もはや死語となってしまった感があるが、ひとりの女性が男性二人といることを「ドリカム状態」といった。「ドリカム」はもちろんDREAMS COME TRUEのことで、男性メンバー脱退まではこの男女比だったのだ。男性のほうが多いと、恋愛のにおいがする男女のペアよりも、「仲良し感」が際立って見える。

　最近注目されている「AAA（トリエー）状態」とは、基本的にドリカム状態から発展した概念といえるだろう。AAA（トリプル・エー）は紅白歌合戦に2010年から連続出場している人気グループで、若者のあいだでは「トリエー」とも略される。男性5人、女性2人という構成が特徴的だ。必然的に、そのアーティスト写真は、仲のいいガールズが多くのイケメンに囲まれている絵面となる。ここから、あるグループの男女比で、圧倒的に女子が少ない状態をAAA（トリエー）と呼ぶようになった。

　女の子が一人なのではなく、あくまでグループの中に複数いるのが重要だ。女性側にとっては一種安心感があるし、男性側にとっては気持ちが恋愛に傾くことへの抑止力が働く。だからこそ「遊びの仲間」でいられるのである。もちろん、その中から恋に落ちる二人が生まれ、いつかグループが内部崩壊する可能性がないわけではない。こうしたせつなさをはらみつつも、AAA状態の若者たちは「リア充」の青春を謳歌しているのである。