第198回
“むしゃぶりつく”ことができる対象は?
2014年02月17日
「ハンバーガーにむしゃぶりつく」
この文章を読んで、違和感をもった方はどれだけいらっしゃるであろうか。実はこのような「むしゃぶりつく」は今までなかった言い方なのである。
「むしゃぶりつく」というのは、感情が激して激しい勢いで抱きつくという意味で、抱きつく相手は従来は人であることが多かった。
それが、近年「むしゃぶりつく」対象が広がりつつある。特にその対象が食べ物であることが多く、インターネットで検索しても、ハンバーガー、鶏の唐揚げ、スイカ、「ガリガリ君」というアイスキャンデーまで、実に様々である。
「むしゃぶりつく」は、「むさぶりつく」が変化した語で、「むさぶる」とは「むさぼる(貪る)」のことである。実をいうと「むさぼる」には、がつがつ食べるという意味もあるので、それが変化した「むしゃぶりつく」にもそのような食べるという意味があってもよさそうなのだが、「むしゃぶりつく」は従来食べ物に関しては使われてこなかった。
それがなぜ最近になって食べ物をがつがつ食べるという意味が加わったのであろうか。
考えられることは、3つある。
ひとつは「かじりつく」からの類推。「かじりつく」は「噛り付く」と書くように、「かじる」すなわちしっかりと歯で食いつくという意味をもつ。辞典の多くはこの「かじりつく」を「むしゃぶりつく」の同義語として挙げてきた。もちろん「かじりつく」には離れないようにしっかり取り付くという意味もあり、同義語として挙げられたのはそちらの意味なのだが、「かじりつく」の食いつくという意味がそれによって、「むしゃぶりつく」と結びついてしまったのかもしれない。
もうひとつは、勢い込んで食べるさまを表す「むしゃむしゃ」という擬態語からの連想である。
そして、3つめは、いささか無理があるかもしれないが、「むしゃぶる」の「む」が落ちた「しゃぶる」からの連想である。
いずれにしても、「むしゃぶりつく」の意味は着実にがつがつ食べるという意味を引き寄せつつある。
冒頭の「ハンバーガーにむしゃぶりつく」が市民権を得て、さらにその意味が辞書に登録されるのもそう遠い話ではないのかもしれない。
この文章を読んで、違和感をもった方はどれだけいらっしゃるであろうか。実はこのような「むしゃぶりつく」は今までなかった言い方なのである。
「むしゃぶりつく」というのは、感情が激して激しい勢いで抱きつくという意味で、抱きつく相手は従来は人であることが多かった。
それが、近年「むしゃぶりつく」対象が広がりつつある。特にその対象が食べ物であることが多く、インターネットで検索しても、ハンバーガー、鶏の唐揚げ、スイカ、「ガリガリ君」というアイスキャンデーまで、実に様々である。
「むしゃぶりつく」は、「むさぶりつく」が変化した語で、「むさぶる」とは「むさぼる(貪る)」のことである。実をいうと「むさぼる」には、がつがつ食べるという意味もあるので、それが変化した「むしゃぶりつく」にもそのような食べるという意味があってもよさそうなのだが、「むしゃぶりつく」は従来食べ物に関しては使われてこなかった。
それがなぜ最近になって食べ物をがつがつ食べるという意味が加わったのであろうか。
考えられることは、3つある。
ひとつは「かじりつく」からの類推。「かじりつく」は「噛り付く」と書くように、「かじる」すなわちしっかりと歯で食いつくという意味をもつ。辞典の多くはこの「かじりつく」を「むしゃぶりつく」の同義語として挙げてきた。もちろん「かじりつく」には離れないようにしっかり取り付くという意味もあり、同義語として挙げられたのはそちらの意味なのだが、「かじりつく」の食いつくという意味がそれによって、「むしゃぶりつく」と結びついてしまったのかもしれない。
もうひとつは、勢い込んで食べるさまを表す「むしゃむしゃ」という擬態語からの連想である。
そして、3つめは、いささか無理があるかもしれないが、「むしゃぶる」の「む」が落ちた「しゃぶる」からの連想である。
いずれにしても、「むしゃぶりつく」の意味は着実にがつがつ食べるという意味を引き寄せつつある。
冒頭の「ハンバーガーにむしゃぶりつく」が市民権を得て、さらにその意味が辞書に登録されるのもそう遠い話ではないのかもしれない。
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