親子で学ぼう!漢字の成り立ち 親子で学ぼう!漢字の成り立ち

第17回 人の形から生まれた文字〔4〕

体の部分~手と足(1)

手・又・右・左
『手』
4画(シュ・て・た)小学1年
  • 金文
  • 篆文
(象形)手の形。
説明手首から先の、五本の指を開いた形で、「て」の意味となります。
用例「挙手」(きょしゅ:てをあげること)・「手柄」(てがら:人にほめられるようなりっぱな働き)・「手綱」(たづな:馬をあやつる綱)。
解説五本の指を開いた片手の形で、人の手の形を表しています。
『又』
2画〔〕(ユウ・また)
  • 甲骨文字
  • 金文
  • 篆文
(象形)右手の形。
説明「又(ゆう)」は指を出している右手の形で、「右」という意味の字の最初の形です。のちに右手の又に、神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の「口」(もとはの形)をもつ形の「右」の字がつくられ、「右」の意味の字として使われるようになりました。又はのちに副詞の「また」、動詞の佑助(ゆうじょ:たすける)の意味に使い、左右の「右」の意味には使われなくなりました。
解説右の手の形で、手の働き、動きを示して他の要素と組み合わせて多くの字を作っています。又は右手を表し、右とは祝詞を入れる器のをもつ手であり、左は呪具の工をもつ手とされています。物事を「左右する」とは、神の計らいであり神に尋ねる行為でもあります。
『右』
5画(ユウ・ウ・みぎ)小学1年
  • 金文
  • 篆文
(会意)又(ゆう)と口(こう)とを組み合わせた形。
説明「又(ゆう)」は右手の形で、右手です。「口」のもとの形はで、祝詞(神への祈りの文)を入れる器です。神は奥深く、暗いところに姿をかくしているのです。その神をたずね、神に出会って神のたすけを求める方法として、右手に神を呼び寄せる祈りの文を入れた器のを捧げ持ち、神のいるところを尋ねるのです。右は、もとは神を尋ね、神に会うための方法を示している字なのです。左も神を尋ねる方法を示している字です。
用例「座右」(座席のみぎ。そば)・「右折」(みぎに曲がること)。
解説右手に祝詞を入れる器のをもつ形。左右とは、この左右をもって神を尋ねるので、もともと神事の用語ですが、のち手の左・右の意味に用いられるようになりました。
『左』
5画(サ・ひだり)小学1年
  • 金文
  • 篆文
(会意)(さ)と工(こう)とを組み合わせた形。
説明」は左手の形で、左の最初の形です。「工」は神に仕える人が持つまじないの道具(呪具)です。神は奥深く暗いところに隠れているので、その神のたすけをえるためには、神のいるところを尋ねあてなければなりません。そのために左手に神を呼びよせるおまじないの道具の工を持ち、祈って神のいるところを尋ねることを示しているのが左の字です。右が神を呼びよせる祈りの文を入れた器の口(もとの形は)を右手に持って、神のいるところを尋ねるのと同じように、左も神をたずねる方法を表している字です。「左」は左手に「工」を持つ形ですから、「ひだり」の意味に使います。左と右はもと神に祈る行動でしたが、のち人のために祈ることから、左と右にはともに「たすける」という意味もあります。
尋(たずねる)という字は、もとは探の形に作ります。左と右を上下に組み合わせた字が(じん)で、尋ね人のように、人をたずねるという意味に使われますが、神のいるところをたずねるというのがもとの意味です。
用例「左右」(ひだりと、みぎ)・「左傾」(さけい:ひだりに傾くこと)。
解説「右」をご参照ください。
● 日本文字文化機構文字文化研究所 認定教本より

ここで紹介している日本文字文化機構文字文化研究所編集の教本は、最高峰の漢字辞典『字通』に結実した白川静文字研究の成果をもとに、漢字の成り立ちをわかりやすく解説した学習コラムです。白川静『字通』のオンライン検索サービスは、基本検索ならびに詳細(個別)検索でご利用いただけます。
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