コトバJapan! 結城靖高 の 記事一覧

結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。


 2016年に公開された映画のランキングが各誌・各メディアで出そろった。『キネマ旬報ベスト・テン』第1位など、アニメ映画『この世界の片隅に』が席巻している。こうの史代(ふみよ)・原作、片渕須直(かたぶち・すなお)・監督による本作は、11月12日の公開とともにSNS上で高い支持を受け、客足を伸ばしていった(約3か月の興行で興収20億円を突破)。ヒロイン・すずを演じたのん(能年玲奈(のうねん・れな))は、芸能界のむずかしい事情から、多くのメディアで宣伝協力を得られなかった。だが、その熱演はたしかに観客の心を打った。のん無しでこの成功はあり得ただろうか。

 良質なものが売れるとは限らない、それが現実であろうが、小規模公開からスタートしたコノセカ(一部のマスコミにおける『この世界の片隅に』の略称)は今回、みごとに社会現象化した。異例のヒットの理由については、先に述べたヒロインのハマりようなど、様々な分析がある。当時の庶民の生活描写や、建築物などのディテールなど、「何度も観て確認したくなる」といった視点からのアプローチも多い。

 登場人物のなめらかな動きにも、アニメーション技術のこだわりがある。もちろん、なにもテクニックを見せびらかしたいわけではない。キャラクターたちが画面の中に生きている「実感」のようなものを表現するためだ。そのための手間を惜しんでいない。いろいろとビジネス的(予算的)には怖い選択をしているだろう。だが結果として、コノセカは興行的にも結果を残したのだからおそれいる。片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』が、打ち切り寸前から口コミで逆転した記憶がスタッフの中にはあったかもしれない。

 もう一つ、送り手以外からみたヒット理由を挙げるとすれば、やはり現状の世界の不穏な雰囲気であろう。戦争を知らない世代も、「知りたくない」世代というわけではない。漠とした世情への不安は、若者を無意識的に劇場に向かわせているのではないか。笑いの要素も多いエンターテインメントながら、日常が戦争に振れるとはどういうことか、声高でなくとも伝わってくるのが『この世界の片隅に』という作品であった。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 ニンニクの名産地として名高い青森県南部の田子町(たっこまち)には、「みろくの滝」なる名所がある。その名前は弥勒菩薩から来ているとか。ある僧侶が、凶作から民を救おうと菩薩に願ったところ、滝が現れて田んぼを満たしたという伝説が残っているそうだ。

 いま、この滝がネット上でひそかな話題となっていることをご存じだろうか。みろくの滝としてではなく、「スヌーピーの滝」としてだ。こちら、岩肌の凹凸がイヌの横顔に見える。さらに、その端の部分に水が白く流れると「耳」のように見えてくる(ちなみに、この流れの白さから「ソーメンの滝」とも呼ばれるそうだ)。まさに、コミックのスヌーピーを思わせる絵面が現れることになる。

 静かなブナの原生林の中に位置しており、癒しスポットとして年々知名度を増している。これから春を迎えると、散策の人出もさらに増えそうだ。
   

   

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 いま全国の小学校で、睡眠に対する積極的な指導が広まっている。もちろん、「早寝早起き」の推奨は昔からあったわけだが、その程度ではまずいと教育現場は認識しているようだ。

 文部科学省が平成26年11月に実施した『睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果』では、次の日に学校がある平日で、小学生の就寝時刻は10時以降が半数を超えている。現代の子どもは睡眠不足に陥りがちなのだ。親世代が遅くまで起きている影響、またスマホに時間をとられる環境などが指摘されている。そこで注目されるのが、「眠育」という言葉だ。

 眠育とは、「睡眠についての知識を伝え、睡眠への意識向上をはかる教育、睡眠教育のこと」である(日本眠育普及協会)。成長ホルモンが分泌される睡眠は、特に幼い時期には重要だ。質の高い睡眠は健康なからだにつながる。勉強による睡眠不足により、昼間の授業で寝ていては、単純に学力が落ちて非効率でもある。

 そうは言っても、習い事など何かと忙しいいまどきのお子さまたち。悪影響を知りつつ、睡眠時間を削らざるをえないこともあろう。ただ少なくとも、それが生活習慣になってしまうと、若くして病気になるリスクが高いという医学的な事実を親は知っておくべきである。
   

   

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