「昨今のNHKの官能に対する過剰な傾倒」は、「真面目一辺倒なNHK職員の官能に向けるリビドーの激しさ」が大きな要因のひとつとなっている、とは前回の原稿ですでに指摘済みだが、今回は、そのNHK的な官能の視点について、もう少し詳しく分析してみたい。

 民放のスタッフの多くが、たとえばフェロモンを過剰に噴出している女性を目の当たりにしたとき、「このネエチャン、むっちゃエロいなあ〜」「なんとかしてモノにできねえかなあ~」と、どちらかと言えば俯瞰的な目線をもって接するのに対し、NHK職員のソレは仰視的な傾向が強い(と思われる)。

 おしん時代の疲れ切った(演技をしている)田中裕子の着物の首筋から覗き見えるうなじだとか、鈴木京香の胸元の肌質のすべすべ感だとか、あまちゃんの美保純の衰えない唇のぼてっとしたジューシー感だとか……そんな感じのフェティッシュなエロティシズムに(計算ずくなのか無意識なのかは不明だが)さり気なくスポットを当て、結果として通好みな官能が作中にフレイバーされているケースがじつに多い。

 ただ近年は、わかりやすく壇蜜をフィーチャーしたりと、従来の民放っぽい俯瞰的なエロさに飛びつく企画もにわかに目立ちはじめている。もしかすると、イマドキのNHK職員は、案外“遊び人”比率が高くなってきている……のかもしれない?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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