2015年6月、和歌山電鐵の貴志川線貴志駅の三毛猫「たま駅長」がこの世を去った(現在は駅長見習いであった「ニタマ」が「たまⅡ世駅長」を襲名している)。2007年から駅長として活躍し、多くのマスコミで取り上げられた。

 この「たま」と並ぶ知名度を誇ったのが、チンチラとトラのミックスとされる「ばす駅長」。福島県にある会津鉄道会津線・芦ノ牧(あしのまき)温泉駅の名誉駅長であったが、2015年12月24日、アメリカンカール「らぶ」にポストを譲って引退した。人間ならば90歳以上にあたろうかという高齢のためである。ローカル線にもたらした経済効果で双璧をなす二匹のスター猫が、同時期に任を終えたことは、鉄道ファンにとってなかなか感慨深い。

 ばすが名誉駅長となったのは2008年であったが、それ以前から地元で愛されていた人気者らしい。名前はアニメ『となりのトトロ』のネコバスに由来。引退したとはいえ、現在も駅の待合室でその姿を見ることができるそうだが、やはり年齢のため眠っていることが多い。ご注意いただきたいのは、許可なくカメラを向けることは禁止されているということ。フラッシュ撮影によって目を痛めているそうなのだ。人気者はその「老後」も、なかなか落ち着いていられない。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
ジャパンナレッジとは

ジャパンナレッジは約1700冊以上(総額750万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る