説明手首から先の、五本の指を開いた形で、「て」の意味となります。
用例「挙手」(きょしゅ:てをあげること)・「手柄」(てがら:人にほめられるようなりっぱな働き)・「手綱」(たづな:馬をあやつる綱)。
解説五本の指を開いた片手の形で、人の手の形を表しています。
説明「又(ゆう)」は指を出している右手の形で、「右」という意味の字の最初の形です。のちに右手の又に、神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の「口」(もとは
の形)をもつ形の「右」の字がつくられ、「右」の意味の字として使われるようになりました。又はのちに副詞の「また」、動詞の佑助(ゆうじょ:たすける)の意味に使い、左右の「右」の意味には使われなくなりました。
解説右の手の形で、手の働き、動きを示して他の要素と組み合わせて多くの字を作っています。又は右手を表し、右とは祝詞を入れる器の
をもつ手であり、左は呪具の工をもつ手とされています。物事を「左右する」とは、神の計らいであり神に尋ねる行為でもあります。
(会意)又(ゆう)と口(こう)とを組み合わせた形。
説明「又(ゆう)」は右手の形で、右手です。「口」のもとの形は
で、祝詞(神への祈りの文)を入れる器です。神は奥深く、暗いところに姿をかくしているのです。その神をたずね、神に出会って神のたすけを求める方法として、右手に神を呼び寄せる祈りの文を入れた器の
を捧げ持ち、神のいるところを尋ねるのです。右は、もとは神を尋ね、神に会うための方法を示している字なのです。左も神を尋ねる方法を示している字です。
用例「座右」(座席のみぎ。そば)・「右折」(みぎに曲がること)。
解説右手に祝詞を入れる器の
をもつ形。左右とは、この左右をもって神を尋ねるので、もともと神事の用語ですが、のち手の左・右の意味に用いられるようになりました。
説明「
」は左手の形で、左の最初の形です。「工」は神に仕える人が持つまじないの道具(呪具)です。神は奥深く暗いところに隠れているので、その神のたすけをえるためには、神のいるところを尋ねあてなければなりません。そのために左手に神を呼びよせるおまじないの道具の工を持ち、祈って神のいるところを尋ねることを示しているのが左の字です。右が神を呼びよせる祈りの文を入れた器の口(もとの形は
)を右手に持って、神のいるところを尋ねるのと同じように、左も神をたずねる方法を表している字です。「左」は左手に「工」を持つ形ですから、「ひだり」の意味に使います。左と右はもと神に祈る行動でしたが、のち人のために祈ることから、左と右にはともに「たすける」という意味もあります。
尋(たずねる)という字は、もとは探の形に作ります。左と右を上下に組み合わせた字が
(じん)で、尋ね人のように、人をたずねるという意味に使われますが、神のいるところをたずねるというのがもとの意味です。
用例「左右」(ひだりと、みぎ)・「左傾」(さけい:ひだりに傾くこと)。
解説「右」をご参照ください。