第214回
「地面」はなぜ「じめん」なのか?
2014年06月09日
読者から、「地面」という語を辞書で引くと見出し語の読みは「じめん」になっているが、「地」という漢字の読みは「ち」なので、正しくは「ぢめん」ではないか、というご質問をいただいた。
このような仮名遣いに関しての決まりは、1986(昭和61)年7月1日の内閣告示第一号「現代仮名遣い」に記載されている。そこで、それを元に説明しようと思って該当個所を探したところ、ぴったりの部分はあるにはあったのだが、どのように説明したらよいのか、はたとことばに詰まってしまった。
それは、「じ」「ず」と「ぢ」「づ」の関係について述べた、「5 次のような語は、「ぢ」「づ」を用いて書く。」という部分の〔注意〕に書かれている。このような内容だ。
次のような語の中の「じ」「ず」は、漢字の音読みでもともと濁っているものであって、上記(1)、(2)のいずれにもあたらず、「じ」「ず」を用いて書く。
例 じめん(地面) ぬのじ(布地)
ずが(図画) りゃくず(略図)
この部分を読んで、皆さんは何を言わんとしているのかすぐに理解できたであろうか。(1)というのは、同音語の連呼によって生じた「ぢ」「づ」のことで、たとえば「ちぢむ」「つづく」などである。(2)は二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」のことで、たとえば「はなぢ」「まぢか」「みかづき」などである。
正直に告白すると筆者自身この仮名遣いの「じ」「ず」と「ぢ」「づ」の関係はかなり怪しく、説明を求められてもすぐには答えられないことがある。そんな自分のことを棚に上げて言うわけではないのだが、このような国語施策に関する約束事は、できるだけわかりやすく記述してほしいと思うのである。だが、この部分は何ともわかりづらい。この内閣告示が出されてからすでに30年近くになり、そのような指摘もかなりあるようだが、放置されたままなのである。
この〔注意〕の部分は何を言わんとしているのかというと、「常用漢字表」に「地」の音として「チ」「ジ」が載っているように、「チ」も「ジ」も元から「地」という漢字に存在する音で、この「ジ」は「はなぢ(鼻血)」などのように「チ」が他の語に続いたために濁ったものではない。したがって、「地面」は「じめん」、「布地」は「ぬのじ」と書くのが適切だということなのである。
「じ」は「地」のもともとの音であるとひと言付け加えてくれれば、それでかなり理解の助けになると思うのだが、なぜそう言ってくれなかったのか残念でならない。
このような仮名遣いに関しての決まりは、1986(昭和61)年7月1日の内閣告示第一号「現代仮名遣い」に記載されている。そこで、それを元に説明しようと思って該当個所を探したところ、ぴったりの部分はあるにはあったのだが、どのように説明したらよいのか、はたとことばに詰まってしまった。
それは、「じ」「ず」と「ぢ」「づ」の関係について述べた、「5 次のような語は、「ぢ」「づ」を用いて書く。」という部分の〔注意〕に書かれている。このような内容だ。
次のような語の中の「じ」「ず」は、漢字の音読みでもともと濁っているものであって、上記(1)、(2)のいずれにもあたらず、「じ」「ず」を用いて書く。
例 じめん(地面) ぬのじ(布地)
ずが(図画) りゃくず(略図)
この部分を読んで、皆さんは何を言わんとしているのかすぐに理解できたであろうか。(1)というのは、同音語の連呼によって生じた「ぢ」「づ」のことで、たとえば「ちぢむ」「つづく」などである。(2)は二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」のことで、たとえば「はなぢ」「まぢか」「みかづき」などである。
正直に告白すると筆者自身この仮名遣いの「じ」「ず」と「ぢ」「づ」の関係はかなり怪しく、説明を求められてもすぐには答えられないことがある。そんな自分のことを棚に上げて言うわけではないのだが、このような国語施策に関する約束事は、できるだけわかりやすく記述してほしいと思うのである。だが、この部分は何ともわかりづらい。この内閣告示が出されてからすでに30年近くになり、そのような指摘もかなりあるようだが、放置されたままなのである。
この〔注意〕の部分は何を言わんとしているのかというと、「常用漢字表」に「地」の音として「チ」「ジ」が載っているように、「チ」も「ジ」も元から「地」という漢字に存在する音で、この「ジ」は「はなぢ(鼻血)」などのように「チ」が他の語に続いたために濁ったものではない。したがって、「地面」は「じめん」、「布地」は「ぬのじ」と書くのが適切だということなのである。
「じ」は「地」のもともとの音であるとひと言付け加えてくれれば、それでかなり理解の助けになると思うのだが、なぜそう言ってくれなかったのか残念でならない。
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