言い出したのだが、牟田専務が現場は大混乱しているので、社長を受け入れる余裕がないと引き留めたというのである。部下としては当然の意見具申ではないのかと思うが、豊田社長は立腹したそうである。

 続いて16年4月にトヨタが導入したカンパニー制にも「トヨタの強みが失われる」と主張して最後まで反対したという。

 カンパニー制にすると、自動車会社として大事なブランドイメージなどがバラバラになるリスクがあるという危惧からのようだ。

 だが、そうしたことに腹を立てた豊田社長が、牟田氏が率いる、工場の建設からロボットやプレス機器など各種機械を導入して製造ラインの設計・構築を担当するトヨタの中枢である生産技術部門全体を「抵抗勢力」とみなし、関係者を放逐し始めたという声まであがっているそうだ。

 実際、牟田氏の有力後継者とみなされていた花井幹雄常務理事まで退任となり、「まるでどこかの国の粛清人事を見ているようだ」(中堅幹部)という不満もある。

 実際、牟田氏の送別会では、「こんな会社はやってられないので辞めてやる」という不満と愚痴がさく裂したそうだ。

 その一方で、社長と仲良しの人間たちを厚遇する人事を始めたというから、社内から不満の声が起こるのは致し方ないのかもしれない。

 その象徴は同じ4月1日付で、トヨタOBでデンソー副会長の小林耕士氏を本社相談役に就けた人事だという。

 トヨタの相談役は副社長以上経験者が就くケースがほとんどだが、小林氏はトヨタで執行役員にも就いていない。なぜその彼が相談役に就けたのか。

 彼はトヨタグループの中では知る人ぞ知るという人物で、一部では「トヨタの陰の会長」と呼ばれており、豊田社長の相談に乗り、役員・幹部の人事にも影響力を持つといわれる存在だそうだ。また、社長側近の一人である永田理専務が副社長に昇格し門外漢のCFO(最高財務責任者)に就いたことも「仲良し人事」と見られているそうである。

 また、常務から専務へ昇格する上田達郎総務・人事本部長も豊田社長の信頼が厚く、社内で「トヨタの柳沢吉保」と呼ばれるほど、社長の意向を忖度する能力には長けているといわれているそうだ。

 「選任された社内取締役を見ると、『いい人』『自分の意見を強く言わない人』という評判の人ばかり。結局、豊田社長は本質的な議論ができない取締役会を作ったのであり、それは自分が意見を言われるのが嫌いだからと見られても仕方がないでしょう」(中堅幹部)

 これをレポートしているジャーナリスト・井上久男は朝日新聞出身。彼はこのままでは、トヨタは激しい競争から劣後しかねないという危機感を覚えると書いている。

 「かつてのトヨタ担当記者は健全な批判を書くことで一目置かれたが、現在は批判記事を書こうものなら即刻出入り禁止処分を受けることがある。しかし、筆者はあえて書く」(井上)

 最近、安全管理に厳しいはずのトヨタで火事が起こっている。工場管理の基本は5S(整理・整頓・清掃、清潔・躾)にあるが、今のトヨタにはそれさえできていないのではないかという。

 また、トヨタの系列企業の団体に「協豊会」というのがあり、年に一回の総会が4月10日に開催されたが、豊田社長はフランスで行なわれた世界ラリー選手権の視察に行っており、下請け企業からは「俺たちよりもレースのほうが大切なのか」という嘆きが出たという。

 このところ独壇場だった国内販売でもほころびが出ている。3月の新車販売で日産『ノート』が1位を獲得しているが、この新型ノートは昨年11月の発売以来3か月もトップを取っているそうである。

 それに比べてトヨタの『プリウス』は新車発売1年余りで陰りが出ており、当初の計画通りには売れていないそうだ。

 ノートが評価されたのは、EVに近い新しいハイブリッドシステムを搭載したことにもあり、国内市場でもEVへの評価が高まりつつあることの現れと見る販売店は多いという。

 だがトヨタはEVをまだ販売しておらず、16年12月1日付でトヨタ社長直轄のEV事業企画室を新設したばかりなのだ。

 EVへの取り組みが遅れたのは、社内で意見を言うと社長に悪く思われはしないかという「忖度」が働いたからだという。

 世界的にみれば自動車業界は合従連衡の渦の中にいる。昨秋、米クアルコムは車載用に強いオランダの半導体会社を約5兆円で買収。今年3月には米インテルが自動運転の画像処理に強いイスラエルのモービルアイを約1兆7000億円で買収することに合意し、このインテルやモービルアイ、独BMWは自動運転での提携を発表している。

 井上はこう結んでいる。

 「ダイナミックな世界の動きに比べて、トヨタでは明確かつ大胆な戦略が見えてこない。自動車産業は勝者と敗者の入れ替わりが激しい業界だけに、このままではトヨタが負け組に転落する日が来てもおかしくないと感じてしまうのである」

 盛者必衰。トヨタも永遠ではない。安倍首相と同じように、トランプ大統領の言うことに付き従っていれば「安泰」だとトップが考えているとすれば、トヨタには明日がないかもしれない。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 トランプのアメリカは北朝鮮への圧力を強めている。いつ不測の事態が起きても不思議ではなく、韓国はもとより中国、ロシアも緊張感をもって推移を見守っている。だが、日本は、と見てみれば、政府もメディアも、国民までもがコトの重大さに気づいていないようである。安倍首相は、北からミサイルが飛んで来たら地下や柱の陰に隠れろと指示したそうだ。笑い話では済まされない。今やらなければいけないのは、米空母などを朝鮮半島から遠ざけ、北が話し合いに応じるよう中国に働きかけることであるはずだ。少なくとも「米艦防護」などやるべきではない。そう思うが、この国のメディアの声はかぼそくて聞こえない。

第1位 「安倍晋三首相が頼る『運勢』のお告げ」(『週刊文春』5/4・11号)
第2位 「安倍昭恵『別居生活』と『偽装ツーショット』の修羅現場」(『アサヒ芸能』5/4・11号)
第3位 「トランプの天敵ワシントン・ポスト砲の“凄腕スナイパー”」(『週刊文春』5/4・11号)

 第3位。安倍政権は放言、暴言続出で崩壊寸前のようだ。こういう時こそ新聞、週刊誌など紙メディアの出番だが、日本には『ワシントン・ポスト』のマーティン・バロン(62)のような「凄腕スナイパー」のいないことが残念だ。

 バロンは『ボストン・グローブ』紙編集局長のとき、映画にもなったカトリック教会神父らによる性的虐待をスクープしている。4月に『ワシントン・ポスト』紙は、トランプのやっていた慈善活動を調べ上げ、財団を私物化していた実態を明らかにした。彼は嗅覚が鋭く、疑惑があれば、決してターゲット(トランプ)から目を離さない。バロンはスピーチでこう述べていると『文春』が報じている。

 「トランプ政権は機会さえあれば、我々を脅かすのか? 何をするにも妨害に遭うのか? もしそうなるとしたら、我々はどうしたらいいのか?」

 そしてこう続けた。「答えは簡単だと私は思う。我々は我々の仕事をするだけだ
 国際NGOの国境なき記者団が26日、2017年の「報道の自由度ランキング」を発表した。アメリカは「トランプ大統領がメディアを民衆の敵だと位置付け、いくつかのメディアのホワイトハウスへのアクセス制限を試みた」として、41位から43位に下げた。日本は順位こそ変わらないものの主要7か国(G7)中最下位の72位。日本のメディアが汚名返上するには今しかないはずだが。

 第2位。『アサヒ芸能』は、義母の洋子が怖くて家に帰れないと、安倍の妻・昭恵がこぼしていると報じている。
 それに最近の森友学園問題で、2人は別居状態にあるというのだ。官邸関係者がこう語る。

 「4月1、2日の両日、秘書官同席ながら、別荘がある山梨県の飲食店で食事をする様子が報じられました。ところがこれはある意味、ヤラセでした。安倍総理は3月31日午後に山梨入りしましたが、昭恵夫人が来たのは翌日の午後、食事の直前なんです。メディアにツーショット写真を撮らせる食事時だけ夫妻は一緒でしたが、その他の行動は別々。2日の昼食後も別々の車で帰京しています」

 それも安倍は自宅へ戻ったが、昭恵は千葉県の寺院に向かったという。最近は千葉の知人のもとに身を寄せているというのだ。
 そうしたことがあって、安倍首相の持病のほうもよくないそうだ。2月のトランプ就任後初の首脳会談でも、安倍はアイスティーを飲んでいたという。
 また、運動不足解消と称して、港区内の会員制高級フィットネススパに通っているのも、「ここの個室にかかりつけの医者を待機させ、極秘裏に診察を受けていると言われています」(政治ジャーナリスト)
 わがままなトランプと妻がいては、健常人でもおかしくなるだろう。その点は安倍首相にちょっぴり同情したくなる。

 第1位。安倍内閣の緊張感のなさは今の週刊誌と五十歩百歩であるが、安倍首相が物事を決める時や人事の際、頼っているのは「占い」だと『文春』が報じている。
 『文春』によれば、トランプを安倍が信用するのも、「中原さんが『トランプとは相性がぴったり』というメールをくれた」からだそうだ。
 国の命運を左右することを占いに頼るのは、安倍に確固たる信念がない証だが、中原なる人物は何者なのか
 元日本銀行審議委員の中原伸之氏(82)で、安倍の経済ブレーンとして知られるという。大学を出て父親が社長だった東亜燃料工業(現・JXTGエネルギー)に入社し、自身も8年間にわたって社長を務めている。
 安倍を囲む財界人の勉強会「晋如会」を主宰していた。総選挙で圧勝して返り咲くと、中原氏のペーパーを下敷きにして早速、アベノミクスの第一の矢「異次元の金融緩和」を打ち出した。
 安倍が中原氏を信じるようになったのは、12年の総裁選に出れば「総裁選は一位にはなれないが、二位、三位連合で絶対勝ち抜ける」と推したからだったという。
 以来、ことあるごとに中原氏の運勢占いに信頼を置くようになった。だが安倍側近の1人はこう危惧する。

 「韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領と崔順実(チェ・スンシル)の関係と同列に論じることはできませんが、首相が重要な政治判断を、非科学的な運勢占いに頼っていいのか。政局や人事はもちろん、『トランプと相性が良い』という占いの結果を根拠に、米国に肩入れし過ぎるとすれば、安全保障上も大きなリスクです。こうした政権運営の裏側を国民は知らされていません」

 今、安倍が一番占ってほしいのは米朝戦争のことではなく、妻・昭恵と離婚すべきかどうかではないか。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 私はこの原稿を東芝のパソコンdynabookで書いている。重厚長大型企業の東芝だが、PCや液晶テレビも優れた製品を出している。その東芝が倒産の危機にある。

 東芝の歴史は古く、創業は「1875年(明治8)田中久重(ひさしげ)が設立した田中製造所にさかのぼる」(「ニッポニカ」より)。東芝の名を高めたのは、財界総理といわれた第4代石坂泰三であるが、メザシを好み質素を旨とした土光敏夫(どこう・としお)第6代社長も国民的人気が高かった。

 半導体分野でもリーディングカンパニーであり、重電機、軍事機器、鉄道車両分野でも、日立、パナソニック、三菱電機とともに重電4社といわれている。

 その東芝が昨年12月末時点で2256億円の債務超過に陥った。その後も、東芝が06年に買収したアメリカの原発会社ウェスチングハウス(以下WH)の幹部が損失を少なく見積もるように圧力をかけていたという問題が発覚して、米監査法人と対立し、4月11日に綱川智(つなかわ・さとし)社長が会見し、監査法人が「意見不表明」という異常な形での決算発表に踏み切った。

 最終赤字は1兆円を超えるといわれているが、その損失の最大要因は、約6600億円を投じて先のWHを買収したことに端を発している。

 WHは原発推進を掲げる政府と経済産業省の「国策」に乗る形で東芝が買収したが、11年の福島第一原発事故で、原発事業に大きなブレーキがかかった。

 その時点でWHを手放していれば傷はここまで深くはならなかったはずである。だが、佐々木則夫社長は、福島第一原発事故以前、経産省が原発を自動車や電機に代わる輸出産業にしようと目論み、日本から原子炉を持っていくだけでなく、現地で原発を動かして必要な燃料もパッケージで輸出するという構想に固執し、「原発を欲しがっている国はいっぱいある」と強気の姿勢を崩さなかった。

 この重大な経営判断ミスが、東芝の赤字を膨らませ、倒産の危機に追い込んだのである。

 だが、WH買収に関わってきた東芝の田窪昭寛(たくぼ・あきひろ)と原発推進で手を組んできた安倍晋三首相、その秘書官・今井尚哉(いまい・たかや)にも、東芝崩壊の責任があるはずだと、『週刊文春』(4/13号、以下『文春』)で、ジャーナリストの大西康之が追及している。

 これは、今の大新聞やテレビが報じていない、東芝問題の核心を抉(えぐ)るレポートである。

 大西がある東芝社員のビジネスダイアリーを入手したことがきっかけだった。これは東芝電力システム社の首席主監だった田窪昭寛のもので、彼は78年に茨城大工学部を卒業後東芝に入社、主に原子力畑を歩み、06年のWH買収では現場を取り仕切った。

 09年には電力システム社首席主監に就任して、今年3月までWHの傘下企業である原子燃料工業の社長を務めていた。

 田窪は各国の政府高官などに東芝の原発を売り込むのが仕事で、佐々木社長から大きな権限を与えられていたという。

 彼は、こうと決めたら周囲が何と言おうと突き進むため「暴走機関車」と言われていたそうだ。

 田窪が「東芝製原発の海外輸出」へ突っ走るために接近したのが、今井だった。今井は82年に東大法学部を卒業後、旧通産省に入省している。今井の叔父は旧新日鉄社長、会長を務め経団連会長になった今井敬である。

 今井は安倍首相の覚えめでたく、第一次安倍政権で首相秘書官を務め、12年に第二次安倍政権ができると、安倍に懇願されて再び首相秘書官に就任している。

 今井は経産官僚時代、長年手掛けてきたのがエネルギー政策で、民主党政権時代にも資源エネルギー庁次長として原発再稼働に奔走していた。

 だが、今井が秘書官に返り咲いたのは3・11が起きた後である。常識的には、あれだけの大事故を起こした日本の原発を輸出しようなどという「妄想」は出てこないはずだが、原発輸出に活路を見出したい田窪と、トルコやアラブ首長国連邦に原発や関連技術の輸出を可能にする政府間協定の締結を推進していた今井が、無謀な事業に突き進んでいったのである。これには当然ながら安倍の後押しもあった。

 「アベノミクスの第三の矢『成長戦略』のうち、数少ない具体策と言えるのが原発輸出戦略です。首相も今井氏の進言に乗っかりました」(官邸関係者)

 先ほどの田窪の手帳には頻繁に今井の名前が出てくる。ディナーを一緒にしたり、帝国ホテルのフランス料理店で朝食をとりながら、田窪は今井の協力と安倍首相のGOサインも得たのである。

 「田窪氏の口癖は『国策だから』。周囲が『本当に大丈夫か』と不安視する案件でも、佐々木社長の後ろ盾があり、今井氏とも繋がっている彼に『国策だ』と言われると、誰も言い返せません。財務部門もストップをかけられなかった」(東芝関係者)

 そのころ、アメリカではシェールガス革命の結果、電気料金が急激に下がり、東芝がテキサス州で計画中の原発も、発電しても売り先がない状況に陥っていたのである。

 それでも佐々木社長は取締役会で、この原発を減損する必要はないと主張し続けていたという。

 東芝幹部たちの先を見ない愚鈍経営に、安倍首相とその側近が手を貸して、東芝崩壊へと導いたのである。

 WHを買収した当時の西田厚聰(にしだ・あつとし)社長は『文春』のインタビューにこう答えている。

 「残念ながら福島でああいうことが起き、環境が激変した。それに合わせて手を打つのが経営だが、佐々木君にはそれができなかった」
 国の顔色を窺ったのかという問いには、

 「それが間違いでした。僕の時代はそんなことはなかったが、佐々木君が社長になってからは、そういう部分もあったのだろうね」

 東芝は福島第一原発の廃炉という役割もあり、社員が17~18万人もいる日本を代表する大企業である。巨額赤字や粉飾決算にもかかわらず、潰せないため、公的資金(血税)の注入も検討されているといわれる。

 東芝の歴代トップたちの責任はもちろんのこと、安倍首相と今井秘書官にも、国民に「原発輸出事業は失敗だった」と説明する義務があること、言うまでもない。

 トップがアホだからと、東芝社員の多くは嘆いていることだろう。『週刊新潮』(4/13号)は「『東芝』30代社員のトホホな『転職活動日記』」を掲載している。

 「綱川社長が3月29日に記者会見を開きWHの破産法申請と同時に、その処理で赤字が最大一兆100億円になると発表。2年前だったらビックリしたかもしれないが、これまで数々の問題が起きて数千億円単位の損失などが明らかになったからだろう。危急存亡のときに立たされても、もはや驚愕しなくなった自分の感覚は、完全に麻痺している」

 筆者は有名国立大学を出て、当時勝ち組中の勝ち組で旧財閥色も薄い自由な社風だと感じた東芝に入った。

 支社勤務を経て本社の企画部門に「栄転」した中堅社員で、独身。年収は700万円台だったが、ボーナスカットにより2年間で100万円近く減っているという。

 日記では、次々に去っていく同僚がいるが、転職ができるのは引く手あまたの技術職で、彼のような企画畑では転職先もなかなか見つからないと悩みを綴っている。

 1月には東芝京浜事業所品質保証部の社員が、水力発電機器の安全検査データをねつ造していたことが報道された。2月にはWHの幹部が、米国で建設中の原発を巡り、部下に建設費の圧縮を指示していたことが発覚し、原子力事業を統括する会長と、社内エネルギー部門のトップが退任した。

 そのエネルギー部門のトップであるダニエル社長が部下に出したメールが、同僚から彼のところへ転送されてきた。それを読んだ彼はブチ切れる。

 「“短い間でしたが、みなさんと一緒に仕事ができて幸せでした”と。ふざけるな。お前と志賀会長が“チャレンジ”と称して、部下に圧力をかけたんだろ。同僚の話では、ダニーの給与は億単位だとか。この泥棒猫!」

 東芝が倒産すれば、当然ながら株主代表訴訟が起こるはずだ。本社、子会社を含めて、トップたちには賠償責任が生じるのではないか。そうしなければ、東芝社員たちが可哀そう過ぎると思う。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 私は横山やすしが亡くなってから漫才は見も聞きもしなくなったが、あれほどの天才でなくとも、喋りがそこそこできる芸人なら見てみたいと思う。だが、テレビに出てくる連中は、いたずらに大声を出し、裸になったり、バカ騒ぎをするだけで、芸無しである。最大の元凶はテレビ局だ。ギャラが安い、一歩間違えば大ケガをしかねない企画でも断らないから、芸NO人がテレビに溢れてしまう。どうだろう、お笑い芸人はテレビには出さず、ラジオだけに出すというのは。そこでリスナーから認められた芸人だけをテレビに出すのだ。そうすれば、話芸だけで勝負せざるを得ない。そうしないと、日本のお笑い芸はそっぽを向かれ、廃れると思う。

第1位 「香取慎吾20年恋人と“謎の少年”」(『週刊文春』4/13号)
第2位 「正直言って、つまんない『笑えない』お笑い芸人ワースト実名30人」(『週刊現代』4/22号)/「ブルゾンちえみに“パクリ疑惑” を聞いてみた」(『週刊文春』4/13号)
第3位 「『余罪』が発覚『核兵器解体』詐欺師との『ただならぬ関係』!」(『アサヒ芸能』4/13号)/「安倍昭恵首相夫人と『元暴力団組長との親密写真』」(『フライデー』4/21号)

 第3位。森友学園問題で渦中の人になった安倍首相夫人・昭恵だが、『アサヒ芸能』(以下『アサ芸』)と『フライデー』に詐欺師と元暴力団組長とも“交流”があったと報じられている。
 『アサ芸』が名指しするのは40代の米国人平和活動家、マット・テイラー。08年に車の中で練炭自殺した元TBSアナウンサーの川田亜子(享年29)の最後の恋人として、メディアに取り上げられたことがある。
 山口県出身者で占められている後援会「長州友の会」は、昭恵が運営委員を務め安倍首相も何度も講演に訪れている。そこに映画監督としての顔も持つマットが入り込み、広島の原爆を題材にしたドキュメンタリー映画を製作すると吹聴し、昭恵はそれに共鳴して、「事あるごとに上映会を開いては、彼の活動のための募金箱を設置して、参加者から集金していました」(地元有力者)
 中には信用して一度に10万円も募金した人もいるという。カネは彼が代表を務めるNPO団体「GNDF(世界核兵器解体基金)」の活動費になったそうだが、今に至るまで核のひとつも解体していないどころか、こうした高尚な名目を立て、カネを集めるのがマット流だそうで、98年には「タイタニック引き上げ品展」をやったが、イベント運営費を払わず、「収益をネコババした過去もあります」(NPO関係者)
 大手芸能事務所幹部は、マットが核兵器を解体する瞬間を映像に撮らせるからという条件で1000万円出資したのだが、出資金詐欺だと知り返還を求めたところ、逆に活動妨害で訴えられたそうだ。反訴してマットの詐欺行為が認定され、返金命令が出たという。
 それ以外にも、マットが付き合っていたミス・インターナショナル・吉松育美が、件の幹部をストーカーだと訴えたとき、昭恵は支援者として名乗りを上げ、彼はストーカーだと断定した騒動があった。
 だが吉松が、昨年2月にその発言を撤回してしまったのだ。後に昭恵は、その幹部に平謝りしたそうだが、「総理夫人という立場をあらためて自覚し、周囲の人間を疑うことを覚えなければ」(地元有力者)
 『フライデー』によれば、最近「アキエリークス」というサイトが開設されたという。そこに、動物愛護団体「J-Taz’s」の代表と彼女が写っている写真が掲載されている。 その代表は元暴力団組長だった人間で、そこが昭恵の名前を使って寄付金集めをしているという情報が流れているそうである。
 『フライデー』の取材に代表は、昭恵の友人が渋谷で犬を保護したことがきっかけで連絡を取り合うようになったと話している。自分が元暴力団の組長で、指がなく入れ墨があるのも事実だが、昭恵の名前でカネ集めをしたことはないと否定した。
 飲み会のとき、酔った昭恵から「代表、入れ墨見せて!」とよくせがまれたが、「こんなもん人に見せるもんやない」と断ったという。天真爛漫なのかバカなのか。「大麻容認発言」など、一歩間違えれば大スキャンダルになりかねない妻の行動や発言に、夫は気が気ではないだろう。

 第2位。キャリアウーマン風のいで立ちで「花は~自分からミツバチを探しに行きますか? ……探さない。待つの」と上から目線の恋愛指南をするネタでおなじみのお笑い芸人に、ブルゾンちえみ(26)というのがいるそうな。
 『文春』は、先の言葉が、某占星術師の本からのパクりではないかと、ネットで話題になっていると報じているが、そんなことはどうでもいい。
 どうせ今の芸人にオリジナリティなどあるわけがない。私はお笑いを見なくなって久しいが、ときどき、チャンネルを間違えて芸人が出ていることがあるが、まったく笑えない。笑えないお笑い芸人など、何とかのないコーヒーより始末が悪い。
 そんな芸無し芸人をもてはやすテレビ局やファンがいるから、さらに彼らを増長させるのだ。
 先日も、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建(44)と俳優の佐々木希(29)が結婚することをテレビ番組で公表したとスポーツ紙が報じていた。
 何が悲しくてこんな年上のオジンと、可愛い盛りの女が結婚しなくてはいけないのだ。
 忠告しておく。才能のある芸人は家では面白くもなんともない。外面は仮面だ。女だって通りを歩いている犬だって笑わせることができるが、家ではうんともすんとも言わないのが当たり前なのだ。
 渥美清を見なさい。彼は仲間に自分の住所さえ教えなかった。ビートたけしを見なさい。家にあんな顔の男がいたら、子どもはひきつけを起こす。
 昔、私が付き合った萩本欽一だって、舞台を降りれば、タダの無口な人間だ。外でも家でも、ヘラヘラしている奴にろくな芸人はいないのだ。
 『現代』が、笑えないお笑い芸人ワースト30をやっているが、これは企画間違いだと思う。笑える芸人のほうが圧倒的に少ないのだから、ベスト3を選んだほうが読者の役に立つ。
 このワースト1にもブルゾンちえみが選ばれている。ただの素人の宴会芸だと評されているが、そんなのばかりだろう。
 2位にはオリエンタルラジオの中田。3位が昨年200本以上のテレビに出たという永野。続いて品川庄司、芥川賞のオマケといわれるピース綾部が5位。
 30位まで挙げても何の足しにもならないからここでやめておく。
 芸無し芸人がテレビを席巻しているのは、安く使えて便利だからで、テレビのディレクターにも芸のわかる人間などいないからだ。
 元吉本興業の木村政雄が言うように、今は籠池(かごいけ)のような濃いキャラクターのほうがはるかに面白い。心から笑いたかったら、バラエティ番組を消して報道番組を見るべきである。

 第1位。今回の「文春砲」は、元SMAP香取慎吾(40)の“家族”についてである。
 3月5日、後楽園遊園地・東京ドームシティアトラクションズに香取の姿があった。一緒にいるのは中学生ぐらいの少年。
 モノクログラビアに後楽園のゴンドラに2人して乗り、香取が自分と少年を自撮りする写真が載っている。
 どこにでもいる父と子どもという風情だ。だがなぜ『文春』は香取の子どもと書かずに「謎の少年」としたのか。
 香取が2歳年上の彼女との「熱愛」を『フライデー』で報じられたのは97年早々。その年の6月には、彼女との「婚前旅行」も同誌で報じられている。
 当時、彼女は会社勤めをしながら歌や踊りのレッスンをしていた「アイドルの卵」だったという。『フライデー』が報じる2年ほど前から交際していて、香取はテレビ局に、彼女の家から出かけることもあった。
 香取は祖母の葬儀にも彼女を同伴し、香取の両親が経営していた雑貨店でも働いていたそうである。事実婚のような状態だったのだろう。
 だが、05年に、2人は鶴見区の一軒家から六本木のマンションに引っ越してしまう。そのころこんな噂がファンの間で流れたという。
 「慎吾に子どもができた」
 そして熱愛報道はぴたりと止み、それから10年以上ツーショットが撮られたことはない。 だが、昨年3月末に、ハワイで香取が少年と一緒に歩いている写真がツイッターに上げられた。
 彼女とは事実婚ではなく、結婚しているのではないか。少年は2人の子どもで、SMAPが解散して時間のできた香取が、子どもと一緒に後楽園へ遊びに行き、ファンに気づかれても気軽に握手していたそうだ。
 だが、ジャーニーズ事務所に、この件を問い合わせても「結婚の事実はない」と答え、香取本人を直撃しても無言。
 香取を可愛がっていた元マネージャーの飯島三智氏に聞いても、彼女のことは知らない、子どもはいないでしょと否定した。
 香取が彼女と暮らし始めた頃、アイドルが同棲や結婚するなど、事務所ではご法度だった。木村拓哉が工藤静香とできちゃった婚を発表したのが2000年11月。だが、香取には好きな彼女がいることも、結婚したいと公言することも許されなかった。
 SMAPの解散を強く主張したのは香取だった。結婚を公表したキムタクへの「思い」もあっただろうが、自分たちの仲を公にできない事務所への長年の不信もあったのではないか。
 『文春』は「二十年以上に及ぶ“悲恋の物語”に終止符を打つことができるか」と結んでいる。
 今、香取は新規の仕事のオファーを受けていないという。彼は絵が得意で、芸能界を引退してアーティストとして生きていくという見方もあるようだ。
 一方、香取は4月8日放送のテレビ朝日系列『SmaSTATION!!』で、「隠し子じゃないんです。友達の子どもなんです。困っています」と隠し子報道をキッパリと否定。今週発売の『文春』(4/20号)で続報はなかった
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 パナソニックから発売中の「メガフォン型翻訳機」のこと。日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語に対応し、プリセット定型文は約300文。さらにワード選択機能により、使える文章は合計約1800パターンにもおよぶらしい。

 「しゃべった言葉が別の国の言語に変換される」という翻訳機能は、おそらく現代社会の最新鋭テクノロジーを駆使したものだと思われるが、それが「メガフォン」というひと昔前の、あえて言わせていただくなら「マヌケ」なかたちとなって商品化されているのが、なかなかに画期的。まるでドラえもんのポケットから出てくる便利グッズみたいである。

 おもに、海外旅行ツアーの誘導などで重宝されているようで、すでに成田空港でもこの「メガホンヤク」の導入がはじまっているらしい。「英語が苦手だけど英語の歌が唄いたい」みたいな外国人かぶれなミュージシャンの方々にもゼヒおすすめ! 初期の椎名林檎ばりに、メガホン(ヤク)片手に個性的なパフォーマンスをステージで披露してみてはいかがだろう?

 ところで、筆者は「ラッパ型の音声拡張器具」のことを通常「メガフォン」と書くのだが、「メガホンヤク」の場合は「フォン」ではなく「ホン」。もちろん「メガホン」と「ホンヤク(翻訳)」をかけているのは誰にでもわかるが、まさかこの駄洒落を使いたいがためだけに、フォルムをあえて「メガフォン型」にしたのでは……という疑念も晴れなくはない。そういうの、筆者は個人的に嫌いじゃないけど?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス