フランスでは「国民食」といわれるほど知名度が高い冷凍食品ブランドの「Picard(ピカール)」。もともとは1906年、レイモン・ピカール氏が創業した氷屋が起源という。現在のような冷凍食品専門店のかたちとしては、1974年に産声を上げた。これまでにイタリアやベルギーなど、ヨーロッパ各地で1000店舗以上を展開しているという。

 流通大手のイオンとの提携のもと、昨年の11月より日本にも進出。青山骨董通り、麻布十番、中目黒と、ターゲット層がうかがえる立地での出店が続く。もとより国内の冷凍食品の市場は充実していて、高価格帯が消費者にどれだけ受け入れられるか、注目されていた。いまのところ評判は上々のようである。エスカルゴやフォアグラなど、フレンチのレストランでしか食べられないような食材には、やはり強い。本格的なコースがピカールだけで揃えられるところはかなりのウリだ。マカロンなどのスイーツの品揃えも色彩豊かで楽しい。

 我が国の食の業界において、フランス料理のレベルの高さはよく語られている。また首都圏の富裕層は、食材の質にこだわる傾向がある。ピカールの攻勢は、おそらくマーケティング的には手堅く、受け入れられる素地があったということだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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