「雨模様」──すっきりしないのは
天候だけではない
天候だけではない
2010年07月26日
みなさんは「外は雨模様だ」と言われると、どのような天気を思い描くであろうか。
平成15(2003)年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、「雨が降りそうな様子」の意味で使う人が38.0パーセント、「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味で使う人が45.2パーセントという結果が報告されている。
ところが面白いことにこの語は、少数派となった「雨が降りそうな様子」のほうが本来の意味なのである。そのため、『岩波国語辞典』では「雨の降る様子は誤用」としている。だが、45.2%もいた「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味を選んだ人たちの存在をどう考えるべきなのか。そのような状況を勘案して、筆者が編集を担当した『現代国語例解辞典』では、「雨が降ったりやんだりすることにもいう」という意味を、すでに1985年刊行の初版から載せている。さらに『大辞泉』によれば、近年では「降ったりやんだり」どころか、「現に雨が降っている」意にも使われているという。
このようにこの語は使う人によって意味が揺れているため、NHKなど放送、特に天気予報では避ける語としているようだ。
なお、この語は意味ばかりでなく読み方も「あめもよう」「あまもよう」の両用あって揺れている。ただしこちらは、どちらの読みでも誤用ということはなさそうである。
平成15(2003)年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、「雨が降りそうな様子」の意味で使う人が38.0パーセント、「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味で使う人が45.2パーセントという結果が報告されている。
ところが面白いことにこの語は、少数派となった「雨が降りそうな様子」のほうが本来の意味なのである。そのため、『岩波国語辞典』では「雨の降る様子は誤用」としている。だが、45.2%もいた「小雨が降ったりやんだりしている様子」の意味を選んだ人たちの存在をどう考えるべきなのか。そのような状況を勘案して、筆者が編集を担当した『現代国語例解辞典』では、「雨が降ったりやんだりすることにもいう」という意味を、すでに1985年刊行の初版から載せている。さらに『大辞泉』によれば、近年では「降ったりやんだり」どころか、「現に雨が降っている」意にも使われているという。
このようにこの語は使う人によって意味が揺れているため、NHKなど放送、特に天気予報では避ける語としているようだ。
なお、この語は意味ばかりでなく読み方も「あめもよう」「あまもよう」の両用あって揺れている。ただしこちらは、どちらの読みでも誤用ということはなさそうである。
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「満面の笑顔」「汚名挽回」「的を得る」……従来誤用とされてきたが、必ずしもそうとは言い切れないものもある。『日本国語大辞典』の元編集長で、辞書一筋37年のことばの達人がことばの結びつきの基本と意外な落とし穴を紹介。
