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 日本独自のGPS(全地球測位システム)の構築を目指す人工衛星「みちびき」2号機が、2017年6月1日、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 「みちびき」は宇宙から地球に電波を送り、受信機は、地上の正確な位置を把握することができる。すでに1号機が2010年に打ち上げられていて、17年内にあと2機を打ち上げ、計4機体制とする。位置情報の本格運用は2018年4月から。

 現在、日本で利用されているGPSは米国が31機体制で運用している。元々は軍事用に開発され、その後、民間に開放された。ただ誤差が10メートル程度もある。

 これに対し、GPSからの位置情報と「みちびき」からの情報を組み合わせると誤差は驚くことに6センチ程度となる。「みちびき」は、4機のうち、いずれか1機が常時、日本のほぼ真上に位置することで、位置情報の精度が増すからだ。政府は2023年度までにさらに3機を打ち上げ、7機体制とし、GPSに頼らず、日本の衛星システムだけによる情報提供が行なえるとしている。

 経済面で言えば、誤差が6センチとなることで様々な用途での活用が広がる。キーワードは「無人化」と「省力化」だ。

 とくに期待がかかるのは、人出不足に悩む農業や土木、物流、それに交通分野だ。

 農業では、トラクターの自動運転、種まき、田植え、農薬散布、コンバインの無人化などが可能だ。流通ではドローンによる自動配達にも有効である。また自動車を「みちびき」のネットワークにつなげば、自動走行はもちろん、それぞれの車の位置情報をビッグデータとして集め、渋滞緩和につなげることもできる。

 「みちびき」が提供する高精度の情報提供は、新たな産業創出にもつながるはずだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 シビックテックは「市民のテクノロジー」という意味。ITを通して市民が主体的に地域の身近な課題を解決しようとする取り組みのことだ。……こう書いてしまうと、漠然としていてピンと来ないだろう。

 たとえば、ゴミの収集などがわかりやすいかもしれない。昨今は分別に関してルールが細かくなり、収集日も地域ごとで異なる。これを役所が従来のように印刷物などで広報しようとすると、非常に見にくいシロモノができあがるだろう。だが、スマホのアプリなどが利用できると、地域名を打ち込んだだけですぐに知りたい情報が判明するわけだ。

 シビックテックの概念は、ネットを通したサービスに慣れてしまうと、役所の一律的な対応は時間もかかるし面倒くさい、不満足なサービスに感じる、というところから海外で発展していったようだ。役所とのやりとりを、もっとカンタン・便利に。そのためには、市民がどんな不満を抱いているか、何が必要か、行政が把握する必要がある。また市民のほうも、身近な問題を行政に訴えかけていくべきだ。ネットを利用すれば、困り事を気軽に伝えやすくなるはずである。

 ただ、種々のサービスがすでに存在していても、知られていないから、利用者が少ないという事例も見受けられる。実際のところ、高齢者にとってITはハードルが高いが、いまではタブレットなども手に入れやすく、簡単な講習などですぐに理解できる場合が多い。別に都会に限った話ではなく、高齢者の多い地域や田舎など、日々の情報が共有化されにくい環境こそ、人と人とがネットワークでつながるメリットが大きいものだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 今回はノストラダムスや超常現象のたぐいが好きだった向きにはそそる話。『新約聖書』における「ヨハネの黙示録(アポカリプシス・イオアノ)」をご存じだろうか。その記述によれば、いわゆる「最後の審判」の前には、神の遣いが7度ラッパを吹き鳴らすとある。ラッパが吹かれるたびに災厄が起こり、ついに7度目に至ったとき、世界に終末が訪れる……。

 最近、どこからか低く轟(とどろ)いているような謎の音が世界中で報告されるようになった。それはよく「金属がこすれあうような」という表現で説明される。SF映画でUFOが近づくときの効果音が近いだろうか。もしかして、これはくだんの「ラッパ」にあたるものではないか。人類の終焉が近づいているのでは? そんな恐怖を込めて、この謎の音は「アポカリプティック・サウンド」と呼ばれることが多い。

 音の正体については諸説乱れ飛んでいる。フジテレビ系のバラエティ番組『世界の何だコレ!?ミステリー』でも採り上げられ、「地球は地球自体からある電波が出ている。その電波を音にするととても奇妙な音色になる」(※番組での英文訳のテロップ)というNASA(米航空宇宙局)の見解を紹介。いずれにせよ、このたぐいの話は、ハッキリしないうちがオカルティックで楽しいのではないか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高