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 地球温暖化対策の国際ルール。2015年12月、パリで開催された国際会議(国連気候変動パリ会議=COP21)で採択された。発効は2016年11月。

 協定に基づき、参加した190を超える国・地域が、それぞれ「温室効果ガス」の排出削減などの対策を進める。協定全体の目標は、世界の気温上昇幅について、18世紀の産業革命前と比べて「2度を十分下回り、1.5度未満を目指す」というもの。21世紀後半には、温室効果ガスを、森林などの吸収で差し引きゼロにすることを提唱する。京都議定書(1997年採択)では先進国だけが削減義務を負ったが、パリ協定では参加したすべての国と地域が削減に取り組むのがポイントだ。

 地球温暖化に向けた画期的なルールである。しかし、それに水を差したのが米国・トランプ政権の脱退表明(2017年6月)だ。

 米国は世界で2番目に温室効果ガスを排出しており、せっかくの協定への打撃は大きい。

 トランプ米大統領は「(協定は米国にとって)非常に不公平だ。われわれの経済に損害を与え、労働者を挫折させ、主権を弱める」と、脱退の理由を強調している。その言い分は、まさに「アメリカ・ファースト」である。それまでのオバマ政権が、世界の温暖化対策を主導してきただけに、国際社会は、離脱表明を受け、失望感に包まれている。

 手続き的に、米国の正式離脱は早くても2020年11月である。米国の大統領選挙と重なり、トランプ政権1期目の任期切れ(2021年1月)の直前だ。それまでにまだ時間がある。日本をはじめ国際社会は、残留に向け米国を説得することが肝要だろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 中国の習近平国家主席が2013年に提唱した巨大経済構想。(1)中国~欧州を結ぶ陸ルート(一帯)(2)インド洋やアフリカ東岸、アラビア半島沿岸部などを経て地中海に至る海上ルート(一路)──の二つからなる。

 2017年5月に北京で開かれた国際協力サミットフォーラムには、ルートの沿線国を中心に130か国の代表が参加、「一帯一路」に関する協力文書を交わした国・組織が、68に達したという。

 構想の柱は、沿線国の社会インフラ(道路や港湾、鉄道、エネルギー施設など)を中国の支援で整備することだ。その資金は中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)と中国政府が拠出して設立した「シルクロード基金」が担う。

 構想の狙いは、国際社会での中国の影響力を強め、米国主導の国際秩序に対抗することではないか。世界地図を見ると、ルートからは米国や日本がすっぽり抜け落ちていることがわかる。構想は、かつて東西をつないだ貿易ルート「シルクロード」をモデルにしたというが、政治的思惑が見え隠れしている。そのため、第2次大戦後、旧ソ連を中心とした共産主義勢力に対抗する形で米国主導で実施されたマーシャル・プラン(欧州復興計画)になぞらえる向きもある。

 沿線国には中国マネーで社会インフラの整備ができることに期待感がある。だが、中国の政治的な思惑が出過ぎると逆に反発する声も出てきそうだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 中国の国産空母が2017年4月26日、進水した。2020年までに就役する見通し。新空母は遼寧省・大連の造船所で建造された。全長約300メートル、排水量約50000トンで通常動力型。船首部分に傾斜がついた「スキージャンプ式」の甲板から艦載機が離艦する。艦載機数は最大36機を搭載できるという。

 中国にとっては、ウクライナから購入・整備した「遼寧」(2012年就役、スキージャンプ式)に続き2隻目の空母となる。国産空母の建造は初めて。中国メディアは上海でも3隻目の空母を建造中と報じており、中国は空母の建造を加速化させている。原子力空母の建造も計画しているとみられる。

 中国の空母を巡っては前述の「遼寧」が2016年、宮古海峡(沖縄本島~宮古島間)を通過し、太平洋に進出した。今回の国産空母の進水は、「遼寧」の太平洋進出と合わせ、中国海軍が「近海防御型」から「遠海護衛型」に転向することを意味する。軍事的にアメリカに対抗する「海洋国家」を目指しているわけだ。

 一方、中国は東シナ海の日本固有の領土・尖閣諸島の領有を主張。南シナ海でも人工島を造成し、滑走路を建設するなど東南アジア諸国との間で摩擦を起こしている。中国の空母は今後、そうした東シナ海、南シナ海、太平洋はもちろん、インド洋、大西洋、北極海などに展開する可能性がある。

 中国の、力による現状変更・拡大は空母の展開戦略と密接に関係する。日本としては、米国や東南アジア諸国、オーストラリア、インドなどと連携し、警戒することが欠かせない。同時に、中国に対しても軍事的な緊張をもたらさないよう、自制を求めるべきだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作