「こだわる」に“こだわる”と
2014年09月08日
「地元の食材にこだわった料理」
このような文章を目にしたことはないだろうか。
この「こだわる」は、物事に妥協せずそのことだけは譲れないという意味であるが、これは従来なかった新しい使い方である。
「こだわる」は、本来「気にしなくてもいいようなことが心にかかる。気持ちがとらわれる。」という意味で、どちらかと言えば否定的な意味合いで使われることが多かった。たとえば「ささいな失敗にこだわる」などのように。これが、気持ちがとらわれるという意味から、妥協しないという肯定的な意味に転じたものが新しい言い方だと思われる。
「こだわる」の原義は、「すらすらと行かないで、ひっかかったりつかえたりする。」(『日本国語大辞典(『日国』)』)というもので、もともとは、たとえば、
「脇指(わきざし)の鍔(つば)がよこっぱらへこだわっていてへのだ」(十返舎一九『東海道中膝栗毛』1802~09)
「それ程拘泥(こだ)はらずに、するすると私の咽喉を滑り越した」(夏目漱石『硝子戸の中』1915)
のような使い方をしていたのである。
「こだわる」は漢字を当てると「拘る」だが、同様の意味の漢語に「拘泥(こうでい)」がある。ただし、「拘泥」は肯定的な意味は生じておらず、あくまでも、「あることを必要以上に気にしてそれにとらわれること。」(『日国』)という否定的な意味で使われる。
最近の国語辞典は、この「こだわる」の肯定的な意味を、新しい言い方だと注記するかどうかの違いこそあるが、ほとんどが載せ始めている。完全に市民権を得たと考えて良さそうである。
このような文章を目にしたことはないだろうか。
この「こだわる」は、物事に妥協せずそのことだけは譲れないという意味であるが、これは従来なかった新しい使い方である。
「こだわる」は、本来「気にしなくてもいいようなことが心にかかる。気持ちがとらわれる。」という意味で、どちらかと言えば否定的な意味合いで使われることが多かった。たとえば「ささいな失敗にこだわる」などのように。これが、気持ちがとらわれるという意味から、妥協しないという肯定的な意味に転じたものが新しい言い方だと思われる。
「こだわる」の原義は、「すらすらと行かないで、ひっかかったりつかえたりする。」(『日本国語大辞典(『日国』)』)というもので、もともとは、たとえば、
「脇指(わきざし)の鍔(つば)がよこっぱらへこだわっていてへのだ」(十返舎一九『東海道中膝栗毛』1802~09)
「それ程拘泥(こだ)はらずに、するすると私の咽喉を滑り越した」(夏目漱石『硝子戸の中』1915)
のような使い方をしていたのである。
「こだわる」は漢字を当てると「拘る」だが、同様の意味の漢語に「拘泥(こうでい)」がある。ただし、「拘泥」は肯定的な意味は生じておらず、あくまでも、「あることを必要以上に気にしてそれにとらわれること。」(『日国』)という否定的な意味で使われる。
最近の国語辞典は、この「こだわる」の肯定的な意味を、新しい言い方だと注記するかどうかの違いこそあるが、ほとんどが載せ始めている。完全に市民権を得たと考えて良さそうである。
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