希望の光に向かって駆けてゆくヒロインたち……。9月28日に最終回を迎えた、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』。小ネタが多すぎるとの意見もあったが、宮藤官九郎(クドカン)の脚本は登場人物すべてを展開に「活かし」、愛すべきリアルなキャラクターとして「生かした」、骨太な内容であった。その世界観にどっぷりつかった視聴者たちは、たいせつな15分間が去ったことで喪失感に襲われたという。「あまちゃんロス症候群」、いわゆる「あまロス」と呼ばれる現象だ。

 関連して語られることが多いのは、あまロスの「克服法」。たとえば、東北への観光、東京でのロケ地巡りなどは能動的で楽しいことだろう。インドア派には、クドカンの他の作品、特にテレビドラマ(映画の場合、劇団出身の彼は良くも悪くもとんがってしまうことが多い)に手を出してみるのがオススメだ。太巻役の古田新太(あらた)、鈴鹿ひろ美役の薬師丸ひろ子も怪演する2002年のドラマ『木更津キャッツアイ』は、「死」を扱いながら決してありきたりなお涙頂戴に終わらない展開。『あまちゃん』で「震災」を取り上げつつも、決してメランコリックにならず、ゆえに一段深い感動を呼び起こしたこととリンクするのだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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