

第5回
(さい)(載書(さいしょ))について(1)

「口(こう)」のつく漢字は、日本で一番大きな漢和辞典である『大漢和辞典』(大修館書店)の「口」の部に1,447字あります。しかし、この中には「くち」という意味だけでは字の成り立ちが説明できなかったり、矛盾が生まれるものが多いことが知られていました。
例えば、教科書や漢和辞典が基にしてきた、今からおよそ1,900年前にできた許慎(きょしん)の『説文解字(せつもんかいじ)』では、「告(こく)」は「牛が人に何かを訴えるために口をすり寄せているのである」とされ、「名」は「夕べになると暗いので口で名のる形である」と説明されています。しかし、牛は口で人に訴えるというようなことはしませんし、名のるときには顔が見えなくなる夕べだけでなく、明るい日中でも口で名のるのです。この説明がおかしいのはすぐにわかることでしょう。
この問題に終止符を打ったのが、白川静先生による「

「神(しん)」という字の最初の形は「申(しん)」で、稲光が走る形を写している字であることがそれを証明しています。当時の人々は稲光を神の姿とみたのです。そして、このような自然をつかさどる神にお伺(うかが)いをたてて自分の行動を決定していたのです。すなわち、そのように漢字は、神と人間が交流する神聖な祀(まつ)りの場で生まれたことや、その重要な祀りの器として「


では、「


● 日本文字文化機構文字文化研究所 認定教本より
ここで紹介している日本文字文化機構文字文化研究所編集の教本は、最高峰の漢字辞典『字通』に結実した白川静文字研究の成果をもとに、漢字の成り立ちをわかりやすく解説した学習コラムです。白川静『字通』のオンライン検索サービスは、基本検索ならびに詳細(個別)検索でご利用いただけます。
コンテンツの概要については以下をご覧ください。

ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額600万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。