自民党内に2014年6月、「携帯電話問題懇話会」(会長・中山泰秀衆院議員)なる議員連盟が発足した。新聞報道などによると、その狙いは、「携帯電話の保有者に自動車税のように課税し、税収は携帯電話を使った犯罪の防止、啓発活動に利用できるように仕組みを検討する」という。課税額は「スマホのアプリを購入する程度」を想定。

 携帯の普及台数は1億4000万台(2014年3月末現在、業界団体まとめ)だから、仮に1台で年500円とすれば、総額で700億円の税収となる。議連は秋ごろに提言をまとめるという。

 これに対し、携帯利用者から「安全対策、犯罪防止に名を借りた増税策だ」との批判が吹き出している。

 そもそも、「電波利用料」が携帯電話会社にすでに課されており、その総額は400億円以上である。利用料は当然、料金に加算されており、携帯保有者は、携帯会社を通じて電波利用料を徴収されている形だ。事実上の税金である。これに新たな「携帯課税」が加われば、二重課税になる。

 法人税率の引き下げに伴う、税収減の穴埋め策として、携帯が狙われた形だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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