4月11日、国家公務員制度改革関連法が成立した。「内閣人事局の設置」がその柱である。

 内閣人事局は中央省庁の次官、局長、審議官、部長など約600人もの人事を一元的に管理する組織で、5月末に発足する。約180人規模の陣容という。初代局長には杉田和博官房副長官(警察庁出身)が就任する予定だ。

 その主な仕事は、各省庁の人事評価を元に、幹部としての適格性を審査することだ。最終的な任免は、首相と官房長官が、各閣僚と相談しながら決定するが、その作業を事務方としてサポートするわけだ。

 省庁の幹部人事は、これまで原則として、各省庁の官房がそれぞれ独自にまとめた案を官邸が了承する形がとられてきた。内閣人事局の設置により、これを「官邸主導で省庁横断的な人事」に転換するのが狙いだ。

 ただ逆に、情実人事がはびこったり、幹部官僚による猟官運動が激しくなったりする可能性もある。

 教訓とすべきは戦前の「政党政治時代」の官僚人事だ。当時の民政党、政友会が政権交代が行なわれるごとに幹部官僚の首のすげ替えを行なった。当然、官僚の政治的中立性が失われたのは言うまでもない。

 内閣人事局の初仕事は、通常国会閉幕後の幹部人事。どんな人事が行なわれるのか、目を凝らしたい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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