日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。

第24回
「週末(ウイークエンド)」は、「いつ」「どの範囲」のことか?

 「今度の週末に会おうよ」といわれたとき、皆さんはいつのことだと思うのだろうか。
 『日国』で「週末」を引くと、「一週間の末。一週間の終わり頃。金曜から土曜日、また土曜の午後から日曜日にかけてをいう。」とある。また、「週末」にあたる英語「weekend」について、『小学館ランダムハウス英和大辞典』では、「(特に金曜[土曜]日の夜から月曜日の朝までの)週末(以下略)」と説明されている。
 他の辞典類はどうかというと、おおむね次のように分けることができた。
  (1) 土曜日 
  (2) 金曜日と土曜日 
  (3) 土曜日と日曜日 
  (4) 金曜日の夜から日曜日の夜(または月曜日の朝)まで
 こうしてみると、「週末(ウイークエンド)」の範囲は辞典によってかなり揺れていることがわかる。
 一般的な感覚としては(3)の「土曜日と日曜日」と考える人が多そうである。かくいう筆者も「土日」派である。だが、(1)(2)(4)と考える人も決して少数派ではないであろう。
 このように、「週末(ウイークエンド)」の指す範囲はかなり幅があり、人によって受け止め方も違うため、意味のあいまいな語だということができる。
 相手に的確に情報を伝えなければならない場合には、特定の「曜日」や「日にち」を具体的に示したり、いい添えたりした方が無難なようだ。

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