日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 今年も「大晦日」まであと数日となった。1年の最終日である「大晦日」は、「おおみそか」とも「おおつごもり」とも読まれる。現在では「おおみそか」のほうが一般的な言い方であろうが。
 「みそか」は月の初めから30番めの日、すなわち月の末日のことで、特に12月の末日を「おおみそか」というようになったのである。
 「つごもり」はツキコモリで、月の光がまったく見えなくなるころをいったらし

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 「大工調べ」という落語に、
 「あのな一両二分と八百の所へ八百もってってグズグズ言おうてんじゃねえんだ。一両二分、親方の方を持って行くんじゃねえか。八百ばかりはおんの字だい」(柳亭左龍『使ってみたイキでイナセな江戸ことば』)という江戸弁の見本のような啖呵を切るところがある。
 大家に店賃(たなちん)のかたに道具箱をとられてしまって仕事ができないという与太郎に、大工の棟梁

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 先日、新しい「常用漢字表」(「改定常用漢字表」)が告示され、社会で使う漢字の目安として実際に使えるようになった。だが辞書を編集している立場からすると、今回の「改定常用漢字表」にはいささか戸惑いを覚える部分が無いわけではない。そのへんのところは別に詳しく書いたので(雑誌「国文学 解釈と鑑賞」2011年1月号)、ここでは具体的にどのような疑問点があるのかをひとつだけ紹介するにとどめておく。

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 何か素晴らしいものに触れて感銘や共感を覚えるとき、「(心の)琴線に触れる」という言い方をすることがある。「琴線」は物事に感動する心情を琴の糸にたとえていったことばである。
 この「琴線に触れる」の意味が、最近揺れているらしいのだ。
 文化庁が発表した平成19(2007)年度の「国語に関する世論調査」では、本来の意味である「感動や共鳴を与えること」で使う人が37.8パーセント、

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 私事にわたるが、今秋の初めに山形の庄内地方に出掛けた。ここは行くたびに何かしら新しい発見があるのだが、今回は酒田市と鶴岡市に囲まれた三川町の役場の方々とお会いし、庄内弁の興味深い話をうかがうことができた。
 三川町はかつて方言の魅力や文化を紹介した「全国方言大会」を町を挙げて毎年開催していた土地で(2003年の第17回大会で終了)、「方言の里」を宣言するなど、町のみなさんは方言に対して

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