中国の国産空母が2017年4月26日、進水した。2020年までに就役する見通し。新空母は遼寧省・大連の造船所で建造された。全長約300メートル、排水量約50000トンで通常動力型。船首部分に傾斜がついた「スキージャンプ式」の甲板から艦載機が離艦する。艦載機数は最大36機を搭載できるという。

 中国にとっては、ウクライナから購入・整備した「遼寧」(2012年就役、スキージャンプ式)に続き2隻目の空母となる。国産空母の建造は初めて。中国メディアは上海でも3隻目の空母を建造中と報じており、中国は空母の建造を加速化させている。原子力空母の建造も計画しているとみられる。

 中国の空母を巡っては前述の「遼寧」が2016年、宮古海峡(沖縄本島~宮古島間)を通過し、太平洋に進出した。今回の国産空母の進水は、「遼寧」の太平洋進出と合わせ、中国海軍が「近海防御型」から「遠海護衛型」に転向することを意味する。軍事的にアメリカに対抗する「海洋国家」を目指しているわけだ。

 一方、中国は東シナ海の日本固有の領土・尖閣諸島の領有を主張。南シナ海でも人工島を造成し、滑走路を建設するなど東南アジア諸国との間で摩擦を起こしている。中国の空母は今後、そうした東シナ海、南シナ海、太平洋はもちろん、インド洋、大西洋、北極海などに展開する可能性がある。

 中国の、力による現状変更・拡大は空母の展開戦略と密接に関係する。日本としては、米国や東南アジア諸国、オーストラリア、インドなどと連携し、警戒することが欠かせない。同時に、中国に対しても軍事的な緊張をもたらさないよう、自制を求めるべきだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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