米韓両政府は2016年7月8日、在韓米軍に、最新鋭のミサイル防衛システム「終末段階高高度地域防衛」(THAAD=Terminal High Altitude Area Defense)を導入する、と発表した。

 THAADは移動式の陸上配備型で、米ロッキード・マーチン製。飛来した敵のミサイルを追跡する早期警戒レーダーや迎撃ミサイル部隊などで編成する。

 撃ち落とす対象は中・単距離ミサイル。迎撃高度は、最大150㎞に達する。大気圏外、大気圏突入直後の空域で迎撃できるわけだ。また、射程範囲は最大200㎞にもなる。エリアで言えば、一つの編成で、韓国の2分の1~3分の2を防衛できる。配備先は、韓国南部の慶尚北道・星州(ソンジュ)。2017年末までにシステムを運用開始させる予定だ。

 THAADの導入について、米韓両国は「増大する北朝鮮の脅威に対応し、米韓同盟のミサイル防衛体制を強化させるためのもの」と、共同記者会見で言明した。核・ミサイル開発を止めない北朝鮮をけん制し、その弾道ミサイルの迎撃が配備目的だ、ということだ。

 韓国と同様、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対峙する日本政府は、「地域の平和と安定に資する」(萩生田光一官房副長官)と、配備を支持している。

 これに対し、猛反発するのが、中国である。配備決定の報道を受け、「地域の戦略バランスに深刻な影響を与える」などとして、米韓両国に抗議している。その理由は、THAADのレーダーが中国軍の監視に利用されることを警戒しているからだという。

(編集部注:北朝鮮は7月19日、日本海に向けて弾道ミサイル3発を発射した。THAADの在韓米軍への配備に反発したものとみられている)
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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