堀口茉純のやっぱり江戸が好き!堀口茉純のやっぱり江戸が好き!

「三度の飯より江戸が好き」というお江戸ル(お江戸のアイドル!?)ほーりーこと堀口茉純さんが、江戸後期の地誌『江戸名所図会』を江戸の暮らしという視点から読み解くコーナー。江戸っ子のリアルな生活、ぜひ体感してみてください。毎月1日と15日の更新です。

隅田川堤春景 第七巻 十九冊 九十七丁

墨堤の桜、お花見の様子

今も昔も隅田川沿いは桜の名所! 右下にはゴザやお花見弁当を包んだ風呂敷、お酒など、大荷物を持ってやってきたおじさんの姿。場所取り当番なのかな(笑)?

墨堤の桜は、4代将軍家綱が庶民の娯楽の地をつくろうと、常陸国(茨城県)の桜川から桜を持ってきて木母寺(もくぼじ)の辺りに植樹させたのが始まりでした。その後8代将軍吉宗が大々的に100株の桜を植樹し、桜の名所として有名になっていきます。もちろん庶民の娯楽の地をつくるという意味もあったでしょうが、水害の多い隅田川の堤防を桜の根を張らせることで強化する目的もあったようで、桜並木は年を追うごとに延長されていきます。

『江戸名所図会』の挿絵を見ても、桜の季節の隅田川のにぎやかさが伝わりますね。画面をいっそう華やかにしている花見客と思われる女性の一団があります。これは、実は吉原の大店(おおだな)の慰安旅行の様子。羽振りのいい店、もしくは大口のパトロンがついた店では、3月になると一日営業を休み、従業員総出で向島へ花見に出かけるということがあったようです。

お花見に出かけるためだけに、女性グループはみんなでお揃いの着物を作りました。気合い入ってる~!

吉原に入った花魁(おいらん)は一生外に出られない、といったイメージがありますが、こういった例外もあったんですね。

先頭のほうはまだ幼い禿(かむろ)と呼ばれる花魁の見習の女の子たち。久しぶりの外出でみんなはしゃいでいます。中には泣き出して、手を引いてもらっている子もいます。中ほどには売り出し中の花魁が、太鼓持ちに機嫌を取られながら悠々と花見を楽しんでいます。殿(しんがり)を務める遣手婆(やりてばばあ)の風情もいかにも引率の先生っぽくて面白いですね。

※この文章は「お江戸いいね!~I Like EDO」の「ほーりー 江戸を斬る!」を加筆修正したものです。

向島のいま⑥

江戸時代から桜の名所として知られる隅田川沿いの隅田公園。現在は墨田区側(向島)に約340本、台東区側に約600本の桜が植えられており、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。なかでもとくに素晴らしいのは、吾妻橋から桜橋の約1キロメートルに及ぶ桜のトンネルです。

2012年には東京スカイツリーが完成。夜、対岸の台東区側から眺めるライトアップされた桜とツリーの競演は見事です。屋形船から見るのも、さぞ絶景だろうなあ。墨堤さくらまつりは3月下旬から開催予定。

(写真・文/ジャパンナレッジ編集部)

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『江戸名所図会』とは

江戸時代を代表する地誌で、江戸名所の集大成と評される、江戸後期の"ガイドブック"。斎藤幸雄・幸孝・幸成(月岑)の親子三代が手がけた大事業で、天保5(1834)年と天保7(1836)年の二度に分け、7巻20冊が刊行。1000を数える項目には、江戸はもちろん、現在の神奈川、千葉、埼玉の名所も含まれる。絵師長谷川雪旦の742点の挿画では、神社仏閣や景勝地などの実地調査に基づいた俯瞰図や、生活風俗に関係する事柄の詳細で写実的な描写が楽しめる。歴史や風俗資料としても活用されている。

プロフィール

堀口茉純(ほりぐち・ますみ)

堀口茉純(ほりぐちますみ)

江戸にくわしすぎるタレント=お江戸ル(お江戸のアイドル!?)ほーりーとして注目を集め、執筆、イベント、講演活動にも精力的に取り組む。初めての著書の『TOKUGAWA15』(草思社)は歴史書籍としては異例のロングセラーに。近刊は『江戸名所図会』など近世の版本史料を駆使して江戸人の生活実態に迫る『江戸はスゴイ~世界一幸せな人びとの浮世ぐらし~』(PHP新書)。NHKラジオ第1『DJ日本史』、TOKYO MX『週末ハッ ピーライフ!お江戸に恋して』にレギュラー出演中。

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目次

日本橋編

深川編

向島編

上野編

浅草編