携帯電話の端末には利用者の情報が記録された「SIMカード」と呼ばれるICカードが挿入されている。携帯各社はこれに電子的な制限(ロック)をかけて他社のカードでは作動しないようにしている。端末を買い替えなければ、他社に乗り換えられないように「囲い込み」をしているわけだ。

 利用者としては甚だ不便をかこつわけだが、総務省はこのSIMロックの解除を携帯会社に義務付けるという。早ければ2015年度にも行なわれる見通しだ。A社からB社に契約先を替える場合、新たに携帯端末を買わずにすむ。これまで以上に携帯会社を自由に選べることになる。

 携帯業界はNTT、KDDI、ソフトバンクの大手3社の寡占状態が続いている。料金やサービスも3社で横並びだ。このため、総務省は2010年に、SIMロックを自主的に解除するよう携帯業界に求めた。しかし、法的な強制ではなく、守られていないという経緯があった。義務化は、より強い行政措置となる。

 SIMロック解除を実施することで、割安の新規参入が増えれば、値下げ競争で料金が下がる。サービスも向上するだろう。

 利用者にとってはうれしい話だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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