第320回
「初心」は「返る」のか「帰る」のか?
2016年07月04日
「初心にカエル」というときの「かえる」だが、「返る」と書くか、「帰る」と書くかで悩んだことはないだろうか。
「初心」とは、最初に思い立ったときの心境という意味で、そこに「かえる」すなわち立ち戻るということだが、その場合、「返る」と書くか「帰る」と書くかで、若干ニュアンスが異なりそうである。もちろんそれは、同じ読み(同訓)でありながら漢字が違う(異字)であるということによるのだが。
「返る」は、モノが元の状態に戻るという意味であるのに対して、「帰る」は人が自分の意志で元の場所へ戻るという意味の違いがある。従って、「初心にカエル」の場合、心のありかたというモノが主体と考えれば「返る」であろうし、人が主体と考えれば「帰る」を使うことになるであろう。
どちらの漢字を使うかでこのような意味の違いが生じることから、国語辞典でもどの意味と考えるかで表記に揺れが見られる。
手元にある主な国語辞典を見てみると、「初心にカエル」という見出し語は無いが、それが例文として挙げられている場合は以下のようになっている。
返る:新明解国語辞典 三省堂国語辞典
帰る:明鏡国語辞典
ただ、最近は「カエル」の部分を仮名書きにするものも増えてきている。たとえば、『新選国語辞典』『現代国語例解辞典』『広辞苑』『大辞林』などがそれである。
新聞はどうかというと、たとえば時事通信社の『用字用語ブック』には、「帰る」のところに「初心に帰る」がある。インターネットで検索すると、やや「帰る」のほうが優勢に感じられるのはこのせいかもしれない。
だが、国語辞典ではすでに多数派となっているように、あえて一方には決めず、「初心にかえる」と仮名書きにするという方法もあるような気がする。
「初心」とは、最初に思い立ったときの心境という意味で、そこに「かえる」すなわち立ち戻るということだが、その場合、「返る」と書くか「帰る」と書くかで、若干ニュアンスが異なりそうである。もちろんそれは、同じ読み(同訓)でありながら漢字が違う(異字)であるということによるのだが。
「返る」は、モノが元の状態に戻るという意味であるのに対して、「帰る」は人が自分の意志で元の場所へ戻るという意味の違いがある。従って、「初心にカエル」の場合、心のありかたというモノが主体と考えれば「返る」であろうし、人が主体と考えれば「帰る」を使うことになるであろう。
どちらの漢字を使うかでこのような意味の違いが生じることから、国語辞典でもどの意味と考えるかで表記に揺れが見られる。
手元にある主な国語辞典を見てみると、「初心にカエル」という見出し語は無いが、それが例文として挙げられている場合は以下のようになっている。
返る:新明解国語辞典 三省堂国語辞典
帰る:明鏡国語辞典
ただ、最近は「カエル」の部分を仮名書きにするものも増えてきている。たとえば、『新選国語辞典』『現代国語例解辞典』『広辞苑』『大辞林』などがそれである。
新聞はどうかというと、たとえば時事通信社の『用字用語ブック』には、「帰る」のところに「初心に帰る」がある。インターネットで検索すると、やや「帰る」のほうが優勢に感じられるのはこのせいかもしれない。
だが、国語辞典ではすでに多数派となっているように、あえて一方には決めず、「初心にかえる」と仮名書きにするという方法もあるような気がする。
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