たとえば、「令」の字。教科書ではなのに、辞書を引くと「令」となっているのはどうしてかといった質問である。
これは教科書体と明朝体のデザインの違いで、文部科学省も“まったく問題にする必要はない”と言いきっているものである。しかし、そのことを小学生に理解してもらうのはなかなか難しく、いつもなんとかならないものかと思う。
このようにデザインの違いが生じている漢字は、「常用漢字表」に添えられた「字体についての解説」に具体例が示されていて、そこを見れば個々にどういった違いがあるのかよくわかるようになっている。だが、残念なことに「常用漢字表」にこのような付表があることは、一般の人にはあまり知られていないような気がする。
この字体の解説は、明朝体のデザインの違いばかりでなく、明朝体と手書き文字の関係などにも言及している。「とめ」「はね」「はらい」など、いまさら人に聞けないことまで載っていて、なるほどそうだったんだ、と思うことがけっこうあり、それはそれで面白い。
もちろん「令」との違いも示されている。それによればは手書き文字に多い字体で、教科書体はそれを模したものであることがわかる。
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