日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。

第45回
活火山はカッカザン?カツカザン?

 九州霧島火山群の新燃岳(しんもえだけ)の噴火が続いている。避難生活を強いられていたり降灰の被害に遭ったりしている地元住民の方には、お気の毒としかいいようがない。一日も早い終息をお祈りしている。
 新燃岳は霧島山中でも最も活動の激しい火山のひとつで、最近の100年間でも昭和9(1934)年、昭和34(1959)年と爆発を繰り返し、近隣の山林や耕地に多くの被害をもたらしている。
 ところで、新燃岳のような火山を「活火山」と呼ぶのだが、テレビやラジオでは「活火山」を「カッカザン」とも「カツカザン」とも言っていることにお気づきであろうか。この語は読みが揺れていて、テレビやラジオなどでは両形認めているのである。
 読みの揺れは各学問分野でも同様で、学術用語を収録した『学術用語集』でも、地震学の分野では「カッカザン」、地学・地理学の分野では「カッカザン(カツカザン)」としている。
 辞書の世界ではどうかというと、見出しを「カッカザン」とするものが主流で、異形として「カツカザン」を挙げているものが多い。
 ちなみに「活火山」は、以前は、過去およそ2000年以内に噴火したことのある火山とされていたが、世界的な動向に合わせて、気象庁の火山噴火予知連絡会も平成15(2003)年から、現在、噴気・噴火などの火山活動をしているか、過去およそ1万年以内に噴火したことのある火山という定義に変更した。これにより、かつては休火山だった富士山も「活火山」となった。

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