コトバJapan! 旬wordウォッチ の 記事一覧


 新米のママは、寝かしつけや夜泣きに悩まされるもの。最近の若い世代は親戚づきあいなどが少なく、育児の知恵が継承されにくいようで、昔ながらの「おくるみ」もよく知らない世代が増えた。

 赤ちゃんはそれまでずっとママのお腹にいたので、少し動きにくいほうがかえって安心するという。だから、全身を布で包んであげると、眠りに誘いやすい。突然ビクッとなる「モロー反射」を抑えて、夜泣きを止める効果もある。

 こうしたテクニックは日本だけの話ではない。欧米版のおくるみは「スワドリング(swaddling)」と呼ばれている。赤ちゃんの腕が下がった状態で、スワドルと呼ばれる布をしっかりと巻き込み、腕を動かなくするのがコツだ(見た目が可哀想だからとゆるくしては意味がない)。近年ではaden+anais(エイデンアンドアネイ)のスワドルが人気となっている。イギリスのキャサリン妃がロイヤルベビーに用いてからだ。

 ちなみにいま、このスワドリングのオトナ版が健康法として話題を呼んでいるという。その名も「おとなまき」(おくるみの一種、「おひなまき」から来ている)。育児中のママは肩や腰の痛みに悩まされるということで、その解消をはかるものだ。おとなが全身布にくるまれてユラユラする様子は、さながらミイラのようで一瞬ギョッとしてしまう。が、そのユニークさは海外でもちょっとした話題になっているらしい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 カギや電子機器、財布などの貴重品……、よくモノを落っことして困るタイプには、福音となったことであろう。紛失物の追跡ができる無線タグ「MAMORIO(マモリオ)」が話題だ。「なくすを、なくす」がキャッチコピーとなっている。

 MAMORIOは重さ3gで縦35.5mm×横19mm×厚さ3.4mとごく小さいので、財布やキーケースなどの中に入れておくのもわけがない。スマホのアプリと同期して、タグとのあいだに一定の距離ができる(無線の接続が切れる)と、自動的に通知が届く仕組みだ。紛失に至った場合でも、GPS機能を使ってその場所が地図上に示される。

 ただし、位置情報はあくまで「最後になくしたときの場所」。いまタグが実際にある位置ではない。警察に届けられる、持ち去られるなど、忘れ物の位置が変わった場合には当然わからなくなる。こういうとき、「みんなで探す」機能(クラウドトラッキング機能)を活用することもできる。ほかのMAMORIOユーザーが忘れ物に取り付けたMAMORIOとすれ違った場合、現在の位置情報が更新されるのだ。「誰か」と協力する感じがユニークなアイディアだ。

 その機能性には鉄道会社も飛びついた。現在、首都圏の東京メトロや小田急では、忘れ物自動通知サービスの実証実験が行なわれている。忘れ物センターに届いた荷物にMAMORIOのタグが付いていた場合、その旨を知らせてくれるのだ。鉄道会社において忘れ物の管理は甚大なコストになり、今回の試みで一定数を減らせるのでは、と期待されている。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 エッセイストの酒井順子氏といえば、かつて30代以上、未婚、子どもがいない女性たちを「負け犬」と称して話題を呼んだ。過剰な表現にも聞こえる「負け犬」だが、現代を生きる独身女性たちへのまなざしは優しい。だから、反発の声はありつつも、一定の評価を受けて流行語にもなったのだろう。いま女性が置かれている社会状況を、鋭い感性で浮き彫りにする酒井氏の、新たな造語が「男尊女子」である。

 男尊女卑の意識は、じつは女性の中にこそ見え隠れしているのではないか。著書『男尊女子』(集英社)では、次のような例が挙げられている。自分よりデキない男性社員にまで、キャリア女性がお茶を淹れようとする。共稼ぎで専業主婦でもないのに、自分よりも稼ぎのない夫を「主人」と呼ぶ。……考えてみれば、奇妙な美意識なのである。

 ことが酒井氏と同年代かそれ以上の女性だけに当てはまるならば世代論になるのだが、どうやら下の年代でも見てとれる傾向のようだ。たとえば、若い世代がよく用いる「女子力」の「女子」。どうも「男を立ててくれる女子」というニュアンスがないだろうか。もともとの女子力とは、それを持たない女性が自虐的に使った表現とされる。なのにいつしか、男性にとって都合のいい指標となった。女子力を信奉する向きは、無自覚のうちに「男尊」の域に陥っているかもしれない。

 家事・子育て、さらには社内でのこまごまとしたお世話まで抱え込むキャリアウーマンは、人生が「業務過多」になっていないか振り返ってみてもいい。そして男性陣は、男尊女子に甘えすぎていないか、ご注意。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高