1992年にスタートしたブノワ賞は、第一線で活躍する世界のバレエ関係者から選ばれる「バレエ界のアカデミー賞」。モスクワの国際ダンス連盟が主催する権威ある賞だ。その名称は「バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)」で『ペトルーシュカ』などの名作の舞台美術を手がけた、画家のアレクサンドル・ベノワ(ブノワ)にちなんでいる。最近引退宣言で話題になったシルヴィ・ギエムなど、そうそうたる顔ぶれが受賞してきた。

 2014年はスウェーデン王立バレエ団所属の木田真理子(きだ・まりこ)氏が選ばれた。前年に初演された『ジュリエットとロメオ』のジュリエット役が高く評価されたもの。ダンスが文化として根付いている欧米に比べると、日本人の一般的なバレエに関する感覚は「お稽古ごと」の域を出ない。国内における職としての待遇も、決してよいとはいえないだろう。そんな状況下でも、確実に世界的なダンサーは育っていることを知らしめた。今回の受賞は、日本の今後のバレエ界を語る上でその価値を語り尽くせないほどのものだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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