日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 『舟を編む』(光文社刊)という、直木賞作家三浦しをんさんの小説が売れているという。
 三浦さんの小説は登場人物たちが一途に何かに打ち込みながら、人間的にも成長していく姿を描いた作品が多いが、うれしいことに今回の舞台は出版社の辞典編集部なのである。  
 個性的な辞典編集者が、「大渡海」と名付けられた23万語の国語辞典の編纂に関わりながら、仕事や恋愛をめぐるさまざまな人間ドラマ

キーワード:


 読者から、「々」を国語辞典の見出しにして欲しいという要望をいただいた。たいへんな難題でいまだにどうしたものか悩んでいる。というのも「々」には読みが無いからである。国語辞典は読みさえあれば見出しとして載せられるのだが……。
 「々」は、ワープロソフトなどではふつう「どう」「おなじ」「くりかえし」「おどりじ」と入力すると変換できるのだが、これらは読みや音ではない。また片仮名の「ノ」と「マ」

キーワード:


 昨年定年を迎えた辞典編集部の先輩と久しぶりに会ったとき、いきなり下記のようなクイズを出された。
 「蛇に○○まれた蛙」の○○に入る平仮名2文字は何? 
 何を今更と思いながら、「そんなのニラでしょ、にらまれた蛙に決まっているじゃないですか」と答えたところ、「ブッブー」とやられてしまった。「そうか、君もそう思い込んでいるんだね。自分が編集した辞

キーワード:


 読者から、子どもが通う学校から配布された手紙に、
 「マナーの悪さには目を見張るものがある」
 とあったが、「目を見張る」ということばの使い方としてこれは正しいのだろうかという質問を受けた。その方が言うには、「目を見張る」は、驚きの中でも、主に、感心したり、感動したりしたときに使うイメージなので、上記のように批判的な言い方で使うのは違和感があると言うのである。「

キーワード:


 落語が好きで、時折寄席や落語会に通っている。
 落語はいつもそうだというわけではないのだが、落語家が高座に上がると枕(まくら)と呼ばれる短い話をしたあと、落語に入っていくことが多い。そしてその枕で「熊さん八っつぁん、横丁のご隠居さんなんてぇのが出てきますと、落語の方は幕開きでございまして」などと言うことがある。聞く側はそれで、アアお馴染みのそそっかしくてけんかっ早い江戸っ子と、物知りな

キーワード: