ここ数年、複数の人が1台の車を共同利用するカーシェアリングが急速に広まっている。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、2002年に50人から始まった会員数は、2011年に7万3224人に増加。今年1月には、その4倍の28万9497人となっている。貸し出すための車両台数も、2002年の21台から2013年には8831台まで増えた。

 車を所有せずに利用するにはレンタカーもあるが、カーシェアリングは15~30分単位など短い時間でも利用できるのが特徴。会員登録すると、パソコンや携帯電話などで空き状況を確認して、使った時間の分だけお金を支払うという仕組みになっている。

 利用料は、車種にもよるが15分あたり200~400円程度。この他に、初期費用や月額利用料が1000円程度かかるが、利用料にガソリン代、駐車場代、保険料など車の所有にかかる諸費用がすべて含まれているので、車に乗るのは週に1~2回、数時間程度という人なら車両費を抑えられそうだ。

 車を所有すると、歩ける距離でも、大きな荷物がなくても、何気なく車を使ってしまうが、カーシェアリングに切り替えると、必要に応じて車を使うようになる。そのため、車両費の節約だけではなく、省エネ面でもメリットがある。

 前出の交通エコロジー・モビリティ財団の「カーシェアリングによる環境負荷低減効果の検証報告書」によると、1世帯あたりの年間ガソリン消費量は、加入前は326.6リットルだったのが、加入後は180リットルで146.6リットルの減少。二酸化炭素排出量も0.34トン削減されており、カーシェアリングは環境負荷を抑えることにも貢献している。

 車がないと通勤や買い物など日常生活に支障をきたす地域もあるが、公共交通機関が発達しているところなら、車がなくても生活することは可能だ。必要なものを「シェア」して使えば、ゴミの削減や資源の有効活用にもなる。自分の暮らしを振り返り、車の利用方法を見直してみてはいかがだろうか。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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