日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 まずは以下の例をお読みいただきたい。
*和英語林集成(初版)〔1867〕「Sztekini (ステキニ) サムイ」
 今の「すてき」の意味とはまったく違うので不思議に思われた方も大勢いらっしゃることであろう。この『和英語林集成』は、アメリカの宣教師で医師でもあったヘボンが編纂(へんさん)した日本最初の和英辞典である。ヘボンの名前は「ヘボン式ローマ字」でご記憶の方

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第252回
 

 「情緒あふれる城下町」などというときの「情緒」だが、皆さんは何と読んでいるだろうか。おそらく「ジョウチョ」と読むという方がほとんどなのではないか。だが、中にはいや自分は「ジョウショ」と読むという方もいらっしゃるかもしれない。
 「ジョウチョ」「ジョウショ」はいったいどういう関係かというと、「ジョウショ」のほうが伝統的な読み方なのである。理由は、「緒」という漢

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第251回
 

 「春一番」が吹いたと聞くと、待ち遠しかった春の訪れを喜ぶ人も大勢いらっしゃることであろう。だが私にとっては、春はそれほど待ち遠しい季節ではない。「春一番」とともに本格的な花粉症の症状が現れるからである。
 今でこそ「春一番」ということばはあたりまえのように使われているが、実はそれほど古いことばではないらしい。『日本国語大辞典』(『日国』)によると、「春一番」は、「早春の頃吹く、その年初

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第250回
 

 「高等遊民」という語が注目を集めているらしい。気の早い人は、今年の新語・流行語大賞にノミネートされるのではないかとさえ予測しているようだ。
 このあまり聞き慣れないことばが使われたのは、『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)というテレビドラマだという。主人公の女性に絡む相手が、「高等遊民」と自称するニートの青年なのだそうだ。
 口に出して言ってみると「コートーユ

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 表題のような文章を読んだとき、皆さんはどう思うだろうか。なんだ、別に普通の言い方ではないか、と思うかたもたぶんいらっしゃることであろう。だが、この「燃えたぎる」は誤用だと言われている語なのである。
 何が問題なのか。それは「たぎる」は『日本国語大辞典』に
(1)川の水などが勢い激しく流れる。さかまく。わきあがる。
(2)湯などが煮えたつ。沸騰してわきかえる。

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