第72回
「雰囲気」という語が辞書にない?
2011年08月29日
先日ある読者から、筆者が編集を担当した『現代国語例解辞典』に「雰囲気」ということばが載っていないのだが、という電話がかかってきた。そんなはずはないので、そうお答えしようと思った矢先に、「あっ、ありましたね」と言って先方から電話を切られてしまった。
まるできつねにつままれたような気分であったが、後でよくよく考えてみると、どうやら「雰囲気」の読みを「ふんいき」ではなく「ふいんき」だと思って辞書を引いたのではないかと思い至った。
たとえば『大辞泉』を見ると、「『ふいんき』と発音する人が増えているという調査結果がある。」と補注に書かれている。「ふいんき」という読みはかなり広まっているらしい。
「雰囲気」は、元来は地球をとりまく大気の意味で、オランダ語の訳語として、江戸時代の蘭学書に見えることばであった。それが、明治末期ごろから、その場の様子や気分の意味に転じたものらしい。
それにしても「雰」は「ふん」、「囲」は「い」、「気」は「き」と読めるはずなのだが、なぜ「ふいんき」と「ん」の位置が動いてしまったのだろうか。
以前、愛媛大学の佐藤栄作教授(日本語学)から聞いた話だが、漢字を思い浮かべずに音だけでことばを覚えてしまうと、間違った言い方をしてしまうことがよくあるのだそうだ。たとえば、写真の「焼き増し」を「焼き回し」だと思っている人がけっこういるらしい。
このような現象はことばの揺れとはいえないので、辞書に「ふいんき」という読みを載せることはできない。
まるできつねにつままれたような気分であったが、後でよくよく考えてみると、どうやら「雰囲気」の読みを「ふんいき」ではなく「ふいんき」だと思って辞書を引いたのではないかと思い至った。
たとえば『大辞泉』を見ると、「『ふいんき』と発音する人が増えているという調査結果がある。」と補注に書かれている。「ふいんき」という読みはかなり広まっているらしい。
「雰囲気」は、元来は地球をとりまく大気の意味で、オランダ語の訳語として、江戸時代の蘭学書に見えることばであった。それが、明治末期ごろから、その場の様子や気分の意味に転じたものらしい。
それにしても「雰」は「ふん」、「囲」は「い」、「気」は「き」と読めるはずなのだが、なぜ「ふいんき」と「ん」の位置が動いてしまったのだろうか。
以前、愛媛大学の佐藤栄作教授(日本語学)から聞いた話だが、漢字を思い浮かべずに音だけでことばを覚えてしまうと、間違った言い方をしてしまうことがよくあるのだそうだ。たとえば、写真の「焼き増し」を「焼き回し」だと思っている人がけっこういるらしい。
このような現象はことばの揺れとはいえないので、辞書に「ふいんき」という読みを載せることはできない。
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