以前にも紹介したが、アニメやマンガの舞台を訪れる「聖地巡礼」は、いまや地域の収入源に貢献しつつある。ならば、多くの作品で取り上げられる神奈川県は、首都圏の中でも有利な立ち位置にあるといえるだろう。これをプロモーションに活かさない手はないと、県の観光課がみずからガイドブックを作成した。その名も『かなもえ』。2014年2月27日から配布されたが、評判は上々のようだ。

 表紙に描かれた女性キャラクター、「カナ」と「萌」が案内する体裁。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の箱根、『スラムダンク』の湘南、『コクリコ坂から』の横浜、山手・元町などの「聖地」を紹介している。子どもに人気の「藤子・F・不二雄ミュージアム」(川崎市)などもフォローして、取り上げられたのは計11か所にのぼる。

 自治体の観光資源としてのアニメへの期待は、イベント出展という動きにもあらわれている。3月に行なわれた「AnimeJapan 2014」では、富山県南砺(なんと)市が市内を舞台にしたアニメ『恋旅~True Tours Nanto』を紹介。コンテンツの前編は全国どこでもスマホで見ることができるが、後編は市を訪れないと見られない趣向だ。このような流れは、どんどん加速していくことだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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