ニッポン書物遺産

大辞泉

episode.3
「常に進化していく国語辞典」を標榜する『デジタル大辞泉』。その進化の先にみえてくるものとは? インターネットと辞書の、新しい融合のカタチとは?
『大辞泉』のこれからを考える──大辞泉編集長の板倉俊氏にお話を伺う、最終回。

年3回の更新を支える
編集支援システム


──『デジタル大辞泉』は今後、どういう方向に進んでいくのでしょうか。
ひとつは、画像のさらなる充実でしょう。もともと『大辞泉』は、カラー図版を特長としていました。Web等で使用可能な画像データを広範囲から集めています。デジタル化されても原点は大切にしたいですね。一方で、辞書という概念に囚われてはいけない、とも思っています。20、30年前には、辞書といえば書籍が当たり前でした。ネットで辞書を読むことができるようになるとは、誰も想像できませんでした。『大辞泉』は多様化するメディアに合わせて、常に変容していく必要があると考えています。たとえばデバイスによっては他のアプリと連携することもできるようになってきました。ネットでニュースを読みながら、その用語を『大辞泉』で調べるということも現実となっています。
──そのための準備はできている。
どんなカタチにも対応できるように、汎用性、拡張性、運用のしやすさの3点に徹底的にこだわって開発したのが、大辞泉編集支援システム(左欄参照)です。タグをほとんど意識しないで、SE(システムエンジニア)のような知識がなくても加筆・修正が可能です。多数の編集者がこのシステムを使いこなすことで、年3回の更新を実現しました。また、『大辞泉』の外側に、さまざまなデータを構築しています。先ほど申し上げた画像のほかに、地図、URLデータ、『数え方の辞典』『類語例解辞典』との項目リンクデータなどです。それとは別に『大辞泉』自身を分割して専門語辞典を作ることもできます。くわしくは話せませんが、多数のアイデアがあり、デバイスの進化に合わせてこれを具体化していくのが、書籍にはないデジタル編集の醍醐味なんです。

ジャパンナレッジの中での
『大辞泉』のあり方

──ジャパンナレッジの中には、『日本国語大辞典』(日国)も入っています。ユーザーとしては、どんな使い分けが考えられるでしょうか。
『大辞泉』は中型辞書ですから、総項目数をとってみても、『日国』の半分しかありません。『日国』は、その単語が使われ始めた初出の文献を載せるなど、"言葉の歴史"を知るのに、かっこうの辞書です。歴史を遡ることができるんですね。一方で、『デジタル大辞泉』は最新のデータを集め、常に進化していく国語辞典です。新しい言葉の誕生をフォローし続けている。未来に開けている辞書といえるでしょう。ジャパンナレッジでは2辞典とも引くことができますから、みなさんはこれによって、言葉の過去から現在まですべてを知ることができる、というわけです。
──ジャパンナレッジならではの使い方とは。
辞書・事典にはそれぞれの味わいがあります。ジャパンナレッジの最大の特長は、複数の辞事典を引いて、読み味わうことができることだと思います。タブブラウザを使いこなすことで、ますます読み比べが楽しくなってきました。これだけのデータベースは他に類を見ないのでは。ただこれが最終形ではないでしょう。ネット環境や世の中の変化に合わせて、ジャパンナレッジ自身がさらなる進化を目指してほしい、そう思っています。

これが『大辞泉』の編集支援システム。画像は「検索画面」。窓に「宇宙」を入れると、目下立項されているのが80件あることがわかる。この中の「インフレーション宇宙」を選ぶと、いつ立項され、どのような経緯で更新されてきたのかがわかる。このスーパーマシーンのおかげで『大辞泉』の今があるといえる。

4か月で3000語の新立項、そして1万5000語の追加修正という更新作業は驚異的に思えるが、「いつも引かれる辞典であるために、『大辞泉』は常にリアルであらねばならない。だから私たちの仕事も日々進化することを心がけています。読者にその時の最高のサービスを提供することが私たちの使命ですから」と板倉編集長は語る。

「常に進化していく国語辞典」を標榜する『デジタル大辞泉』。その進化の先にみえてくるものとは? インターネットと辞書の、新しい融合のカタチとは?
『大辞泉』のこれからを考える──大辞泉編集長の板倉俊氏にお話を伺う、最終回。

年3回の更新を支える
編集支援システム


──『デジタル大辞泉』は今後、どういう方向に進んでいくのでしょうか。
ひとつは、画像のさらなる充実でしょう。もともと『大辞泉』は、カラー図版を特長としていました。Web等で使用可能な画像データを広範囲から集めています。デジタル化されても原点は大切にしたいですね。一方で、辞書という概念に囚われてはいけない、とも思っています。20、30年前には、辞書といえば書籍が当たり前でした。ネットで辞書を読むことができるようになるとは、誰も想像できませんでした。『大辞泉』は多様化するメディアに合わせて、常に変容していく必要があると考えています。たとえばデバイスによっては他のアプリと連携することもできるようになってきました。ネットでニュースを読みながら、その用語を『大辞泉』で調べるということも現実となっています。
──そのための準備はできている。
どんなカタチにも対応できるように、汎用性、拡張性、運用のしやすさの3点に徹底的にこだわって開発したのが、大辞泉編集支援システム(左欄参照)です。タグをほとんど意識しないで、SE(システムエンジニア)のような知識がなくても加筆・修正が可能です。多数の編集者がこのシステムを使いこなすことで、年3回の更新を実現しました。また、『大辞泉』の外側に、さまざまなデータを構築しています。先ほど申し上げた画像のほかに、地図、URLデータ、『数え方の辞典』『類語例解辞典』との項目リンクデータなどです。それとは別に『大辞泉』自身を分割して専門語辞典を作ることもできます。くわしくは話せませんが、多数のアイデアがあり、デバイスの進化に合わせてこれを具体化していくのが、書籍にはないデジタル編集の醍醐味なんです。

ジャパンナレッジの中での
『大辞泉』のあり方

──ジャパンナレッジの中には、『日本国語大辞典』(日国)も入っています。ユーザーとしては、どんな使い分けが考えられるでしょうか。
『大辞泉』は中型辞書ですから、総項目数をとってみても、『日国』の半分しかありません。『日国』は、その単語が使われ始めた初出の文献を載せるなど、"言葉の歴史"を知るのに、かっこうの辞書です。歴史を遡ることができるんですね。一方で、『デジタル大辞泉』は最新のデータを集め、常に進化していく国語辞典です。新しい言葉の誕生をフォローし続けている。未来に開けている辞書といえるでしょう。ジャパンナレッジでは2辞典とも引くことができますから、みなさんはこれによって、言葉の過去から現在まですべてを知ることができる、というわけです。
──ジャパンナレッジならではの使い方とは。
辞書・事典にはそれぞれの味わいがあります。ジャパンナレッジの最大の特長は、複数の辞事典を引いて、読み味わうことができることだと思います。タブブラウザを使いこなすことで、ますます読み比べが楽しくなってきました。これだけのデータベースは他に類を見ないのでは。ただこれが最終形ではないでしょう。ネット環境や世の中の変化に合わせて、ジャパンナレッジ自身がさらなる進化を目指してほしい、そう思っています。

板倉 俊(いたくら・たかし) 板倉 俊(いたくら・たかし)

1959年生まれ。小学館コミュニケーション編集局プロデューサー兼新百科編集編集長。95年『大辞泉』の刊行に携わるなど辞書編集を専門に手がける。他に『CD-ROM大辞泉』『例解学習漢字辞典』(部首ナビ考案)『数え方の辞典』『きっずジャポニカ』を担当。2006年より『デジタル大辞泉』のデータ更新を始めた。