突然で恐縮だが「色好み」というのは遺伝するのだろうか。男も女も親に似て、モテるタイプというのはあるような気がする。

 だが、英雄色を好むといわれるように、色好みというのは男のことで、女に対しては使わないようだ。女は淫乱体質か?

 それはともかく、『週刊新潮』(4/27号、以下『新潮』)がすっぱ抜いた中川俊直自民党衆院議員(46)の“ゲス不倫”だが、当選2回の小物議員にしては大きな話題になったのは、彼の父親がそれなりの大物議員だったこともあったのだろう。だが、父親も官房長官の時に愛人問題で躓(つまず)き、権力の座から転がり落ちてしまったことが、みんなの記憶にあったからではないか。

 まさに不倫の魂百までもだが、この父と子のケースを見ると、色好み、浮気性は遺伝するように思える。

 父親・中川秀直氏の場合、愛人は若い銀座ホステスだった。やはり新潮社が出していた『フォーカス』がスクープしたのだが、この人の場合も立場をわきまえず、件の愛人に覚せい剤使用の噂が立ち、警察が内偵を始めていた時に、「警視庁の保安課が動いているから気を付けろ」と、捜査情報まで伝えてしまったのである。

 当然秀直氏は辞任したのだが、そんな軽率な議員の子どもが親の看板を受け継ぎ、政治家になったのである。

 父親のスキャンダルが報じられたのは2000年のことだから、彼が20代の後半、30になろうかという頃だ。そうした父親の不始末を近くで見ていたのだから、普通は、そうしたことはやるまいと思うはずだが、そうではなかった。

 父親の後をそのままなぞって愛人(47)をつくり、その上、親父さんでさえできなかった、愛人とハワイで“華燭の典”を挙げていたというのである。

 もちろん彼には奥さんと3人の子どもがいる。それも高校時代の後輩だった奥さんは、現在がんで闘病中だというのだから、言葉を失う。

 彼女とは古くからの知り合いだったが、東日本大震災を機にフェイスブックで連絡を取り合って交際を再開し、肉体関係へと発展したようだ。

 『新潮』はご丁寧にハワイでの結婚証明書までグラビアに載せている。2013年9月9日。

 男のほうは、入籍をしたわけではないから「重婚」ではないと弁明しているようだが、道義的にも許されることではない。まだ当選して間もないのに、女性にだけは安倍首相真っ青の大ベテランなのだ。

 父親似はそれだけではない。警察と関わったところまで同じだというのだから、このままバレなければ官房長官ぐらいにはなったかもしれない。

 今は経産政務官という肩書だが、この御仁、異常に嫉妬心が強いらしい。

 元愛人が家をリフォームした際、それをフェイスブックにアップしたところ、写っていた「工具」を見て、「これって電動マッサージだよね?」となじったり、彼女がシャワーを浴びていて電話に出られなかった時、ひどくとがめられたりした。

 あまりに嫉妬心が強いために会わなくなったこともあったという。

 以前、中川政務官は『フライデー』(3/24号)で、前川恵自民党衆院議員(41)との「密愛」が報じられたが、彼女のことは「前カノ」と言い、元愛人とベッドにいるとき、前川議員と電話で話しているうちに「痴話げんか」みたいになり、その声を愛人に聞かせたというのだ。

 そんな男の仕打ちに元愛人がブチ切れ、男を追い出したそうだ。だが、中川はしつこく電話やメールをよこし、出ないと彼女の家に来て、半狂乱で号泣する、大声を出すなどしたため、仕方なく彼女は110番したのだ。

 やってきた警官は「ああいう真面目な職業に就いている人こそ、殺人を犯したり酷い事件を起こす可能性がある」として、彼女に「ストーカー登録」させ、これから彼が同じようなことをしたら110番しなさいと言われたという。

 『新潮』(5/4・11号)で、男のほうは「ストーカー登録の事実は一切ない」と抗弁しているそうだが、彼女はこう話している。

 「ストーカー登録は警察署に被害者が登録されるので、俊ちゃんが登録されていないのは当たり前ですよ。週刊新潮が発売された日、渋谷署の生活安全課の担当官から電話があって、(中略)ストーカー登録についても“あなたが登録されていますが、中川さんは間違いなく加害者として記録されているので、安心してください”と答えてくれました」

 このあきれ果てた男は、大学を卒業してからテレビ東京の政治部にいたのだという。元愛人が男の人間性をこう“総括”している。

 「結局、彼が求めたのは『性の対象の安定供給』。私と付き合っていた時から、“奥さんがいたりとか、公人であって週刊誌に追われたりとか、職場恋愛(永田町=筆者注)だったりとか。そのスリルに燃える”と言ってました。根っからの不倫体質なんです」

 彼の場合、不倫は文化ではなく病気ということなのだろう。『新潮』発売前に政務官を辞任したが、政治家失格の前に人間失格である。

 自民党もさすがに支持率が落ちることを恐れたのであろう、すかさず中川を離党させた。

 身から出た錆である。妻の妊娠中に不倫を働いた宮崎謙介元議員のように、議員辞職まで追い込まれるのではないか。

 がんで闘病中だという中川の妻がワイドショーの取材に答えていた。夫の言うことを信じると言ってはいたが、痩せた肩が痛々しかった。

 「“永田町の性獣”中川俊直『不倫でついに更迭!』」とタイトルを打った『フライデー』(5/5号)は、中川が愛人に「前カノ」と言っていた前川衆院議員を直撃している。

 中川と「深夜密会」していたのをフライデーされたときは、「不倫は事実無根!」と威勢よく答えていたのに、今回は、「憔悴した様子でペコリと頭を下げ、クルマに乗り込んでいった」(『フライデー』)そうだ。

 永田町というところは政治家ではなく「性事家」が多すぎないか。週刊誌に暴かれるのは氷山の一角に違いない。AVの帝王・村西とおる監督さん、永田町を舞台に元議員たちを起用した「AV永田町相関図」を撮ったらどうか。また有名になれると、すすんで出る人はいると思うよ。

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 だいぶ昔になるが、ゴールデンウィークや新年の合併号には、必ず「あの人は今」というワイド特集が載っていたものである。その多くは、あの事件のあの人は……というものだったが、今はプライバシーが声高に言われるようになったため、犯歴のある人間を取り上げることが難しくなった。そうなると登場するのは芸能人やスポーツ選手と範囲は決まってくる。週刊誌が売れなくなったのは、そうしたかつての売り物企画ができないということにもあるのだろう。ちなみに、この企画を最初に考えたのは『週刊新潮』であった。

第1位 「リンちゃん殺害凌辱鬼の素性」(『週刊文春』4/27号)/「『ベトナム少女』殺害犯は地域社会も殺した」(『週刊新潮』4/27号)
第2位 「『クックパッド』は危ない」(『週刊文春』4/27号)
第3位 「ポーズが決まらない『五郎丸』仏リーグをお払い箱」(『週刊新潮』4/27号)

 第3位。『新潮』に懐かしいラグビーの五郎丸歩(31)の近況が載っている。W杯で大活躍し、知名度を大幅アップした五郎丸だが、オーストラリアのチームに行ったものの目が出ず、今度はフランスの「TOP14」というプロリーグへ移った。
 ヤマハ時代の年棒は約2000万円。それが世界最高額の約1億9000万円になり、成績次第では2年目の契約も更新されるという好条件だった。
 期待は大きかったが、言葉の壁もあったのか、フランスでの出場試合はわずか5回。チームの会長からも「W杯の時の素晴らしさとは別人のよう」と酷評され、今年6月の退団は決定的だそうだ。
 古巣ヤマハに戻っても日本代表になれるかどうかと、彼への評価は厳しいようだ。国民的アイドルになった五郎丸の帰還を、少年少女たちはどう迎えるのだろうか。ちょっぴり可哀そうだが。

 第2位。生後6か月の男児が蜂蜜を摂取したことで「乳児ボツリヌス症」を発症して死亡したが、レシピ検索・投稿サイトの最大手「クックパッド」にそのレシピが掲載されていたため、SNSで非難の声が上がった。
 だが、『文春』によると、いまだにクックパッドにはそのレシピが消されずに載っており、そのほかにも「要注意メニュー」があると報じている。
 例えば「鶏ユッケ、鶏ハム、鶏わさ」なども、過熱が不十分だと、鶏肉に含まれるカンピロバクターによる食中毒を起こす。「しめ鯖」が危険なことは私でもわかる。酢を薄めたりすると保存力が弱くなるからだ。
 「冷凍卵」も、冷凍では卵に潜むサルモネラ菌が死滅しない。やはり健康にいいという「酵素ジュース」も、きちんとした温度・湿度管理をしないと、食中毒を引き起こすなどなど、専門家のチェックの入らないレシピをそのまま鵜吞みにすると危険だというのは、その通りであろう。
 4/28号の『ポスト』には、焼鮭の皮、カニミソ、海老天のシッポ、リンゴの皮は「本当は食べないほうがいい」という特集があった。
 魚に含まれるオメガ3脂肪酸には血液をサラサラにする働きがあるが、過熱すると逆に血液を凝固させるという。カリッと焼かれた焼鮭の皮は、私も好物だが、食べ過ぎに注意だそうだ。
 カニやロブスターなどの甲殻類の内臓などの柔らかな緑色の部分に、発がん性のあるPCBが蓄積しやすいから、カニミソも要注意。
 海老天のシッポはキチン質という動物性食物繊維でできていて、酸に溶けにくい。消化機能が低下している高齢者は、消化不良を起こす可能性ありだそうだ。
 リンゴの皮には農薬が付着していて、水洗い程度では落ちない。2日目のカレーは味が馴染んでおいしいというが、常温保存では食中毒を起こす危険があるという。
 これから食中毒が多くなる季節。過熱や保存には注意したいものである。

 第1位。ベトナム少女リンさん(9)の殺害犯が彼女の通っていた小学校で保護者会会長を務めていた渋谷恭正(46)容疑者だったというのは、世の子どもを持つ保護者達に大きな衝撃を与えた。
 『新潮』によれば、渋谷は不動産管理をやりながら毎朝、熱心に子どもたちの通学を見守っていたという。
 だが渋谷が働いていた中華料理店の元店長は『文春』でこう証言している。

 「当時、いわゆる裏DVDを収集していて、よく店に持ってきては自慢していました。十二、三歳くらいの子がブルマ姿になってはしゃいでいたり、小さなビキニを食い込ませていたりするものでした。『ブルセラショップで若い子の商品を買ってくる』と言い、都内に行くこともあった」

 事件前から複数の児童に対して、「車で送ってあげるから乗らないか」と声をかけていたと社会部記者が話している。
 こうしたゆがんだ性癖を持つ人間を見分けることは至難ではある。外国でやられているように、性犯罪歴のある人間の住んでいる場所を「公開」するというのも一つのやり方だが、日本のような社会では難しいと思う。どうしたらいいのだろう。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 インドの伝承医学である「アーユルヴェーダ」で、若返りのハーブとして重要な存在の「アムラ」。東南アジアなどに分布するトウダイグサ科の植物で、「油柑(ゆかん)」などとも呼ばれる。ヘアケアの分野で、抜け毛や白髪の予防に関して語られることも多い。近年は、果実が栄養豊富なくだもの「スーパーフルーツ」として注目されつつある。海外のセレブのあいだではすでに浸透しているらしい。

 日本アムラ協会のホームページによれば、梅にも似た果実は赤ワインの約30倍相当というポリフェノールを含む。また、一般にくだもののビタミンCは加熱すると壊れてしまうが、アムラのビタミンCは熱に強いとされている。日本ではまだサプリメントなどで名前をみかける程度の知名度だが、各分野で普及をはかる動きが見られている。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 これまで男性の仕事とされてきた狩猟の世界に、足を踏み入れる「狩猟女子」が3~4年前からメディアに登場するようになった。

 一見、どこにでもいそうな若い女性が、山や森に入り、罠を仕掛けたり、銃を使ったりして、クマやイノシシ、シカ、サル、ウサギなどの野生鳥獣を捕獲する。鳥獣の種類にもよるが、たとえばイノシシだと、体長は100~180cm、体重が80~180㎏ほどになる。力のある男性でも扱いに手こずるものだが、狩猟女子たちは自分よりもはるかに大きなイノシシを解体し、調理して食べている。

 ブームを象徴する1冊の本が、畠山千春さんの『─狩猟女子の暮らしづくり─ わたし、解体はじめました』(木楽舎)で、東日本大震災を機に、自給自足の暮らしを目指した彼女が、狩猟免許を取得して狩猟女子になるまでの心の動きや暮らしの変化を描いている。

 また、2012年には、北海道で「狩猟(shoot)」と「食(eat)」を2本の柱に掲げて活動するTWIN(The Women In Nature -shoot & eat-)という女性狩猟者の団体も発足。狩猟者確保のために女性ならではの視点と発想で狩猟環境を整え、捕獲した野生動物を食や衣などの暮らしに取り入れる提案を行なうのが目的だという。

 これらの狩猟女子に共通するのは、たんに野生動物を捕るという行為にとどまらず、「食」とのつながりを考え、「命をいただく」ことに真摯に向き合う姿勢だろう。

 ただ、狩猟女子の注目を、無邪気に眺めてばかりもいられない。ブームの裏にあるのが、狩猟者数の全体の減少だ。1975年度に51.8万人いた狩猟免許所持者は、2012年度は18.1万人まで落ち込んだ。その後、狩猟ブームの影響で所持者は増加傾向にあるものの、2014年度は19.4万人だ。このうち12.9万人が60歳以上で狩猟者の高齢化も問題になっている。さらに言えば、この統計には免許を持っているだけのペーパー猟師も含まれているので、実際に活動している人はさらに少ないことが予想される(環境省「年齢別狩猟免許所持者数」より)。

 狩猟者の減少が原因のひとつと考えられているのが、野生鳥獣の増加により農産物への被害が深刻化していることだ。1990年代に20万頭ほどだったイノシシは、現在は100万頭に、シカは30万頭から300万頭に増加しているといわれている。これは、狩猟者のいなくなった地域で生態系が変化し、野生動物の生息域が拡大した結果、イノシシやシカ、サルなどによる農作物への被害が多発するようになったから、というのが大方の見方だ。

 これに比例して害獣として駆除された野生動物も増えており、イノシシは1990年度の7万200頭から、2014年度には52万600頭に。シカは1990年度の4万2000頭から、2014年度は58万8000頭へと増加している。

 このまま狩猟者が増加しなければ、山や森の生態系を守れなくなり、農産物への被害が拡大する恐れもある。狩猟女子が注目される背景には、狩猟者の減少と高齢化という待ったなしの状況が隠されていたというわけだ。

 ただ、一方で哀れなのは駆除されたイノシシやシカなどの野生動物たちだ。現状では、捕獲されてもジビエとして食用に回るのは1割程度で、ほとんどは焼却処分されたり、その場で埋められている。いくら害獣とはいえ、ただ殺して、埋めるという行為は、命あるものへの冒涜のようにも感じる。

 駆除された野生動物が食用に回らないのは、食品衛生法第52条により、食肉処理業の許可を得ていない施設で解体されたイノシシやシカなどは販売できないこととも関係している。野生動物の場合は、狩猟後すぐに屋外で解体されることが多いため、現状では市場にのせるのは難しい。

 生態系を守るために狩猟免許取得者を増やすなら、そこで駆除されたイノシシやシカの命を最後までいただくための仕組み作りも考えたいもの。それには、狩猟の延長線上に「食」や「衣」を見出している狩猟女子たちの視点が必要なのではないだろうか。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 熱帯魚などを水槽で飼育するアクアリウム。癒やし系の美しさにはたしかに魅了されるものの、予算も手間もわりとハードな趣味といえる。それを花瓶のようなガラスの容器(ボトル)で気軽に楽しむものが「ボトリウム」(ボトルとアクアリウムを合わせた造語)だ。業界では有名な「てっちゃん先生」こと水草作家の田畑哲生氏が考案した。

 単に「小さい」というだけでなく、水草を入れることで一つのささやかな生態系を作り出すところがポイントである。ボトリウムに入れる魚と貝は一匹だけにしておくとよい。水草が魚のための酸素を生み出し、魚のふんは水草の養分や貝のエサとなって水をきれいにする。

 田畑氏のホームページによれば、ボトリウムの「お約束」は三つ。「水かえは週に1回」「えさやりは1日おきにほんの少し」「直射日光のあたらない明るい場所に置く(本を読めるぐらいの明るさがベスト)」。なるほど、手間いらずというよりも、過剰な手間を加えないことが重要であるようだ。暑い時期、涼を感じるには絶好の趣味である。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 教育勅語は、戦前の大日本憲法下で、天皇(主権者)が日本国民(臣民)に対し、守るべき徳目を示した教育方針。1890(明治23)年に発布された。起草にあたったのは文部大臣などを歴任した井上毅(こわし)。

 いま教育勅語に注目が集まるのは国有地売却を巡る疑惑で連日、国会で取り上げられた学校法人「森友学園」が、その運営する幼稚園で、園児に唱和させていたからだ。

 その内容は、親に孝行、夫婦仲睦まじく、兄弟姉妹仲良く等々、人間として至極まっとうな行ないを求めたものだ。

 しかし、その一方で、「危急の大事が起きた場合、皇室・国家のために尽くす」ことを国民に対し求めている。戦前の教育現場では、式典で校長がこれを奉読し、「修身」の授業でも、その精神・理念を学んだ。そのため、軍国主義教育の土台となったとの批判がある。

 戦後、「主権在民」の日本国憲法が施行され、国の教育指針は教育基本法にとってかわった。国会も、1948(昭和23)年に衆参両院で教育勅語の「排除・失効」を確認する決議を採択した。

 現在の政府の教育勅語に対する立場は「法制上の効力は喪失している」(菅官房長官)である。ただし、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」(政府答弁書)という。

 要は「親を大切にするなどの項目もある。適切な配慮の下に教材として用いること自体はなんら問題ない」(菅長官)というわけだ。

 確かに、親孝行や夫婦仲睦まじくは、教育勅語を引用するまでもなく学校現場で教えることはできる。しかし、いまさら教育勅語ではないだろう。復古主義もいいところだ。

 野党は「親孝行などの徳目を隠れ蓑に、主権在民の日本国憲法の理念を危うくする、戦前回帰の動きだ」と批判する。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 倉本聰が脚本を手がける高齢者向けの連続ドラマ『やすらぎの郷(さと)』(テレビ朝日系・平日12:30〜の20分枠)をこう呼ぶ向きがある。

 テレビの「ゴールデンタイム」にちなんだ(と思われる)「シルバータイム」だが、平日の昼12時過ぎを、いくら高齢者の方々は仕事や家事をリタイアしているケースが多いとはいえ、「シルバーなタイム」と断じてしまうのはいかがなものか……と、筆者個人としては思わなくもない。もっとシンプルに「シルバードラマ」で良いのでは?

 物語の舞台は、海辺の高台にある「やすらぎの郷」という名の老人ホーム。入園できるのは、かつてテレビ界で一世を風靡した芸能人やドラマの作り手だけという設定のストーリー。そこで起こる様々な人間模様がユーモラスに描かれる。役者には石坂浩二・浅丘ルリ子・加賀まりこ・有馬稲子・八千草薫……と、錚々たるメンバーを揃えている。視聴率は好調で、4月3日からの初週は平均7%台をマーク。他局の同枠の番組(日テレ系「ヒルナンデス」、TBS系「ひるおび」、フジ系「バイキング」)をおさえてトップになることもしばしばだ。

 最近、ドラマでは水谷豊・小日向文世・柴田恭兵・松重豊……ほか、「中年」と言うよりは「初老」俳優陣の活躍がにわかに目立っているが、露骨なシルバー向けドラマってやつは、これまで案外ありそうでなかったような気もする。あの弘兼憲史(ひろかね・けんし)センセイは、すでに20年以上も前から『黄昏(たそがれ)流星群』で、実験的な試みとしてシルバー層をターゲットとする漫画を描き続けているにもかかわらず、だ。この「遅さ」はやはり、とりあえず現時点ではまだ、一番マスなメディアであるテレビの宿命なのかもしれない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 「娘さん、しっぽりしてきよったなぁ、最近。うちのキョロはほんま、なに考えてんのやら……はずかしいわぁ」。

 「しっぽり」は、大人びていたり、落ち着いていたりする様子を表す言葉である。もともとは、「しっとりと十分に濡れるさま」や「しめやかなさま」、あるいは「男女間の情愛のこまやかなさま、親密なさま」(『日本国語大辞典』)といった意味でも使われてきた。京都や奈良、和歌山などではニュアンスが若干変化した他の意味もあり、「熱心な」という意味で、「しっぽりきばってもろて、わるいなぁ」というような使い方もされていたそうである。なお、「キョロ」というのは、目をキョロキョロしているというところから「落ち着きのない人」という意味で、かわいらしさを加味しつつ使われることが多い。

 「しっぽり」の「大人びたしっかり感」がいきすぎて、厳しさが加わるほどになると、「しかつい」という形容になる。「おたく、この頃しかついこと言わはりますな」などという感じ。ちょっと皮肉交じりに注意を促すわけだ。また、「しっぽり」の対義として使われる言葉は、せかせかして落ち着かないという意味の「いらち」であろう。「ほんまにいらちやし、忘れもんせんといてな」という風に使う。標準語の「せっかち」と同じような使い方だろう。


峰床山(左京区)にて。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   


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