コトバJapan! 結城靖高 の 記事一覧

結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。


 2016年の出版界を席巻したキーワードは、なぜか「開脚」であった。

 『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』(サンマーク出版)が、4月の発売から順調に版を重ね、2016年末の時点で累計100万部に至っている。長いタイトルなので、マスコミでは「開脚本」と通称されることが多い。ご多分にもれず類似本も出たが、本書の勢いにはかなわない。

 その売れ行きは、「開脚の女王」と呼ばれるヨガインストラクター・Eiko氏の開脚メソッドのシンプルさと、たくみな指導力によるところが大きい。一応「著者」という扱いになるのだろうが、おそらく編集部側でした仕事が大半のはずだ。しかし、本の内容はじつに実践的。多くの読者にとって体のかたさを改善するきっかけになるのではないか。Eiko氏みずからが複数のテレビ番組に出演してタレントたちを指導、結果を残したことも人気に拍車をかけた。

 本書自体は「商社のサラリーマンが開脚をめざす小説」(タイトルは「開脚もできないやつが、何かを成せると思うな」)に多くのページ数が割かれている不思議な構成の本で、賛否両論あるようだ。開脚のプログラムじたいも動画サイトで以前から公開されていたもの。とはいえ、本書がネットに興味のない層に開脚の成功体験をもたらしている事実は、功績といっていい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 素人目にも気になるダンスのムーブメントは、彼女が牽引しているといっていいだろう。振付師のMIKIKOこそ、現在のエンタメを語る上で欠かせない存在だ。海外での評価が高いメタルアイドルユニット・BABYMETAL(ベビーメタル)やリオデジャネイロオリンピック閉会式におけるダンスパフォーマンス、そしてドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』から一世を風靡した「恋ダンス」。これらはすべてひとりの振付師の仕事だ。

 MIKIKOの名を高らしめたのは、まずはPerfumeである。じつはPerfumeが人気アーティストになる前から振付を担当していた(それどころか、メンバーのアクターズスクール広島時代からの縁という)。これは象徴的でもある。Perfumeがバーチャルな世界に入り込んだかのようなライブパフォーマンスでブレイクを果たした過程と、MIKIKOの活躍がシンクロしている。最近のショー演出は、映像とダンスが融合した表現がトレンド。まさに現在のMIKIKOの得意なフィールドなのだ。今後、ますます活躍が期待されるところだろう。

 またMIKIKOは、2010年からダンサー兼振付師のTomomi Yoshimuraとともにダンスカンパニー・ELEVENPLAY(イレブンプレイ)を主宰している。星野源の『恋』のミュージックビデオで、キレキレに踊っている女性たちがそのメンバーである。
   

   

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 糖質制限によるダイエットは誤解されやすい。たとえば、制限をするということと、「食べてはいけない」は違うのだが、考え方が極端になる傾向があるのだ。できれば医療と食の専門家のもとで行なうべきものである。

 そこで話題となっているMEC(メック)食だ。沖縄県の「こくらクリニック」院長・渡辺信幸氏が提唱する食事法で、肉(Meat)、卵(Egg)、チーズ(Cheese)の頭文字から来ている。お気づきのことと思うが、これらの食材には世間的に「やせる」イメージはないだろう。だが実際には、一日あたり肉200g・卵3個・チーズ120gを中心とした食事をすることで、減量につながるという。糖質を控えて、かつ一日に必要な栄養素はだいぶフォローできることになるらしい。一口あたり30回とよく噛むことも重要だ。それで足りなければ糖質を食べても「アリ」らしい。食の楽しみを完全に放棄することもない。

 本来、万人に合うダイエット法というものは存在しない。糖質制限でやせたはいいが、体調を大きく崩してしまったという例は多い。大事なことは、医療的な見地である。栄養に着目したMEC食も、体質によっては太ることさえあるだろう。自身の肥満の原因を正しく理解して、正しくやせていきたいものだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高