2014年8月、イギリスの新聞『デイリー・メール』は、日本で「虫歯ポーズ」が流行していると報じた。海外でネタになるほど重要かは疑問だが、昨今、日本のファッション・サブカルチャーは、少なくとも世界の同世代の若者にとっては「クール」なものらしい。それなりに注目すべきバリューはあるのだろう。実際、虫歯ポーズは国内のSNS上だけでなく、海外でも散見されるようになっている。

 その「虫歯ポーズ」だが、あたかも「虫歯が痛いとき」のように、頬に手を添えるというポージングのこと。ファッション誌の表紙で、モデルたちがとることが多い。世代が違えば、はて、いつそのようなトレンドがあったのか?という印象かもしれないが、書店・コンビニなどで意識してみると納得がいくだろう。表紙の場合は、女性のネイルが映えるショットになるので、フェミニンな印象が増す側面もある。また、(実際の心理的・視覚的な効果のほどはわからないが)「小顔に見えるポーズ」という意見もあるようだ。

 もともとは、あるツイッターのユーザーが、店先に並んだ各誌表紙のポーズが似通っている画像を投稿、「みんな虫歯なの?」とコメントしたことが由来とされる。実際のところ昔からある「頬杖」に過ぎないが、名称のユニークさが流行に輪を掛けたような印象だ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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