お寺・神社の参拝者がいただく「御朱印」。朱印だけでなく、僧侶や神職による寺社名や日付の墨書を含めて呼ぶのが一般的だ。参拝した記念、あるいはお守り的な存在として扱われているが、もともとは写経を納めたことの証明だったようだ。以前なら、若い世代が興味を持つ対象ではなかった。ところがいま、寺社を巡って御朱印集めを楽しむ「御朱印ガール」たちが目立つようになっている。

 上の世代には和綴じの帳面に御朱印を集めるイメージというものがあるが、昨今の御朱印帳のデザインはずいぶんとポップだ。明らかに御朱印人気の若返りが反映されている。寺社側もブームを認識しており、印影をカラフルにするなど、一部では歓迎する向きもあるようだ。パワースポットがもてはやされている昨今、寺社という存在は、必ずしも若者に無縁のものではない。せっかく訪れたからには思い出になるものを……ということで、なんといっても「かさばらない」御朱印はうまくはまったようである。一種「スタンプラリー」のような感覚に対しては、神聖な場所ですべきことなのか?という批判的な意見も多い。だが、よく解釈するならば、和のデザインの美しさを好む日本人の感性は、老若男女を問わないとみることもできよう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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