日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 先日、新聞の投書欄を何気なく見ていたら、『「全然」浸透 違和感残る』という投書が目に飛び込んできた(「東京新聞」8月26日朝刊)。投書の内容は、NHK教育テレビのこども番組の歌に「全然大丈夫」という歌詞があるが、「全然」の正しい用法は「全然何々ではない」と否定形で受けなければならず、番組の担当者はチェックをしているのだろうか、というものであった。
 別に、NHKの肩を持つわけではないの

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第73回
 

 自らを「どじょう」になぞらえた首相が誕生した。
 おかげでその野田新首相が引用した、詩人で書家の相田みつを氏の詩集ばかりでなく、「どじょう」そのものの人気もうなぎ登りだという。
 「どじょう」というと、食い意地の張った筆者などは、東京浅草のどじょう料理の老舗をまず思い出してしまう。その店は「どじょう」のことを「どぜう」と書いているので、長い間それが歴史的仮名遣いなんだろうと思

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 先日ある読者から、筆者が編集を担当した『現代国語例解辞典』に「雰囲気」ということばが載っていないのだが、という電話がかかってきた。そんなはずはないので、そうお答えしようと思った矢先に、「あっ、ありましたね」と言って先方から電話を切られてしまった。
 まるできつねにつままれたような気分であったが、後でよくよく考えてみると、どうやら「雰囲気」の読みを「ふんいき」ではなく「ふいんき」だと思って

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 「ありがとう」の語源はポルトガル語の「オブリガード」から来ているという説が巷(ちまた)でけっこう話題になっているのをご存じだろうか。その逆で「ありがとう」が「オブリガード」になったという説もあるらしい。いずれにしても「アリガート」と「オブリガード」はよく似ているというのが根拠のようだ。日本人がポルトガルに行くと、しばしばそのように言われるらしい。
 だが、「ありがとう」は、形容詞「あり

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 ここで漢字の書き取りの問題をひとつ。
 「表題の片仮名の部分を漢字で書きなさい」
という問題があったとすると、みなさんはどんな漢字を書くだろうか。
 正解は「鈍」である。
 そんなの当たり前じゃないかとおっしゃる方も大勢いらっしゃるであろう。ところが、「鈍」ではなく「貪」と書く人がけっこういるということをご存じだろうか。
 「貧すれば鈍する」とい

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