日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 日本語にはどっちを使うのが正しいのだろうかと迷うことばがけっこうある。筆者にとっては、この「一段落」もそのようなことばで、人と話をしていて、「いちだんらく」「ひとだんらく」どっちが正しかったんだっけ、といつも迷ってしまうのだ。
  「一段落」は元来は文章の一つの段落のことで、それが物事のひと区切りの意味になったことばである。正しい読みは「いちだんらく」なのだが、話しことばなどで筆者も含

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 今回は先ず、お手元の辞書で「見せつける」ということばを引いてみていただきたい。
 大方の辞書は、「人に得意になって見せる。わざと人目につくようにふるまう。」(『日国』)などと解説されているはずである。「人前で仲のよいところを見せつける」のように使うときの意味がこれである。
 だが皆さんは「実力の差をまざまざと見せつけられる」のように、自慢をしているわけではなく、相手に強く印象

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 本当は方言なのに話し手が共通語だと思い込んで使っていることばを、方言研究者は「気づかない方言」と呼んでいる。筆者は千葉県の出身であるが、東京に近い土地で生まれ育ったため、自分が使っていることばは共通語だと長い間思い込んでいた。
 ところがあるとき新宿出身の知人に、「それ、方言じゃないですか」と言われすっかり自信を無くしてしまった。それが「~はぐる」という言い方である。

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 第49回の「辞書引き学習」のすすめで紹介した、中部大学深谷圭助准教授の講演会の会場で、「辞書」と「辞典」はどう違うのかという質問を受けた。確かに深谷氏は「辞書引き学習」と言っていて、「辞典引き学習」とは言っていない。その理由はご本人にお聞きするしかないのだが、ほとんどの国語辞典は、「辞書」「辞典」を同義語として扱っている。
 『日国』を引いてみると、「辞典」は「辞書のやや新しい呼び方。

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 いまだ機能はよくわかっていないのだが、数か月前からFacebookをしている。毎日“友達”の書き込みや公開された写真を楽しみにしているのだが、先日、こんな書き込みについ反応してしまった。
 「完全装備で雑草とりしたら、やはりやつらはすごい!唯一カバーしていない鼻と目をひどく噛まれた。もう、蚊は大大大嫌い。明日は会社に行けないぞぉ。」
 本人には申し訳ないのだが、反応したのはそ

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