コトバJapan! 科学 の 記事一覧


 今回はノストラダムスや超常現象のたぐいが好きだった向きにはそそる話。『新約聖書』における「ヨハネの黙示録(アポカリプシス・イオアノ)」をご存じだろうか。その記述によれば、いわゆる「最後の審判」の前には、神の遣いが7度ラッパを吹き鳴らすとある。ラッパが吹かれるたびに災厄が起こり、ついに7度目に至ったとき、世界に終末が訪れる……。

 最近、どこからか低く轟(とどろ)いているような謎の音が世界中で報告されるようになった。それはよく「金属がこすれあうような」という表現で説明される。SF映画でUFOが近づくときの効果音が近いだろうか。もしかして、これはくだんの「ラッパ」にあたるものではないか。人類の終焉が近づいているのでは? そんな恐怖を込めて、この謎の音は「アポカリプティック・サウンド」と呼ばれることが多い。

 音の正体については諸説乱れ飛んでいる。フジテレビ系のバラエティ番組『世界の何だコレ!?ミステリー』でも採り上げられ、「地球は地球自体からある電波が出ている。その電波を音にするととても奇妙な音色になる」(※番組での英文訳のテロップ)というNASA(米航空宇宙局)の見解を紹介。いずれにせよ、このたぐいの話は、ハッキリしないうちがオカルティックで楽しいのではないか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 近年、分子ガストロノミー料理が注目されている。ガストロノミー(gastronomy)は、美食学などと訳され、食文化を芸術や自然科学などとの関係から考察した研究だ。その美食学を、物理的、化学的に分析したのが「分子ガストロノミー」で、フランスの物理化学者エルベ・ティス博士の考案によるものだ。

 料理を美味しく作る秘訣は、加熱の温度や火入れをする順番、調味料を入れるタイミングなどによって大きく変化する。だが、これは味の染み込みやすさなどから、先人の経験や勘によって伝えられてきたもので、「なぜ、そうなるのか」という科学的に分析されたものではない。

 分子ガストロノミーは、調理による食材の変化・状態を分子レベルで分類し、これまで行なわれてきた調理法の意味を科学的に解明し、さらに美味しい調理法を生み出すことを目指す学問だ。

 まず、食材の状態をG(ガス)、W(液体)、O(油脂)、S(固体)の4つに分類。さらに、分散したり、結合したりするといった分子活動の状態を組み合わせて、あらゆる料理を「式」で表現する。この「式」に、ほかの食材をあてはめて、新しい料理を発明しようというもの。

 たとえば、ホイップクリームは分子調理法では、「空気(ガス)を加えた油脂が、水分のなかに散らばっている状態」と定式化される。この「油脂」をオリーブオイルに、「水分」をオレンジジュースなど、ほかの食材に変えても、クリーム状のものができあがるというのが分子ガストノロミーの考えのようだ。

 果たして、オリーブオイルとオレンジジュースで、本当にオレンジホイップは作れるのかどうかはわからない。だが、先入観にとらわれない新しいレシピ開発には一役買う可能性はある。

 「分子ガストロノミー」と銘打った料理を出すレストランもあるが、こちらは分子調理式によるものではなく、加熱の温度や調味料を入れるタイミングなどを科学的に分析しているもののようだ。

 いずれにしても、こうした料理を科学的に分析する手法がもてはやされるのを見ていると、「目新しいものを食べたい」「もっと美味しいものを」という欲望を感じざるを得ない。たとえ分子ガストロノミーで、世にも稀な美味なるレシピが生まれても、人は「もっと、もっと」と求め続けることをやめられないだろう。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 ミドリムシは昆虫ではない。藻類の一種で単細胞生物である。体長は0.05~0.1ミリ程度。田んぼや湖沼など淡水系に生息する。鞭毛(べんもう)という器官を使って動くとともに、盛んに光合成を行ない、体内に栄養分を蓄えることができる。その栄養分には脂質が多く含まれ、これをもとにして作ったバイオ燃料が「ミドリムシ燃料」である。

 2015年12月、ユーグレナ(じつはミドリムシの学術名,Euglena)というベンチャー企業がこのミドリムシ燃料をジェット機向けに製造する計画を発表した。

 同社はまたミドリムシから作ったディーゼル燃料の実用化も進めており、横浜市にジェットおよびディーゼルの燃料を製造する実証プラントを建設する。プラントは2018年前半に稼働し、2020年までに実用化させる計画である。東京五輪が開催される年には同社が製造したミドリムシ由来の燃料で、ジェット旅客機が運航し、トラックやバスなどディーゼル車が走行するわけだ。

 ミドリムシ燃料の特長は光合成、すなわち、空気中の二酸化炭素から酸素や有機化合物を作りだすことで環境的に優れていることだ。課題は、将来的に安定して大量に生産できるようにすることだ。また、「原油安」の時代にあって従来の石油燃料と競争できるようにコストダウンも必須だろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作