政府は、新たな国立公文書館の建設を進めている。現在の国立公文書館・本館(東京・北の丸公園)が手狭で、分館(茨城県つくば市)とあわせても2019年度には収納スペースが満杯となるからだ。

 政府の有識者会議がまとめた調査報告書によると、新国立公文書館の建設場所は、東京・永田町の憲政記念館のある敷地(5万5000平方メートル)。国会議事堂の東側に位置し、総理官邸や霞が関の官庁街にも近い。保存書庫は現在の6600平方メートルから最大2万2850平方メートル(約3.5倍)に拡大。延べ床面積も同様に1万1550平方メートルから4万2000平方メートル~5万平方メートルに増やすことを求めている。建設費用は約790~850億円を見込む。実現すれば、公文書を毎年4万~5万冊、約50年間にわたり受け入れることが可能だという。文書をデジタル化し、ネットで結び検索・閲覧することも検討している。地方からわざわざ足を運ぶ必要がなく、アクセスしやすくなる。

 政府は前述の有識者会議の調査報告書を受け、2017年度中にも基本計画をまとめる方針だ。

 学校法人「森友学園」を巡る問題では、財務省が土地売却の交渉記録を廃棄していたことがわかった。公文書について、その管理・保存をどうするのか、そのあり方が問われた形だ。

 公文書は役所のものでもなく、国民の共通財産であり、民主主義国家の礎となるものだ。国の発展の過程、その歴史を後世に長く伝えるためにも、国民が閲覧しやすい環境を整えてほしい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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