北海道利尻町内在住の現役漁師によって結成されたHIPHOPグループのこと。メンバーは78歳のガンゼ、77歳のめんこE、91歳のコンブアッペカッチャの3人で、合計年齢は246歳……らしい。

 すでに、YouTubeでリーシリーボーイズが踊って話す短編CMとプロモーションビデオが公開されており、デビュー曲名は『ウィーアーリーシリーボーイズ』。

 インタビューシーンでは「目標は紅白歌合戦出場」と豪語。昔の武勇伝や昆布漁のとれ具合、利尻の今後など……ボーイズたちのMC(ラップ)をたっぷり堪能でき、パフォーマンスシーンは男女高校生を交えながら、HIPHOP特有の背徳感を排除したポップさを前面に押し出し、かなり完成度の高いファンキーな仕上がりとなっている。作中、さかんにリフレインされている意味不明なリリック「あぎらがす あぎらがす あぎらがすより ばふらめぐ あぎらがすより ばふらめぐ」は地元の方言で、「あぎらがす」とは「もてあます」、「ばふらめぐ」とは「バクバクする」という意味なのだそう。

 タネを明かせば、利尻町の町おこし的活動の一環で、ボーイズ(おじいちゃんたち)が見たこともない極彩色のラッパー風コスチュームを着させられ、しゃべり慣れている方言(だけ)を連呼させられ、適当にカラダを揺り動かす……そんな「どういう状況か本人がわからないまま、なんかやらされてます感」が、結果として“イイ味”をかもし出している。「下手」を逆手に取ることもできるラップという音楽の特色を最大限に活かした名(迷)作だと言えよう。

 ちなみに余談ではあるが、『ウィーアーリーシリーボーイズ』の作詞・作曲を担当するNONA REEVESの西寺郷太(にしでら・ごうた)氏は、筆者の草野球仲間(所属チームは別)でもあったりする。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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