ベッキーはタレント、女優、歌手。31歳。神奈川県出身。母親が日本人で父親がイギリス人。20歳になって日本国籍に。テレビ東京の児童向け番組のマスコットガール出身。バラエティー番組を中心に活動し、いまやレギュラー番組10本、CM10本といわれる超売れっ子である。2005年から2007年にかけてネイルクイーン(タレント部門)を3年連続受賞し浜崎あゆみ以来の殿堂入りを果たしている。

 これまでは「スキャンダル処女」と言われていたが、そのベッキーに新年早々初スキャンダルが勃発したのだ。

 1月7日の朝のワイドショーは挙ってベッキーとロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音(かわたに・えのん、27)の不倫騒動を取り上げていた。この火元は『週刊文春』(1/14号、以下『文春』)である。

 予感がした。「さては!」と裏表紙の編集人のところを見るとやっぱりあの人が戻ってきていた。春画を掲載したかどで「休養3か月」を文藝春秋社長から申し渡されていた新谷学氏の編集長復帰第1号である。

 満を持しての「初荷スキャンダル」、お見事と言っておく。ベッキーは好感度ナンバー1タレントにも選ばれたことのある売れっ子である。

 30超えても「スキャンダル処女」だった彼女が、いきなり初登場で年下男、しかも川谷には昨年夏に入籍したばかりの糟糠の妻がいるとあっては、彼女の謝罪会見に150人もの記者たちが詰めかけたのも無理はないだろう。

 『ゲスの極み』の川谷は昨春出した「私以外私じゃないの」という歌がコカ・コーラのCMソングに起用されたこともあってヒットし、昨年末の紅白歌合戦にも出場を果たした新星。ベッキーは元々このバンドのファンで、昨年10月にファンクラブ限定のイベントで知り合い、急速に親しくなっていったという。

 『文春』によると、クリスマスイブには幕張のディズニーシーでデートし、ホテルで翌朝まで過ごしたそうだ。

 大晦日紅白が終わると、元日は川谷の故郷である長崎へ二人して「婚前旅行」し、川谷の父親の運転で長崎観光をした。夜は川谷の実家へ2人で行っていたというから親も公認ということなのだろう。

 だが、まだ離婚は成立していないのだから、この行動は軽率だと言われても仕方あるまい。実家のマンションから出てきた2人に『文春』が直撃しているが、当然ながら2人の答えは要領を得ない。川谷は妻の名前を出され、その名前を知らないのかと問われて、「名前は知っています。友達です」と答えている。いくら慌てたとはいえ男の風上にも置けないヤツと言わざるを得まい。

 不思議なのはホテル内でベッキーが自撮りした写真(川谷が後ろに映っている)や、2人のLINEでの愛のやりとり、携帯の画面まで誌面に掲載されていることだ。

 離婚届を「卒論」と称して、妻との離婚を促すようなベッキーの発言もある。

 『文春』ではこれらを漏らしたのは川谷の知人だとしている。川谷の奥さんにも『文春』は取材をかけ、彼女はベッキーとの婚前旅行のことを知らなかったかのように書かれている。だが、記事全体を読むと、川谷の携帯を見ることができる人物からのリークだと思われるから、該当者はごくごく限られるはずだ。

 だが、その人間を責められまい。離婚が成立していないのに、妻を無視して親に紹介するなど、川谷という男の神経が疑われても仕方ない。バンド名通り「ゲス」である。

 歌の才には恵まれてはいるかもしれないが「世間知」が欠けている。可哀想な言い方にはなるが、このような人間が作る曲が人の心を揺さぶるとは、私にはとても思えない。ベッキーはテレビで見る限り常識を備えた女性だと思っていたが、男を見る目はなかったようだ

 そのうえ、ベッキーの謝罪会見がひどかった。所属プロダクションの「サンミュージック」は、ベッキーが一方的に喋るだけで質問は一切するなという条件を出したそうだ。150人ぐらいいたというのに、唯々諾々と従って誰も質問をしない芸能記者には情けなくて涙が出た。他人の亭主を寝盗ったことをどう思っているのか? 奥さんに対してどう詫びるのか? なぜこの程度のことが聞けないのだろう。
 だからいつまでたってもバーニング系やジャニーズ事務所に牛耳られ、日本の「芸能マスゴミ」はジャ-ナリズムにはなれないのだ。

 その会見の後「ベッキーとゲス川谷 すでに決別…発覚直前『二度と会わない』」という報道がスポニチなどで流れた。

 これはベッキー側が番組やCMが減ることを恐れたためだろうが、これでは恥の上塗りではないか。男のほうがまだ子どもで後先考えずに、カミさんと別れてベッキーと結婚したいと突っ走っても、30超えた女が一緒に親のところへ行くなど、軽率ではなく人間として未熟なのである。

 彼女は一度すべての番組&CMから降板し、謹慎して出直したほうがいい。そうしないといつまでも「軽率女」の誹りは消えないと思う。可哀想だが。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 元旦にセブン-イレブン限定で『週刊文春』、『週刊現代』、『週刊ポスト』が発売されたのを、どれだけの人が知っているだろう。去年は『文春』一誌だけだったが、書店からの反発が強かったようだ。みんなで渡れば怖くないと、今年は『現代』と『ポスト』を道連れにしたが、新聞広告を見る限り『現代』と『ポスト』は気合いの入っていないことがよくわかる。
 『現代』はカラーで山口百恵、松田優作、夏目雅子、坂本九らを並べて「日本人にうまれてよかった!」という特集。思わず山口百恵って亡くなったのか? と見直した。渥美清やちあきなおみの思い出話。ちょっと気を引かれたのは元巨人軍の江川卓の「高校2年の秋を語る」だが、500円出して買う気にはならない。
 『ポスト』も「女子アナ60年史」「ゴルフ史に残る死闘十番勝負」「国立競技場 伝説の名勝負」とこちらも思い出ものでページを埋めている。こちらも500円。
 『文春』は1年先輩だけに「週刊文春の女性誌版」と位置づけ、美女図鑑を美男図鑑、平成女性皇族、決定版おんなの医学、ベストレストラン60など多少の工夫の跡は見える。値段も430円。
 この出版はセブン-イレブン側から申し入れがあったと聞いている。いまや販売ルートとして書店より比重を増してきているコンビニ最大手からの「要請」では、部数減に悩む週刊誌は断れまい。タイトルを見る限り失礼だが「やっつけ仕事」感は否めない。書店からの非難を押し切ってまでやる価値があったのか、疑問である。

第1位 「2016参院選『全選挙区』完全予測」(『週刊文春』1/14号)
第2位 「歳費2100万円は懐で『イクメン代議士』これでいいのか?」(『週刊新潮』1/14号)
第3位 「32歳上 神田正輝と『深夜ホテル密会』三船美佳の打算」(『週刊文春』1/14号)

 第3位。スポニチがスクープした神田正輝(65)と三船美佳(33)の32歳差熱愛スクープ。『文春』、『新潮』も触れているが『文春』の記事で見てみよう。
 三船は夫・高橋ジョージ(57)との離婚裁判中だが、スポニチによれば、離婚の相談をしているうちに、超年上好きの三船が神田を好きになり密会するようになったという。
 問題は2人が土曜の朝8時からの『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)で共演していることだ。いくら2人が関係を打ち消しても、こうした話が出るだけでも番組にとってはマイナスであろう。神田はメインの司会者だから切るわけにはいくまい。三船をどうするのか。1月9日の『旅サラダ』が見物だと思っていたが、2人とも何事もなかったように出ていた。
 放送終了後、神田と三船が揃って会見し、記事は全くの事実無根だと怒ったそうだが、そのまま鵜呑みにはできそうもない。
 だが、諸般の事情からというより、テレビ局に切られないために2人は別れたのであろう。ベッキーとの「禁断愛」とは違って大人の解決をしたようである。

 第2位。次は「イクメン育児休暇騒動」。昨年の12月21日、自民党の宮崎謙介氏(34)が、党の国会対策委員会に、約1か月の育児休暇取得を申し出たことだった。その半年ほど前、当選同期の金子恵美自民党代議士(37)と結婚し、2人の間に2月の中旬、第一子が産まれる予定なのだという。
 しかし、国会には育児休暇の規定がないため代議士は本会議が開かれるごとに衆院議長に欠席届けを提出するという。むろん、男性の国会議員が、育児を理由に国会を長期欠席した前例はない。
 『新潮』は「国政を担う政治家には、それに伴う覚悟が必要なはずである。その覚悟とは、なによりも優先して公に尽くすことであるのは言うまでもない。果たして、“イクメン代議士”は、政治家の姿勢として相応しいのだろうか」と疑問をなげかける。
 彼の発言は自民党の中だけでなく永田町でも賛否両論入り混じっているようである。自民党の谷垣幹事長は、出産や育児の休暇は、雇用主と雇用されている人との関係で規定されている。国会議員はそういう身分関係とは違うと苦言を呈したという。
 また2人の結婚披露宴に出席した菅官房長官は、挨拶で、育休を取るための議員立法を超党派でつくったらいいと後押ししたという。
 また野党の蓮舫(れんほう)参議院議員は、Twitterで「国会議員の育休は、給与も全額保証で民間より遙かに優遇されている」と批判し、炎上を招いたという。
 『新潮』は何人かの代議士の例を出しているが、ほとんどの議員たちは家庭を顧みる余裕がなく、その家族は父親が不在だった経験を持っているとしている。
 また、国会に奉仕するという職務に専念してもらうため、国会議員には特別待遇が用意されている。歳費とボーナスで年間約2100万円という高額な収入、月額100万円の文書通信交通滞在費、JRの無料パス、都心に建てられた議員宿舎など。当然のことながら、国会議員としての仕事を放棄しながら、その特権だけを享受するというのは、国民感情としては受け入れられるはずもないと批判する。
 京都大学の中西輝政名誉教授もこう難じている。

 「今夏には、衆参ダブル選があるという見方も出てきています。少子化対策にかかわる問題は、国民のなかでも関心は高い。“育休発言”は、単に注目を集めんがためのパフォーマンスにしか見えません。国会議員がなにか目立つことをすると、選挙目的と見られがちではありますが、本当に育休問題に取り組みたいのであれば、政策面からの貢献を考えなければならないはずなのです」

 一般の国民と政治家とは仕事の内容、その重さが違うという意見はわからないでもないが、私は、代議士が育児休暇を取るというのをそれほど非難する気にはなれない。
 様々な考え方の代議士がいて、国民はその考え方、生き方を見てその候補に投票するかどうかを考えればよいのである。
 育児休暇をとるのならばバッチを外すのが筋だという言い方は、私には少し酷だと思うのだが。

 第1位。安倍首相は何としてでも大勝したい参議院選が7月にはあり、そこで参議院の3分の2以上の議席を与党でとり、悲願の憲法改正へと進めたいと目論んでいる。
 そのためには野党の足並みが揃わないうちに衆議院も解散して「ダブル選挙」を狙っているとも言われている。『文春』は「参院選全選挙区完全予測」をやっているが、ここでも「非改選も合わせた選挙後の自公の議席数は百四十七議席。ここに、おお維(おおさか維新の会=筆者注)と改憲勢力の『日本のこころを大切にする党(旧次世代の党)』も加えると百六十四議席で、三分の二を二議席上回ります」(政治広報システム研究所代表久保田正志氏)
 そうなればもはや民主国家ではなく独裁国家である。そんな国を国民の多くが望んでいるのだろうか。
 では大惨敗必至の野党陣営に一矢むくいる策はあるのか。

 「参院選の帰趨を決めるのは三十二ある一人区です。その意味でヒントになるのが、町村信孝前衆院議長の死去に伴う四月の北海道五区補選でしょう」(久保田氏)

 この補選で自民からは町村氏の娘婿、和田義明氏が出馬する。野党陣営は共産党が候補者取り下げを示唆し、社会福祉士の池田真紀氏を野党統一候補として支援する方向だ。

 「ここで池田氏が野党統一候補として勝利するようなことがあれば、参院選に向けて野党陣営は勢いづきます」(同)

 安倍首相は参議院選と一緒に衆議院選もやる「ダブル選挙」を考えているようだが、そうなれば大阪市長を辞めた橋下徹氏が出馬するという声が大きい。
 『文春』で政権中枢の1人がこう断言している。「次の衆院選に橋下氏は出るだろう。本人も『(政界引退は)約束する話ではない』と言っている。橋下氏の出馬は、改憲に及び腰な公明への牽制にもなる」
 また、参院選といえばタレント候補にも注目が集まる。出馬が確実視されているのはベストセラー『五体不満足』の著者、乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)氏だという。
 日本を元気にする会の松田公太代表とは旧知の仲で、元気は政党要件を失う寸前で、松田氏は乙武氏を東京選挙区、自身は全国比例で生き残りを図る考えだという。
 今回から5議席から6議席に増える東京選挙区も、フジテレビ系ワイドショー朝の『とくダネ!』司会者の菊川怜が、自民党から出馬するという下馬評が高い。
 また、昨年の夏、突如として国会前デモで登壇し、安保法案反対を訴えた俳優の石田純一も政治家転身が囁かれているようである。
 同日選挙に打って出た場合、久保田氏によれば衆議院の議席数はどうなるのか。自民党は7議席、公明党は4議席減らし、その分、おおさか維新の会が26議席増の39議席を獲得。自民、公明、おおさか維新で改憲に必要な3分の2を大きく上回るというのである。
 そうさせないためにはどうするのか。もはや憲法改正は絵空事ではない。今夏の参議院選挙は、改憲か否かを問う戦後初めての国政選挙になる。
 日和見では絶対いけない。どちらにするにしてもはっきり自分の意志を固めて、全国民が選挙に行くのだ。
 戦争ができる国になるかどうかだけではなく、この国の主権者が誰であるのかを見せてやるのである。今年は、日本のこれからの百年が決まる年になるのだ。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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