説明(か)は木の枝の形です。口のもとの形は
(さい)で、祝詞(のりと:神への祈りの文)を入れる器の形です。神に祝詞をささげて祈り、木の枝で
を殴(う)ちながら願いごとをぜひ実現してほしいと神に訴え、神を責めるのが可の意味です。これにたいして神が願いごとをききいれて、「よし」と許すので、可には「よし、ゆるす(神が許可する)」という意味があります。
神に強く訴えるときに出す声を、可を重ねて哥(か)といいます。哥は歌(か)のもとの形ですから、歌はもともとは神様に訴える声、祈る声をいうのです。
用例「可否」(よしあし)・「許可」(許すこと)。
解説白川先生の文字学は、神と人々との密接な関わりをもとに漢字を解読していきます。「可」は祈りを収めた
を木の枝で殴ち、大きな声を出しながら祈ることの実現を要求する意味です。
(祝詞)で神様にものをお願いするけれど、なかなか簡単なことでは願い事を叶えてくださらないので、木の枝で
(祝詞)を殴って、私の言うこと、願い事を聞け!と叫ぶのです。その時、大体は祈るような節をつけて、自分の願いを許可せよ、実現せよというようにやっているわけで、そこから実現の可能性も生まれてくるわけです。その
(可)を重ねると哥となります。これが歌という字のもとの字で、歌というのは楽しんで歌っているのでなく、必死になって神へ向かって「こうせい、こうせい」といってお祈りしているときの声が歌なのです。のちに口を開けて歌っている人の形の欠(けん)(
)をつけ加えました。これがいまの歌(うた)という字です。
説明可(か)は神に祈るとき、その祈りの文を入れた器(
)を木の枝で殴(う)ち、願いごとが実現することを責め求める字で、そのとき出す声を哥(か)といいます。哥は神に訴(うっ)たえる声で、歌(か)のもとの形です。
解説「可」の解説をご参照ください。
説明哥(か)が歌(か)のもとの形です。哥に、口を開いて立つ人を横から見た形の欠(けん)を加えた字が歌です。歌とは神への祈りの文を入れた器の
を木の枝で殴(う)って、祈りの実現を訴えるときに出す声です。
用例「歌曲」(かきょく:うた)・「歌舞」(かぶ:うたと舞)。
解説日本語の歌(うた)は、「拍(う)つ、訴(うった)う」と関係があるようです。詠歌(えいか)の詠は、声を長く引く歌いかた、歌は強くせまるような歌いかた、唱(しょう)はみんなで勢いよく合唱する歌いかたです。