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 1979年の発売以来、子どもたちだけでなく幅広い年代に愛されているお菓子「うまい棒」(販売元:リスカ、製造元:やおきん)。コンビニ流通のおかげで、いまや気軽に手に取りやすいスナックの代名詞的存在である。

 「うまい棒」といえば、パッケージのナゾのキャラクターが印象的だ。宇宙人という設定はあるが、その正体は不明。ファンのあいだでは「うまえもん」と呼ばれていたものの、これは正式名称ではなかった。明らかに「あの国民的キャラ」をイメージした呼び名で、そのビジュアルとともに、いろいろ大人の事情がささやかれていたのだ。ところが、2014年10月に開催されたイベント『第1回うまい棒祭り』にて、うまえもんというネーミングをメーカー側が使用、ついに公式認定されたと考えられる。

 このうまえもん、新たな展開を迎えている。2017年2月、妹の「うまみちゃん」が登場したのだ(うまみちゃんのオリジナルパッケージうまい棒の販売開始は3月25日から)。だが、兄とはまったく似ていない。「地球年齢17歳でウマイアミ州から帰ってきた帰国子女」という設定で、美少女キャラなのである。これにネットがザワついた。もともと2000年代ごろから、各ジャンルの著名人がうまい棒愛を語る場面が増えており、一つのカルチャーと化している。最近の一連の動きは、メーカー側がこれに乗っかる結論に至ったのだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 格安スマホ、UQモバイルの「三姉妹CM」がウケている。これまで映画・ドラマでコメディエンヌとしての才能を見せてきた旬の女優、深田恭子・多部未華子(たべ・みかこ)・永野芽郁(ながの・めい)が出演。一つのポージングのまま動かない演出が視聴者の目をひく。着飾った役柄はさほど多くなかった三人だけに、おしゃれ感がいっそう際立っている。幅広い世代に耳慣れたピンク・レディーの『UFO』のメロディーにのせて、「UQ!」とキメる内容はキャッチーだ。

 このCMを手掛けているのは、業界ではヒットメーカーとして名高い篠原誠氏。じつはauの「三太郎」シリーズも担当している(桐谷健太の『海の声』の作詞も行なった)。雑誌『日経エンタテインメント!』2017年3月号によれば、「(家電量販店における地味な通信コーナーで)化粧品の広告を作るつもりで」三人をキャスティングしたという。さすが、「目立たせること」のプロフェッショナルといえよう。また、「三太郎」も「三姉妹」も、ストーリー仕立てで、新作が流れると見たくなる。そのうちにキャラクターそれぞれに安心感・安定感のようなものを感じるようになる。こうなれば広告としてはしめたものだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 円顔で鼻が低く、おでこと頬がふっくらとした愛嬌のある顔。いつ見てもほっこりする面立ちは、福を呼ぶ福相の典型といわれている。この独特の愛嬌のある顔はよほど日本人好みなのだろうか。関西では「お福」という呼び名で、店の入り口などに人形を飾る習慣がある。阿亀と似た面立ちは、狂言面の「乙御前(おとごぜ)」や、近世芸能の「ひょっとこ」と対の人気者「お多福」としても登場する。ところ変われば、ほかにもいろいろな名前があるそうで、あまりにあちこちで見かけるものだから、それぞれどんな由来があるのか、気になっていた人も多いはずだ。

 「阿亀」の発祥は、「千本釈迦堂」の通称で知られる大報恩寺(上京区)。「阿亀」とは、この寺の本堂を建てた大工、長井飛騨守高次(ながいひだのかみたかつぐ)の妻のことで、千本釈迦堂には逸話が残っている。あるとき高次は、大報恩寺の本堂建立という大仕事を任されるが、大切な柱を短く切ってしまう。そんな夫の窮状を見かねた阿亀は、柱を継ぐ枡組(ますぐみ)という技法を提案する。これが成功し、夫は窮地から救われるのだが、この美談はそのままでは終わらない。阿亀は安堵の一方で、棟梁ともあろうものが妻の助言で大仕事を成し遂げた、といわれては夫の恥だと憚り、上棟式を前に自害してしまうのだ。そして、上棟式の日。夫は亡き阿亀を偲んで「阿亀」のお面を扇御幣(おうぎごへい)に飾り、祈願感謝をしたという。この話が徐々に広がり、家を建てる棟上げのときに、阿亀の面とともに鏡や櫛など七品を飾って祈願するようになったそうだ。この風習は今も、建前の餅まきなどのお祝いとともに受け継がれている。

 千本釈迦堂の境内には、「おかめ塚」と大きくかわいらしい「おかめ像」がある。2月の節分会には、あでやかな西陣織の着物と赤い番傘で飾り立てたおかめ像が見られる。お参りすると、縁結びや夫婦円満、子授けの御利益が得られるといわれている。


千本釈迦堂の阿亀の像。


   

京都の暮らしことば / 池仁太