コトバJapan! 文化 の 記事一覧


 いわゆる「世界名作劇場」(フジテレビ系)シリーズの一つとして、1977年に放送されたアニメ『あらいぐまラスカル』。スターリング少年は、森で出逢ったアライグマを懸命に育てるが、やがてその野生は手に負えなくなり別れのときが近づく……という筋書きだ。その「泣ける」最終回はいまなお語り草である。

 愛すべきキャラクターのラスカルは、実際のアライグマよりもレッサーパンダに似たカラーリングでデザインされた。かわいさを狙ったという説があるが、これが良かったらしい。各社より販売されている関連グッズは、長年にわたって確固とした売れ行きを示している。「ラスカリスト」と呼ばれる、コアなファンも多い。

 LINEのスタンプで二頭身にデフォルメされた「プチラスカル」が登場してからは、若い世代のラスカリストも増え続けている。この人気に拍車を掛けたのが、スマホのゲーム『モンスターストライク』(モンスト)や、アニメ『進撃の巨人』など、様々なコンテンツとのコラボである。ときにコスプレもこなすプチラスカルは、多様なジャンルとじつによく合う。大御所・ハローキティにも近い、キャラとしての柔軟性があるのだ。

 手に入れにくいレアなグッズの情報交換など、SNSではラスカリストどうしの交流が盛んだ。今年ラスカル関連の動きが多いのは、放送から40周年の節目に当たるところが大きいだろうが、もとよりキャラの世界では安定した人気。来年以降も支持は続いていくだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 祇園祭の巡行に参加した古い記録があるものの、火事で焼失するなどの理由で途絶えてしまった鉾や山のことを、「休み山」や「休み山鉾」と呼んでいる。昔は「焼山(やけやま)」といっていたそうだが、昭和期に入ってから、郷土史家の松田元が復活への期待を込めて「休み山」と呼び、それが定着したという。

 現在、そんな松田氏や保存会の人が抱いてきた願いを、実現しようとする活動が活発になりつつある。まず、幕末の禁門の変で鉾本体を焼失し、1864(元治元)年以来は巡行への参加が途絶えていた「大船鉾」が、150年ぶりの復活を果たした。祇園祭には「船鉾」という、復活した「大船鉾」とよく似た鉾があり、これらはもともと対に意味を持つ関係だった。「船鉾」は「出陣船」として祇園祭前祭(さきまつり)に巡行し、復活した「大船鉾」のほうは、「凱旋船」として祇園祭後祭(あとまつり)に巡行するのが本来のあり方だったのだ。贅沢なことに、2014(平成26)年からは、蘇った大船鉾とともに後祭も復活し、前祭と後祭の巡行が二度行なわれるようになった。

 残る休み山は「布袋山(ほていやま)」と「鷹山」の二基である。布袋山は室町期の明応年間に巡行の記録が残る山で、現在は祇園祭の期間中、ご神体の布袋像と童子像を祀る「居祭(いまつり)」を続けている。一方、室町期の応仁の乱以前に巡行していた古い記録のある「鷹山」は、1826(文政9)年に大雨で懸装品(山や鉾を飾る幕)が損傷し、続けて禁門の変で残りの大半を焼失させてしまった。こちらも焼け残ったご神体と懸想品で「居祭」を続けてきたが、2015(平成27)年にお囃子が190年ぶりに復活し、2020年代の完全な再興に挑戦中だ。2017年には大火で一部焼損したお囃子の鉦をもとにし、新たな鉦の鋳造が進められている。祇園祭に京都を訪れた際には再興を応援するためにも、ぜひ居祭の会所も訪ねていただきたい。


復活を果たした大船鉾の山鉾建ての様子。ほとんどの柱や貫が真新しい。荒縄の綱絡みという伝統技法によって、釘を使用せずに固定している。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 昨年のTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、星野源の主題歌にのってキャストが踊る、エンディングの「恋ダンス」がおおいに話題を呼んだ。もちろん、こうした演出は目新しいものではない(記憶に新しいところでは、2011年の作品、フジテレビ系『マルモのおきて』における、芦田愛菜と鈴木福の「マルモリダンス」など)。

 とはいえ「恋ダンス」は、エンタメがなかなかヒットしないいま、一つの希望にはなった。日本テレビ系『スーパーサラリーマン左江内氏(さえないし)』の「左江内氏ダンス」、同じく『ボク、運命の人です。』の「ボク運ダンス」など、追随する動きが見られる。ただ「恋ダンス」ほどの反響を集めることは、実際にはなかなか難しかったようだ。

 このトレンドは映画界にも波及。今春のヒット作『帝一の國』では、クリープハイプの楽曲『イト』をバックにヒロイン役の永野芽郁(ながの・めい)が踊る、「美美子(みみこ)ダンス」が登場した。これがネット上で反響を呼び、公式動画の閲覧数が急激にのびた。

 いろんな分析ができるだろうが、エンディングのダンス演出が成功するには、キャストのキャラクター性が重要といえるのではないだろうか。これまでのところ、ゆるふわなヒロインが、劇中の雰囲気そのままに踊るムリのなさ、ある意味で「(ダンスとしては)キレのない愛らしさ」こそが話題性に直結していそうだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高