自宅で持て余している食材を持ち寄って、美味しい料理に変身させる「サルベージ・パーティー」が話題だ。

 サルベージ(salvage)とは、もともと「沈没船の引き上げ」「遭難した船の貨物救助」などの意味だが、ここでは、冷蔵庫や食品庫に埋もれている食材を「救い出す」という意味で使われている。

 ブームの火付け役は、食品ロスの問題に取り組む団体。農林水産省の推計(平成23年度)によると、日本で1年間に供給された食糧8460万トンの2割にあたる1760万トンが廃棄物として捨てられている。そのうちの500万~800万トンが、食べられるのに捨てられている食品ロスだ。

 サルベージ・パーティーは、こうした食品ロスを減らし、ゴミの削減や環境への負荷を抑える活動の一環として考え出されたものだ。

 消費期限ギリギリの生鮮品、一度しか使っていない外国の調味料、使いかけの乾物類、お土産や頂き物。どこの家庭にもある日の目を見ずに捨てられてしまいそうな食材を持ち寄って、プロの料理人や料理の得意な人に調理してもらったり、みんなで知恵を出し合って美味しい料理に変身させる。

 こうしたパーティーを開くことで、参加者は食材の意外な使い方や新しいメニューを覚えられるうえに、食品ロスを減らして、なぜ食材が余ってしまうのかを考えたりするきっかけにもなる。

 今日で、東日本大震災から4年。

 震災直後、非常食として揃えた缶詰やレトルト食品などの中には、そろそろ賞味期限を迎えるものもあるかもしれない。食べずに捨ててしまえば、これもまた食品ロスになる。

 これを機会に非常持ち出し袋を再点検し、賞味期限を迎えそうな食品を持ち寄ってサルベージ・パーティーを開いてみるのも悪くない。そして、食品ロスの問題や災害の備えについて話し合ってみてはいかがだろうか。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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