独特の仕草と愛らしい表情で、人を魅了する猫たち。愛猫のためならお金に糸目をつけずに餌や玩具などを与える猫好きも多く、ネコノミクスの快進撃は衰えを知らない。そうした飼い主に出会えた猫は、家族として慈しみ、育てられ、暖かい寝床と空腹を満たす餌に事欠くことはないだろう。

 その一方で、飼い主のいない猫たちもいる。環境省の「動物愛護管理行政事務概要」によると、2015年度に全国の動物愛護相談センターに持ち込まれた猫は9万75匹。そのうちの6万7091匹が殺処分されている。10年前の殺処分数22万6702匹に比べると3分の1以下に減少したものの、いまだ人間の都合で多くの罪のない猫の命が奪われている。

 そうしたなか、2011年から6年連続で「猫の殺処分ゼロ」を実現しているのが、東京都千代田区だ。

 野良猫による糞尿、ゴミ荒らしなどの苦情が保健所に寄せられ、頭を悩ませていた千代田区では、2000年から「飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費助成事業」を開始。翌年、住民と在勤者によるボランティアと動物病院の獣医師などがネットワークを組んで、「ちよだニャンとなる会」が発足した。

 そして、路上で暮らす飼い主のいない猫に不妊・去勢手術を行なって繁殖を抑え、元の場所に戻して地域猫として見守っていく「TNR(Trap,Neuter,Return=一時保護/去勢・不妊手術/元の場所に戻す取り組み)活動」を行なっている。

 また、区の協力のもと、区内で保護された猫の譲渡会を定期的に開催し、飼い主探しもしている。譲渡の対象になる猫は、ワクチン接種、去勢・不妊手術、ウィルス検査、のみやダニの駆除も済んでおり、参加費用もかからない。猫が、愛情を注いでくれる飼い主と出会えるような場を提供しているのだ。

 こうした活動が実を結び、千代田区は猫の殺処分ゼロを実現。全国の意欲ある自治体やボランティアの間に、この取り組みが広がりつつある。

 犬に比べて、猫の殺処分数は格段に多い。それは、繁殖率の高い猫の特性にもある。猫は、年に2~3回出産し、1回につき4~5匹の子猫が生まれる。いくら可愛くても、生まれた子猫すべてを飼ったり、新たな引き取り手を探したりするのは難しい。その結果、全国の動物愛護相談センターに持ち込まれて、殺処分の対象となっている猫の8割が生まれたばかりの子猫となっている。

 人間の都合で、猫に不妊・去勢手術を施すことに異を唱える意見もあるが、飼い主のいない猫を年間数万頭ずつ殺処分している現実の前では、バースコントロールは不可欠な対処法となっている。

 2月22日は、「にゃんにゃんにゃん」の猫の日だ。

 人の都合で殺処分される猫がいなくなり、人と動物が共生できる社会の実現を祈りたい。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 2016年に公開された映画のランキングが各誌・各メディアで出そろった。『キネマ旬報ベスト・テン』第1位など、アニメ映画『この世界の片隅に』が席巻している。こうの史代(ふみよ)・原作、片渕須直(かたぶち・すなお)・監督による本作は、11月12日の公開とともにSNS上で高い支持を受け、客足を伸ばしていった(約3か月の興行で興収20億円を突破)。ヒロイン・すずを演じたのん(能年玲奈(のうねん・れな))は、芸能界のむずかしい事情から、多くのメディアで宣伝協力を得られなかった。だが、その熱演はたしかに観客の心を打った。のん無しでこの成功はあり得ただろうか。

 良質なものが売れるとは限らない、それが現実であろうが、小規模公開からスタートしたコノセカ(一部のマスコミにおける『この世界の片隅に』の略称)は今回、みごとに社会現象化した。異例のヒットの理由については、先に述べたヒロインのハマりようなど、様々な分析がある。当時の庶民の生活描写や、建築物などのディテールなど、「何度も観て確認したくなる」といった視点からのアプローチも多い。

 登場人物のなめらかな動きにも、アニメーション技術のこだわりがある。もちろん、なにもテクニックを見せびらかしたいわけではない。キャラクターたちが画面の中に生きている「実感」のようなものを表現するためだ。そのための手間を惜しんでいない。いろいろとビジネス的(予算的)には怖い選択をしているだろう。だが結果として、コノセカは興行的にも結果を残したのだからおそれいる。片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』が、打ち切り寸前から口コミで逆転した記憶がスタッフの中にはあったかもしれない。

 もう一つ、送り手以外からみたヒット理由を挙げるとすれば、やはり現状の世界の不穏な雰囲気であろう。戦争を知らない世代も、「知りたくない」世代というわけではない。漠とした世情への不安は、若者を無意識的に劇場に向かわせているのではないか。笑いの要素も多いエンターテインメントながら、日常が戦争に振れるとはどういうことか、声高でなくとも伝わってくるのが『この世界の片隅に』という作品であった。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授が提唱する経済理論。アベノミクスが結果を出せず、デフレ脱却が思うようにいかない中、日本経済をリードする新たな経済理論として注目を集めている。

 提唱者のシムズ教授は1942年、米国生まれ。専門は計量経済学、マクロ経済学。2011年に、「マクロ経済学における原因と効果」に関する功績で、ノーベル経済学賞を受賞した。

 シムズ理論は一口で言うと、「デフレが長引く中では、財政悪化を招いてでも、財政出動を拡大すべし。それがデフレ脱却の近道である」というものだ。さらにストレートに言えば、「デフレから脱却できないのは、政府、財務省の役人が財政規律にこだわりすぎるからだ」ということだろうか。

 脚光を浴びるシムズ理論だが、GDP比で2倍、先進国で最悪水準の財政赤字を抱える日本で「財政出動・イケイケ論」は、危険ではないのか、との懸念も少なくない。エコノミストの間では、シムズ理論を実践すると、デフレを通り越して激しいインフレを招く、との見方もある。

 そもそも財政出動のために赤字国債をさらに大量に発行するのは、無責任ではないか。借金を子や孫に転嫁する浪費癖の親の所業である。

 一方、シムズ理論が脚光を浴びる背景についてこんな観測も流れている。

 <消費税再引き上げを見送るべきだ、とする安倍政権による意図的なアドバルーンだ。財政出動の先には消費増税の再先送りの可能性があるのではないか>

 その観測に信ぴょう性を持たせているのは、シムズ教授が、浜田宏一内閣官房参与に近いとされる人物だからだ。浜田氏は、アベノミクスの理論的支柱で安倍晋三首相のブレーンである。

 安倍政権が今後、シムズ理論を取り入れるのかどうかわからない。ただ、採用する際は「財政悪化をどの程度まで許容するのか」の線引きも、しっかり定めておく必要がある。いきなりまた「新しい判断」で消費税の先送りをされたら将来世代の反発を買うだろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 SNS上でのやりとりの一手法。昨今は、メッセージの文末に置く絵文字や顔文字の代わりに、漢字や平仮名、もしくは記号などの一文字だけを添えるパターンが、若い世代を中心に増えているのだという。なにも付けないのはそっけない、でも凝るのは面倒というメンタル……なのだそう。

 たとえば、「草」は(笑)の意味で、waraのwの連続、「wwwww」(大爆笑)が「草が生えている」ように見えることが発祥だとされている。

 ほかにも「杉」は「過ぎ」、「乙」は「お疲れさま(それは大変だったね、ドンマイ的な意味でも使われる)」、「み」は「“わかりみ”みたいに、接尾辞を付加しても名詞にならない言葉を無理矢理名詞化する」……ほか、さまざまな一文字メッセージが「ほぼ毎日」と言ってもよいくらい続々と、ちまたに出回っている。

 ただ、コレはあくまで“相互理解”が成立している関係内でのみ通用する一種の暗号のようなものゆえ、まだ知り合って間もない相手へとやみくもに多用すれば「ただの頭の悪いヒト」「誤字も打ち直さないガサツでせっかちなヒト」……と見なされている危険性も高い。

 「草」を(笑)と解釈できない層に「ヤバイ草」なんてメッセージを送ったりしてしまった日には、いろんな意味で「ちょっと危ないヒト?」のレッテルを貼られ、挙げ句の果てには半グレ扱いされてしまうことだって充分にあり得るのだ。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 京都市内には明治から大正、昭和にかけて建てられた、モダンな洋風住宅が数多く散在している。例えば、白川疎水の散策道の一角に静かに佇む「駒井家住宅」(左京区)。京都大学名誉教授・駒井卓(こまい・たく)博士(1886~1972)の私邸として、ヴォーリズ建築事務所の設計により1927(昭和2)年に建てられた。W.M.ヴォーリズが円熟期に手がけた代表作である。また、熊倉吉太良(くまくら・きちたろう、熊倉工務店)が手がけた民芸調の和風と洋風を折衷した独特のデザインの住宅をはじめ、戦前の京都で建てられた洋風住宅の多くは、東京や大阪のものとも異なり、独創的で見応えのあるものが多い。

 このような京都独自の洋風住宅を楽しむ上で、とりわけ大事な人物がいる。和と洋の特徴を調和させた「京都風」西洋館や洋風住宅の先駆けとなった建築家、武田五一(1872-1938)である。武田は明治期において、国内唯一の建築に関する官立大学教育機関であった東京帝国大学造家学科の出身。1903(明治36)年に京都工芸繊維大学の前身である京都高等工芸学校の教授として京都を訪れた後、1920(大正9)年に京都帝国大学に作られた建築学科で初代教授に就任している。その後、関西一円で仕事を続けた武田は、非常に多くの建築物を手がけ、京都には現存しているものが多い。なかでも、旧毎日新聞社京都支社の1928ビル(1928年建造)や、旧松風嘉定(しょうふう・かじょう)邸洋館の順正・清水店(1914年建造、現在はカフェ五龍閣)などが有名である。

 武田は貪欲に新しいデザイン要素を混在させた作風を、終生をかけて追求していった。そして、その作品にはいつも「和」の要素が感じられた。武田が京都風近代建築の先駆けと呼ばれてきた理由は、やはり、日本の伝統的な建築の蓄積の中に新しい試みを模索し続けたからなのだろう。ちなみに、NHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年下半期放映)に登場し、独創的な発想を大声で主張し続けた人物『竹元教授』のモデルは、この武田である。

 一部ではあるが、武田五一の建築の足跡を、写真で垣間見て欲しい。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 2月10日と11日に安倍とトランプの首脳会談が行なわれた。そこで安倍首相は、中国の脅威から日本を守っておくれと懇願したようだ。

 安倍は心底、習近平の中国を怖がっている。そう考えなくては、世界の嫌われ者になったトランプに、50兆円超といわれる「貢ぎ物」を抱えて、あわてて会いに行った理由が解せない。

 先日、国防の責任者・マティスが訪日して、尖閣諸島は日米安保条約・第五条の適用範囲内であると明言したのに、親分に直に会って確かめなければ、とカミさんの手を引っ張って訪米した。

 トランプは、日々高まる国内外の批判やメディアの「ウソつき」口撃にウンザリしていた。そこにいいゴルフ相手が来たと喜んだに違いない。それももの凄いお土産持参である。

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射していなければ共同記者会見も開きたくなかったのではないか。安倍が饒舌なのに比べ、トランプは素っ気なかった。トランプは、こういう言いなりになる僕がオレにはいるんだと世界に見せつければ、後はどうでもよかったはずだ。

 安倍は小心者である。だからプーチンやトランプのような“強く見える男”に憧れる。習近平とひとりで対峙する度胸はない。彼らを盾にして後ろから遠吠えすることしかできはしないのだ。

 「貢ぎ物」の中身は「日米成長雇用イニシアチブ」と言われ、鉄道整備への投資やロボット開発の共同研究などを含めて、アメリカの雇用に多大な貢献をするものだという。菅義偉官房長官は記者会見で「どちらの国もウィンウィンの関係を構築することができる」と説明しているが、大ウソである。

 『ニューズウィーク日本版』(2月14日号)で横田孝編集長は、同盟国とはいえ、なぜ世界第一位の経済大国のために、雇用創出プランを作る必要があるのか。「日本はトランプのATMではない」と批判しているが、その通りである。

 日経新聞(2月2日付)がすっぱ抜いたが、このアメリカのインフラ投資に日本の公的年金を投入するという、とんでもない案まであるというのだ。

 この報道に菅官房長官が激怒したらしい。そもそも政府には公的年金の出資先を指定する権限がないから、あり得ないと言うのだが、安倍ならやりかねない。

 だが、トランプは安倍が頼りにするほど好人物ではない。それが証拠に、安倍が来る直前に習近平と電話会談をして、中国側の「一つの中国」政策を支持し、互いに訪問することまで約束してしまった。

 就任前に安倍がトランプに会いに行ったときにも、和やかだった懇談が終わって安倍がタワーを出た直後に、「TPPは破棄する」とツイートした。

 根っからのビジネスマンであるトランプは、自分に有利だ、儲かると思えば、相手が一国の首相だろうが、交わした約束を反古にするのは朝飯前である。

 安倍は、レーガンと中曽根時代に「ロン・ヤス」と呼び合っていたように、トランプと「ドン・シン」とでも呼び合い、仲のいいところを見せたいと思っているのかもしれない。

 また、祖父の岸信介がアイゼンハワーとゴルフをしたように、自分も大統領とゴルフをして祖父に少し近づいたと錯覚しているのかもしれない。

 だが『週刊ポスト』(2/17号、以下『ポスト』)が報じているように、日米首脳会談は、日本側が軽くあしらわれ、煮え湯を飲まされ続けてきた“屈辱”の歴史なのだ。

 日本で最初に日米首脳会談をしたのは吉田茂だが、51年にサンフランシスコ講和条約締結のために訪米した際には、トルーマン大統領には会えず、やっと会えたのは54年11月で、この時の大統領はアイゼンハワーに代わっていた。

 岸信介は57年にアイゼンハワーと会談しているが、2度目の60年に新安保条約の調印のために訪日したときは、アメリカ側で署名したのはハーター国務長官だった。

 「米国は日本の首相を大統領と同格と見なしていなかった」(『ポスト』)

 佐藤栄作時代は日米の繊維摩擦が激化し、日本はアメリカへの繊維の輸出を大幅に規制するという条件を飲まされ、繊維業界は壊滅的な打撃を被った。

 沖縄返還は実現したが、佐藤は「糸と縄を交換した」と言われた。

 日米首脳会談で最も煮え湯を飲まされたのは田中角栄だろうと、外交評論家の孫崎亨(まござき・うける)は言う。

 田中はアメリカの頭越しに日中国交正常化を目指していたが、それを知ったニクソンは日本に出し抜かれるのを恐れ、「日中交渉の延期」を申し渡すためにキッシンジャー大統領補佐官を日本に派遣した。

 しかし、田中は「なぜオレが補佐官に会わなきゃいけないのか」と渋り、キッシンジャーの要請を一蹴してしまう。

 そのため、中国訪問に先立つ72年8月にハワイで首脳会談をした時、ニクソンもキッシンジャーも激怒していて、田中を罵倒したという。

 『ポスト』によれば、この時、アメリカ側からロッキード社のP-3C対潜哨戒機の売り込みがあったという。

 後にロッキード事件が起こり田中は逮捕されるが、この時のことをアメリカ側が根に持ち、田中を陥れるために事件をつくり出した「謀略」ではなかったのかという見方が、いまだにある。

 宇野宗佑(そうすけ)は首相就任早々、神楽坂の元芸者が宇野との房事を告発したことで短命に終わったが、89年に行なわれた父・ブッシュとの会談もたったの6分だった。

 だが、ブッシュ側からは、アメリカの小売店の日本進出を可能にする大規模小売店舗法改正、日本企業によるアメリカ不動産買い漁りを止めさせるための国内地価抑制などをテーマにする「日米構造協議」の開催などを突きつけ、ことごとく実現させた。

 英語に堪能だと謳われた宮沢喜一も、93年、東京サミットに乗り込んできたクリントンから、アメリカからの輸入量の数値目標を示すよう迫られ、悪名高い米国から日本への「年次改革要望書」も認めさせられたのである。

 「米国は日本に大店法廃止、郵政民営化など毎年の改革要求を突きつけ、日本は経済主権を失い、『第2の占領』状態になった」(『ポスト』)

 社会党出身初の首相になった村山富市(とみいち)は、訪米したがクリントンとはサシでは会えず、他に会ってくれる閣僚はほとんどいなかったという。

 09年、麻生太郎は就任早々のオバマと会うために訪米したが、サシの会談も昼食会も共同記者会見もなかった。

 では先の「ロン・ヤス」時代はどうか。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に苦しんでいたアメリカは、85年9月に、ドル危機を防ぐため円高・ドル安の政策合意を決定した(プラザ合意)。

 1ドル=240円台だった円がわずか3年で1ドル=120円台へと跳ね上がり、その後の超円高時代をもたらした。

 小泉純一郎とブッシュ時代はどうだろう。13回も首脳会談を行なったため、良好だと言われていたが、02年に小泉が北朝鮮を電撃訪問すると、北朝鮮を「悪の枢軸」と非難していたブッシュは日朝接近をぶち壊す方向に動き、「北朝鮮がウラン濃縮計画推進」という情報を公開して、日朝平壌(ピョンヤン)宣言を事実上空文化させてしまったのだ。

 日米首脳会談とは、「米国大統領がヘゲモニーを振りかざし、『NOと言えない』日本の首相が要求を丸呑みするセレモニー」(同)なのである。

 いくら親しそうに見えても国益が絡めば、常に「アメリカファースト」なのは、トランプに始まったことではない。

 そこのところを安倍首相はまったくわかっていない。それが日本にとって最大のリスクであることは間違いない。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 よく雑誌仲間が集まるとこういう話になる。大新聞は、週刊誌からネタを掠め取っているのに、〇月〇日にわかったなどと書くのは許せない。
 新聞に載る雑誌広告は、校了の2日前ぐらいに新聞社に出さなければいけない。それを盗み見たブン屋が取材に走り、発売と同時か場合によっては前日に書いてしまうということがよくある。
 普通の感覚なら「窃盗」である。何度も週刊誌側が抗議して、少しよくなってはいるが、まだまだ徹底されていない。今週もそういうことがあった。恥ずかしくないのかね、大新聞は?

第1位 「愛人が告発!『警察庁高級官僚がベッドで漏らした国家機密』(『フライデー』2/24号)
第2位 「小池百合子を次の総理に」(『週刊現代』2/25号)/「絶好調! 小池百合子都知事の愛犬の名は『ソーリ』」(『週刊ポスト』2/24号)/「ビートたけしの21世紀毒談」(『週刊ポスト』2/24号)/「小池vs.石原ファミリー」(『週刊文春』2/16号)/「豊洲移転きっかけは『小池派区長説』を追う」(『週刊朝日』2/17号)
第3位 「巨人軍元中継ぎエースの転落“結婚サギ訴訟”と“闇スロット通い”」(『週刊文春』2/16号)

 第3位。『文春』が報じている元巨人軍にいた中継ぎエース・越智大祐(おち・だいすけ、33)のゲス不倫。これは不倫というより「結婚詐欺」に近いようだ
 昔は巨人ファンだったが、越智という名前はほとんど記憶にない。左の中継ぎのエース山口鉄也投手と「風神雷神コンビ」と言われていたそうだから、それなりに活躍していたのだろう。
 10年に結婚しているが、件の女性と出会ったのは11年。巨人軍の宮崎キャンプのとき、彼女はその地でキャバクラにいたという。
 客として来店した越智は、彼女のことを気に入り「ホテルに来て欲しい」「会いたい」と盛んに連絡が来るようになった。
 だがその当時、彼女も結婚していて子どももいたそうだ。数年間は客とホステスという関係だったが、ある時、越智から「離婚した」というメッセージが届き、14年の春のキャンプの時から交際するようになったという。
 シーズンが始まると毎週のように東京へ出向いた。その頃越智は「闇スロット」にはまっていて、渋谷のラブホテルが建ち並ぶ中の古びた洋館に通っていたそうだ。
 闇カジノと同じ違法行為だ。そこは山口組系の元組幹部の息子が経営していて、その男と越智は仲がよかったという。
 越智は14年秋に現役を引退したが、その翌年に、親交があった人間が古銭詐欺グループの一員として逮捕された。そのため警視庁から事情聴取と家宅捜索を受けていると言うから、その筋の人間たちとの交流はかなりあったようだ。
 同じ年、巨人軍の野球賭博事件が起き、名前が上がったのが越智と親しかった人間ばかりだったが、越智は忽然と姿を消していた。
 越智は宮崎へ行き、件の女性に「俺は離婚しているんだからお前も離婚しろ」と迫り、彼女は離婚して同棲生活を始めた。
 だが、越智が出したのは生活費として出した20万円だけ。ヒモ生活をしながら朝から晩までパチンコ屋でパチスロを打っていたという。
 そのうち、別れたはずの越智の奥さんから頻繁に電話が入り、越智を問い詰めると「実はずっと結婚しています」と白状し、翌朝、宮崎から姿を消してしまったそうだ。
 その後愛媛の松山で、やはりキャバクラ嬢をたらし込み、「離婚する」「お前の店を出してやる」と嘘八百を並べていたという。
 『文春』を読む限り、越智という男は根っからの詐欺師なのであろう。野球賭博常習者と結婚詐欺師が一時期の巨人軍を支えていたのだ。
 件の女性は「二月中にも婚約不履行で訴訟を起こす予定です」と語っているが、こういう男はこれからも同じことを繰り返すのだろう。

 第2位。小池都知事の勢いはいまのところトランプを凌ぐものがある。全面支援した石川雅己(まさみ)千代田区長が大勝し、ドン内田は責任をとって引退するそうだ。
 返す刀で石原慎太郎元都知事を豊洲移転問題で都議会の特別委員会に参考人招致することを決め、石原もこれを渋々だが承諾した。
 『文春』によると、豊洲だけではなく、石原が立ち上げた新銀行東京問題や、若手芸術家育成事業のTWS(トーキョーワンダーサイト)の抜本的な見直しもやるそうだ。
 TWSは、石原の友人を館長に据え、画家として無名だった四男の延啓(のぶひろ)を諮問委員に登用して大枚を払ったことが私物化だとして問題になった。
 石原には伸晃(のぶてる)をはじめ多くの子どもがいるが、親父が強すぎるせいだろう、ひ弱で自立心のない連中が多い。
 石原は昔『スパルタ教育』という本を出して話題になった。この本に刺激されてわが子をスパルタで育てた親もいたに違いない。だが、ああいう教育は間違いだったと、石原自らが立証してくれたが、真似して育てた子どもたちは今どうなっているのだろう。心配である。
 小池のうまさは具体的な敵を次々につくりあげる政治手法にあるが、心配なのは肝心の豊洲移転や東京都の改革がなかなか進まないことである。
 先日は小池の私設ボディガードが元AV俳優だったと報じられた(『アサヒ芸能』)が、今回も各誌でさまざまなことが報じられている。
 『新潮』(2/16号)では朝鮮総連と蜜月の関係にあった父親の息子が、かつて小池の秘書にいたという。だが、それより大きな問題は『週刊朝日』(以下、『朝日』)が報じている、豊洲移転のきっかけをつくったのは、先日5選を果たした石川区長だったという記事だろう。
 『朝日』によれば、都庁にいた石川氏が築地市場移転に関わったのは、青島幸男が知事に当選した95年の6月、彼が港湾局長の時だという。
 青島は世界都市博覧会を公約通り中止し、開発を予定していた多くの企業が見直しを余儀なくされた。豊洲市場用地を後に都に売却した東京ガスもそうだったが、その時、東京ガスに声をかけたのが石川局長だったそうだ。

 「石川さんが初めて築地の豊洲移転の構想を提案したのです」(築地市場幹部)

 当時築地は営業しながら再整備を進める予定だったが、その方針がガラッと変わったというのだ。
 青島の特別秘書をしていた辺見廣明氏が市場関係者らの面談の席で「豊洲移転」で動いていると話したそうだが、辺見氏は記憶にないという。
 だが豊洲移転に「石川氏がどの程度関与していたかはわかりませんが、彼は自民党の内田都議と仲が良く、業者との蜜月が過ぎるという噂が絶えなかった」ため、青島の判断で港湾局長職は1年間だけで代わってもらったそうだ。
 この問題に詳しいジャーナリストの池上正樹氏は、都は市場の人たちには内緒にして港湾局主導で豊洲の調査や交渉を行なっていた。臨海再開発の失敗による財政悪化で、築地を移転して売却するしかなくなったと話している。
 『朝日』は石川に直撃しているが、例によって、20年以上前のことだからわかんないと言う。だが、青島時代に一旦ご破算になった豊洲移転は水面下で交渉が継続され、石原都政で実を結んだというのである。
 だとすれば、石川区長も呼んで喚問しなければいけないのではないか。
 『ポスト』は小池の愛犬の名前が「ソーリ」というと報じている。将来の総理を目指して付けたのか?
 だが『現代』は、それが実現する可能性が高くなってきたと巻頭で大特集。安倍のような政権が続いているのは、支持率が不思議に落ちないからだが、その理由は「安倍に替わる人間がいない」というのが大半。
 ならばこれだけ人気が沸騰している小池を総理にという声が沸き上がれば、安倍などポイと捨てられるというのである。
 たしかに、都議選で大勝すれば、東京から永田町へ環流する可能性がないわけではない。
 元々小池は永田町で総裁選にまで出たのだから、石原慎太郎が国政へ復帰しようとしたことを考えても、可能性は大かもしれない。
 小池の親分は石破茂(いしば・しげる)だが、いまひとつ人気も出ないし、派閥のまとまりも悪い。
 小池を石破茂が担いで小池総理、石破官房長官。おもしろいとは思うが、小池が都政でどんな実績を残せるのか、もう少し見なければ、彼女の実力はわからない。
 気の早すぎるフライング気味の記事である。
 先週に続いて、『ポスト』のビートたけしの連載がおもしろい
 たけしが小池の手法にこう言っている。

 「『郵政民営化か否か』の郵政解散をやった小泉純一郎元首相のマネをしてるんだろうけど、小池都知事ってのは、物事をこういう『単純な二元論』に持っていくのがうまいよな。
 だけど、この人は小沢一郎やら、小泉やら、そういう大物の親分に寄り添ってただけで、『トップに立つ』って人じゃない。
 実際よく見りゃ、豊洲市場の件だって、五輪開催地の件だって、結局何にも進んでないわけでさ。この辺で、自分の器ってのを見極めておいてほうがいい気がするよね」

 移転不可になった豊洲をこう活用したらいいという。

 「もう移転不可能なら、豊洲をデッカイ刑務所にするしかないんじゃないの。『冷凍庫なんて網走より寒い』『気を抜くと凍死しちゃう』っていうんで、犯罪抑止力もバツグン」

 小池都知事の能力は未知数。器を見ないで馬鹿さわぎするのは、安倍がアベノミクスと言い出して、何だかわからずに支持したことと同じである。

 第1位。今週の第1位は『フライデー』の「ゲス不倫」。『フライデー』は将来の警視総監候補のひとりといわれる警察庁の阿武(あんの)孝雄警視長(44)が、警視庁に交通事故防止のための反射材用品を納入する企業の役員を務める30代の女性Aと不倫関係にあったと報じている。
 出会いは15年11月。その頃阿武は警視庁に出向し、交通総務課長だった。
 A子が言うには、阿武が既婚者だということは知っていたが、熱烈なアプローチと「君と結婚したい」という言葉を信じて関係を持ってしまったという。

 「彼は私の下着やストッキングを頭に被ったり、靴の臭いを嗅ぎたがったりするんです。セックスの時、興奮すると首を絞めてくることもありました」

 彼女はそんな性癖にうんざりしていた。その上、食事代やホテル代も彼女持ちだったという。
 だが、彼女の会社の業績が昨年5月頃から悪化して、デートの費用を出すことが難しくなってくると、阿武の態度が一変して、結婚の話も消えてしまったそうだ。
 こうした不倫行為が許されるわけもないが、それ以上に重大な違法行為をした疑いがあるというのである。
 16年2月頃、あるノートを持ってきて2人で見たというのだ。なかには「方面本部長会議」「署長会議」と書いてあるものもあったという。
 『フライデー』は、彼女が撮影したこれらのノートの写真を確認していると書いている。そこには警察庁内部の不祥事の報告や、伊勢志摩サミットに向けての警察庁の警備方針まで記されていたというから、これは完全にアウトだろう。
 2月10日のasahi.comは「警察庁キャリアが女性と不倫 女性の会社が関連業務受注」と報じているが、05時02分となっているから、『フライデー』を入手して、警察庁に当てたのだろう。
 だが、記事のどこにも「フライデーによれば」とは書いていない。いつも言うが、新聞は情報の入手先ぐらい明記すべきだ。それが報道のイロハである。独自ネタではないのだから、恥を知れよ。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 ニンニクの名産地として名高い青森県南部の田子町(たっこまち)には、「みろくの滝」なる名所がある。その名前は弥勒菩薩から来ているとか。ある僧侶が、凶作から民を救おうと菩薩に願ったところ、滝が現れて田んぼを満たしたという伝説が残っているそうだ。

 いま、この滝がネット上でひそかな話題となっていることをご存じだろうか。みろくの滝としてではなく、「スヌーピーの滝」としてだ。こちら、岩肌の凹凸がイヌの横顔に見える。さらに、その端の部分に水が白く流れると「耳」のように見えてくる(ちなみに、この流れの白さから「ソーメンの滝」とも呼ばれるそうだ)。まさに、コミックのスヌーピーを思わせる絵面が現れることになる。

 静かなブナの原生林の中に位置しており、癒しスポットとして年々知名度を増している。これから春を迎えると、散策の人出もさらに増えそうだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


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