地球温暖化対策を話し合う「国連気候サミット」が9月、国連本部(ニューヨーク)で開かれた。サミットは国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長の呼びかけで開催されたもので、世界120か国以上の首脳らが参加した。日本からも安倍晋三首相が出席した。

 サミットの狙いは地球温暖化対策の新たな枠組み作りに向けた機運を高めることにある。

 現在、先進国に温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書(1997年採択)があるが、2020年に期限切れを迎える。そのため、世界各国は2015年末のパリでの国連気候変動枠組み条約第21回締結国会議(COP21)で、発展途上国を含めた20年以降の枠組み合意を目指している。

 新しい枠組みが成功するかどうかは、世界1、2位のCO2排出国である中国、米国がどう取り組むかにかかっている。何しろこの両国で全世界の排出量の40%以上を占めているからだ。これまで両国は排出量の削減に積極的でなかった。京都議定書では、米国が「経済に悪影響する」との懸念から批准せず、中国は削減義務を負っていない。

 地球温暖化は世界に深刻な影響をもたらす。海面上昇や水不足、豪雨水害、食糧危機などだ。平均標高が2メートルの太平洋の島国・マーシャル諸島共和国はこのまま海面上昇が進むと水没する懸念がある。

 米中両国は温暖化対策に腰を据えて取り組むべきだ。米国のオバマ大統領は、サミットに合わせて中国の張高麗副首相と会談し、その中で「われわれは世界の2大経済・排出国として、特別な取り組みを主導する責任がある」と呼びかけた。有言実行を期待したい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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