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 ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチンは第4代ロシア連邦大統領。ロシア・サンクトペテルブルク(旧レニングラード)生まれ、64歳。

 2016年12月15日に来日して、安倍首相の郷里である山口県の旅館で首脳会談をした。だが、約束の時間に2時間半も遅刻し、期待された北方領土問題には何ら進展はなく、翌日は柔道の聖地「講道館」を見学して早々に帰国してしまった。

 今年は日ソ共同宣言と日本の国連加盟から60年、安倍首相の父親・安倍晋太郎が亡くなってから25年と、節目の年に何とか成果を出したかった安倍首相だが、プーチンからは「領土問題は全くない」と相手にされなかったのである。

 このプーチンの訪日をメディアは「日ロ首脳会談 あまりに大きな隔たり」(朝日新聞)、「進展見られず」(読売新聞)、「『引き分け』より後退か」(産経新聞)と酷評した。

 『週刊新潮』(12/29・1/5号、以下『新潮』)で北大名誉教授の木村汎(ひろし)氏がこう言っている。

 「日本にとって99%敗北。元島民の北方領土への自由訪問が広がりそうなことだけは1%分評価できます」

 また、『新潮』によれば、唯一の成果といわれる「北方4島に日本企業も進出できるようになる、共同経済活動案」にも乗り越えるには厳しすぎる障壁があるとしている。

 現在北方4島には約1万7000人のロシア人が居住しているというが、ロシア極東事情に詳しいジャーナリストはこう話す。

 「ウラジオストクから運ばれてくる麻薬が蔓延しています。ロシア本土より監視の目が緩いことから格好の取引場所となっており、密売人たちに重宝がられているためです。また、択捉(えとろふ)島にあるロシア軍基地から横流しされた武器を市民が所有していて、それを使っての犯罪も横行。道路事情も悪く、悲惨な交通事故が地元紙の紙面をよく飾っています。警察などの役人たちの間では、横領や賄賂が常習化しています」

 こうした治安の悪さとともに、日ロ双方が主権を訴えている北方4島では、もし日本人が罪を犯した場合、どちらの法律で裁くのかなどの難しさもある。

 プーチンの好きな柔道には「柔よく剛を制す」という言葉があるが、今回は剛の前に軟弱な安倍があえなく投げ飛ばされたということである。

 だが、安倍首相は投げ飛ばされただけではなく、プーチンにとんでもないお土産まで貢いだと『週刊現代』(12/31・1/7号)は報じている。

 「安倍晋三首相は、北方領土の共同経済活動という名のもとで、カジノ建設を狙っています。それをトップ同士で詰めることが、プーチン大統領をわざわざ故郷・山口まで招待した大きな目的の一つだったと思われます」(中村逸郎筑波大学教授)

 中村教授が言うには、トランプとプーチンの共通の友人の一人がロシア人のヴェルホフスキー上院議員で「北方領土の帝王」という異名を持っているという。

 その人間が抱いている野望が「北方領土にカジノ建設」だそうなのだ。

 『新潮』(12/22号)は、安倍首相がカジノ法案を急いだわけは、カジノ経営のノウハウを持っているトランプへの配慮があり、カジノをつくってトランプ大統領にお越しいただくというシナリオを描いているのではないかと報じている。

 安倍の北方領土で共同経済活動をという構想に、メガバンクや日本企業は積極的ではない。

 そこでカジノをつくって共同経営すれば、プーチンもトランプも歓んでくれるという浅知恵を思いついたのであろうか。

 それなら、わずか審議6時間という短さであわててカジノ法案を通した安倍の「意図」についての説明がつく。

 プーチン訪日までに何としてでも法案を通してプーチンの歓心を買いたかった。もしそうだとしたら安倍というのは、ひたすら情けない男である。

 では、プーチンという男はどういう人間なのだろうか。

 『ニューズウィーク日本版』(12/20号、以下『ニューズ』)の「世界を手玉に取るプーチンの本心」に詳しい。

 『ニューズ』によれば、プーチンはソ連時代の諜報機関で、プーチンの出身母体でもあるKGBの復活を狙っているという。彼の領土拡張に対する野心は「ロシアの国境に終わりはない」というものだそうだ。

 北方領土は「大祖国戦争(プーチンは第二次大戦をこう呼ぶ)におけるロシアの勝利を象徴する重要な一部」だと考えているから、北方4島を返すつもりなどさらさらなく、目的は日本から資金を絞り出すことにある。

 そのためには日本が中国に抱いている恐怖心を利用できると公言している。

 アメリカ大統領選にトランプが勝利したことはプーチンにとって千載一遇のチャンスだと考えているはずだと、プーチン戦略について書いている。

 ロシアがウクライナ南部クリミア半島の一方的併合をしたことに対して、欧米が行なった金融制裁はロシア経済に確実にダメージを与えたが、ロシアの人びとはプーチンに不満を言うどころか、「プーチンが事実上の権力を握った99年からの10年で、実質所得(インフレ調整済み)が倍増したことを感謝している」というのである。

 中でも読みどころはプーチンの日常を描いた特集。朝起きて朝食を取るのは正午を少し回ってから。側近たちが待機しているのにもお構いなく、プールで2時間ほど泳ぐ。愛読するのは歴史書。

 執務室では情報漏れが心配なためコンピューターは滅多に使わない。ドイツ語が堪能で、外国メディアが彼を悪者扱いしていても知りたがる。ネットに拡散している彼の風刺ビデオも見ているという。

 住まいはモスクワの郊外で一人暮らし。両親はすでに死去し、妻は精神疾患を患い長い別居の末に離婚。2人の娘の存在は国家機密だが、政治には関わっていないそうだ。

 専用機は3機。どこへ行くにもコックと安全な食材を持って行き、「たとえ国家元首が用意した食材でも、決して口にしない。クレムリンの検査を通ったものでない限り、外国産の食材は食べないのが決まりだ」という。

 安倍首相が地元の旅館で用意したもてなし料理を食べたとすれば、プーチンが安倍に心を許したということになるのかもしれないが、どのテレビ局も新聞も、安倍とプーチンがどんな料理を食べたのか、酒は何を飲んだのかを報じているところはないようだ。

 子どもの頃は「ワル」でならし、みんなが宇宙飛行士になりたかった時代にKGBに入ることを夢見ていた。ソ連崩壊後、わずか10年でロシアの主にのぼり詰めたが、その間何をしていたのかは全く不明。

 そんな鋼のような肉体と冷徹な心臓を持った全身KGB男と、三代続いた政治家のボンボンである安倍首相などが太刀打ちできるわけはない。

 2017年は、プーチンと商売のためなら手段を選ばないトランプ、あわよくばロシアと組んでアメリカをひねり潰そうと虎視眈々と狙う習近平に囲まれて、安倍外交は嵐の前の小舟のように心許ない舵取りをすることになるはずである。日本沈没はあり得る。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 日本のテレビがジャ-ナリズムだと思う人はほとんどいないだろうが、広告の落ち込みで、企業から広告費をもらいながらそれを隠し、局の独自取材と見せかけるステルスマーケティング、略してステマ番組が横行しているようだ。
 雑誌でもときどき、そのページが広告だと明記しない特集を作って読者を騙すということが表沙汰になるから、どっちもどっちもではあるが。あれだけの原発事故を起こしながら、原発はクリーン、原発を再稼働させなくてはエネルギーが足りないと、電力会社が膨大な広告費で電通を使って、識者にテレビでいわせるのもステマ番組であるはずだ。そうしてみるとほとんどの番組がステマか?

第1位 「明治『R-1ヨーグルト』とテレビ局の裏金『ステマ番組』」(『週刊新潮』12/22号)
第2位 「漢方大手『ツムラ』が売る『社員に飲ませられない生薬』」(『週刊新潮』12/22号)
第3位 「ビールを飲んで認知症を予防しよう!」(『週刊文春』12/22号)

 第3位。私も家人も、この頃自分が認知症ではないかと思うことがたびたびある。年だからと諦めてはいるが、『文春』はビールが認知症予防になると報じている。
 もはや遅いとは思うが読んでみた。
 何でもビールの苦みになっているホップに含まれるイソα酸という成分が有効だというのだ。
 アルツハイマー型認知症は大脳皮質に異常なタンパク質が沈着してできるらしいが、脳内に溜まったこの悪い物質を包み込み消化してくれる免疫細胞を、イソα酸が活性化させるそうだ。
 50歳から70歳の男女25名に1日グラス一杯のノンアルコールビールを4週間飲み続けてもらったら、6割の人に脳活動の上昇を示唆する結果が得られたという。
 これは東京大学と学習院大学の共同研究で、発表したのがビールメーカーのキリンというところがやや引っかかるが、トリスならぬビールを飲んでハワイへ行こうではなく、ビールを飲んで認知症よさようなら、となれば、嬉しい話である。
 だが、飲みすぎてはいけないし、イソα酸を多量に入れてしまうと苦すぎて飲めないようだ。早く何とかしてくれないかね、キリンさん。

 第2位。ツムラという漢方薬大手がある。かつては入浴剤のバスクリンで当てたが、多角経営や創業者一族の元社長による特別背任事件によって倒産寸前までいった。だが、漢方薬に特化した製薬会社として再出発し、昨年度の売上高1126億円を誇るという大復活を遂げている。私もここの「葛根湯(かっこんとう)」は風邪の引き始めに効くと愛飲している。
 『新潮』は今年7月に役員会議で配られた内部文書を入手したという。
 その文書は、中国産の生薬原料からツムラが使用許可を出していない農薬が検出されたため、再発防止を図るために今後どのような対策を取るべきかが書かれているという。
 ツムラのガイドラインには、栽培手順や使用許可農薬の徹底、万が一の時には医療機関から原料生薬生産地まで遡れる生薬トレーサビリティ体制、生産団体の監視も行なうという3本の柱があるという。
 だが、ツムラの幹部の話では、製造する漢方薬の原料は国内とラオスでもわずかに栽培されてはいるが、8割はあの中国で栽培されているというのである。

 「誰が作ったのかを把握している農民は全体の約55%で約1万人。つまり、残りの1万人の生産者は誰かも分からなければ、農民たちがどんな栽培を行っているかさえ、不明なのです」(ツムラの幹部)

 さらに衝撃的な一文が書かれていた。

 「自分の家族に飲ませることができる生薬を供給する」

 おいおい、それじゃツムラは自社の家族には飲ませられない薬を売っているのか?
 『新潮』が広報担当者を直撃すると、こう答えた。

 「この一文は、生産者としての意識向上、動機づけとしてのスローガンなのです」

 2015年に農薬の不適切な使用が発覚した際、中国の農民にどうすればわかってもらえるかと考え、この表現が家族を大事にする中国人が腑に落ちるということでつくった。したがって日本の社内向けではないというのだ。
 だが社の3本柱の重要な一つ、トレーサビリティが確立していなかったというのは、ツムラの信用を落とすのではないか。
 また、こうした内部文書がメディアに流れるというのは、社内で権力闘争が起こっている現れではないのだろうか。
 再び、昔のような不祥事が起これば、ツムラは二度と立ち直ることはできないだろう。

 第1位。ステマ番組とは、広告料金をもらいながら、それを隠して、あたかも独自で探し当てたような番組を作ることをいう。
 昨年9月に、TBS系列のローカル局「IBC岩手放送」が、明治から広告料金をもらってR-1乳酸菌がインフルエンザ予防に効くなどと放送し、番組審議会で問題になった。
 R-1乳酸菌といえば、私もときどき飲む明治のヨーグルトであるが、局の幹部が事実を認め、番組で用いた素材も明治から提供を受けたと“自白”したという。
 これは当然ながら放送法で禁じられているが、『新潮』が調べたR-1乳酸菌を扱い、明治の名前が出て来ない番組は、IBC放送後も全キー局にわたってあったそうである。
 私はあまり見ないが、テレビではコンビニやスーパーを取り上げ、そこで売っている商品を製造過程から事細かに紹介するような番組が多くある。
 ひな壇に並んだお笑い芸人たちが「メチャスゴ~イ」「おいしいそう」などと出来レースで驚いてみせるが、あのような番組もステマではないかと、私は睨んでいる。
 茶の間の視聴者も、漫然と見ているだけでなく、ステマかそうではないのか見分ける厳しい目を養うことが必要だろう。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 12月12日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加している日本の陸上自衛隊に、新任務である「駆けつけ警護」の実施が可能になった。

 駆けつけ警護は、紛争地域に駐留する国連司令部の要請を受け、武装勢力に襲われた国連職員やNGO職員、他国軍兵士などを保護する任務。2015年9月19日未明に成立した安全保障関連法で、PKO協力法が改正され、紛争地での自衛隊の武器使用の拡大が認められたことで可能になった。

 紛争地で活動する自衛隊の武器使用について、自分自身や共に行動する仲間の身を守る正当防衛と緊急避難を超えるものは、憲法で禁止する武力行使にあたるとして、歴代政権では認めてこなかった。だが、昨年のPKO協力法改正で、防護する対象に「宿営地に所在する者」「保護しようとする活動関係者」が加えられ、任務を妨害する相手を排除する場合にも広げられた。

 そして、今年11月15日の閣議決定を受け、同月20日に新任務を付与された陸上自衛隊第9師団を中心とする派遣部隊が青森空港から南スーダンに出発したのだ。

 今回の駆けつけ警護は、首都ジュバ周辺に限定される予定で、(1)緊急の要請、(2)現地の治安当局や他国軍の歩兵部隊よりも速やかな対応ができる、(3)相手の規模や装備を踏まえ自衛隊で対応可能な範囲が出動要件だ。

 国は、派遣先のジュバの情勢が比較的安定していて、南スーダンでは停戦が成立していると国民には説明。11月15日の閣議後の記者会見で、安倍晋三首相は「自衛隊の安全を確保しつつ、有意義な活動を実施することが困難と判断する場合は、撤収を躊躇することはない」と発言した。

 一方で、南スーダンでは今年7月に大規模な衝突が発生し、停戦が崩壊しているという情報もある。

 PKOの筆頭任務は、現地の住民保護だ。戦闘が始まり、PKO基地に保護を求めてきた住民を守るためには、正当防衛ではなくても自衛隊も武器を取り、現地の政府軍や現地警察とも戦わざるを得なくなる可能性もある。その場合、他国との交戦を禁止している憲法9条に抵触してしまうのだ。

 さらに、PKOで起こった軍事的過失は、それぞれの国の軍法や軍事法廷で裁かれることになっているが、「軍」を持たない日本には、軍事的過失について裁く法律が存在しない。

 そのため、国の命令で参加した交戦であるにもかかわらず、自衛隊の過失は自衛隊員個人の犯罪として取り扱われるだけではなく、大きな国際問題に発展する可能性も大きい。

 つまり、駆けつけ警護は、国内的にも、国際的にも、まっとうな法的整備がされないまま、見切り発車されてしまったのだ。

 取り返しのつかない国際問題に発展させないためには、駆けつけ警護が抱える矛盾を、国民一人ひとりが理解し、原点に立ち返った議論をする必要があるのではないだろうか。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 中国は、2016年10月19日、中国人宇宙飛行士2人が搭乗した宇宙船「神舟11号」と、無人宇宙実験室「天宮2号」とのドッキングに成功した。

 中国・習近平政権が掲げるスローガンの一つ。宇宙開発を巡っては長らく米露がリードしてきたが、中国は2030年までに米露両国と並ぶ宇宙大国=宇宙強国になることを目指している。その意気込みは、今年から、毎年4月24日を「宇宙の日」に制定したことでもわかる。ちなみに1970年のその日、中国は初の人工衛星打ち上げに成功している。

 中国は「宇宙強国」のスローガンの下、今後も、人類初の月面裏側探査(2018年)、火星探査(2021年)、有人宇宙ステーション(2022年頃)など、数々の宇宙プロジェクトを推進する計画だ。また、独自の衛星測位システム「北斗」の全世界カバーも予定されているという。

 懸念されるのは、中国の宇宙開発が、平和利用だけでなく、軍事利用と深く関わっていることだ。

 例えば、前述の「北斗」は、軍の統合運用に不可欠なシステムである。そもそも中国の宇宙開発は軍の一部門が担当しているのだ。中国は2007年に自国の老朽化した気象衛星を弾道ミサイルで破壊する実験を行なったが、これは衛星攻撃兵器(ASAT)の軍事訓練にあたるとの見方が有力だ。

 米軍のシステムは、情報・偵察衛星はもちろん、全地球測位システム(GPS)、通信衛星など衛星に大きく依存している。中国がASATを実戦配備し、宇宙空間で衛星が次々と破壊すれば、米軍はお手上げ状態だ。アメリカの国防総省は中国の宇宙空間での軍事力増強に神経を尖らせているのはいうまでもない。

 日本は米国と同盟関係にある。中国を巡っては、南シナ海などでの「海洋進出」ばかりに関心が注がれているが、「宇宙進出」についても注意する必要がありそうだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作