日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。

第204回
 

 先ずは問題から。次の言い方のどちらが正しいか答えなさい。
1、「うろ覚えの漢字」
2、「うる覚えの漢字」
 いかがであろうか。最近、2の「うる覚えの漢字」だと答える人が増えているらしい。インターネットで検索しても「うる覚え」と書かれたものがかなりヒットする。だが、もちろん正しくは「うろ覚え」である。
 この「うる覚え」もまた、こ

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 当然のことではあるが、辞典では細心の注意を払ってことばの意味を記述するようにしている。だが、そのようにしたはずなのに、刊行した後で正確さに欠ける語釈だったと悔やまれるものが全く無いとは言い切れない。今回はそんなことばの話である。
 筆者にとっては、たとえば、2000年~2001年に刊行した『日本国語大辞典辞典 第2版(以下「日国」と略す)』の「スコップ」という項目がそれであった。語釈の

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 今回の表題は問題でもある。「雪辱を□□□」の□に入る3文字のことばは何か?
 正解はと何かと言うと、「果(は)たす」である。
 つまり、「雪辱を果たす」で、「昨年の雪辱を果たして優勝した」などと使う。「以前受けた恥を、仕返すことによって消し去ること。現代では多く、競技などで、前に負けたことのある相手を破って、負けた恥をすすぐことをいう。」(『日本国語大辞典 第2版』)という意

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 「采配(さいはい)」とは、大将が軍勢の指揮をとるときの持ち物のことで、柄の先に裂いた白紙などを束ねて、房状に取り付けたものが多い。これを手にした指揮官が、それを振り動かして合図をしたところから、「采配を振る」「采配を取る」という言い方が生まれ、陣頭に立って指図をする、指揮をするという意味になった。
 ところでこの「采配を振る」だが、近年になって従来なかった「采配を振るう」という言い方が

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 3月3日の今日はひな祭り。そこで、今回はひな祭りの「ひな」ということばに関する話などはどうでしょう?
 「ひな祭り」は「雛祭り」と書いて、今でこそ「ひなまつり」と言っているが、「雛」は古くは「ひいな(歴史的仮名遣いは「ひひな」)」と言うこともあった。ただし「ひな」も「ひいな」も今とは違い、ひな祭りに飾る人形のことではなく、女の子が玩具にする、紙や土、木などで作った小型の人形のことを言っ

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